ＥＬＩＴＥ　ＨＵＮＴＥＲ　ＺＥＲＯ

小説「復活のアイリス編」

管理人初のゼロアイ小説にして、２代目オリボスが登場する小説です。

第一話「序章・世界、そしてゼロは今・・・」


∑、そしてルミネ率いる新世代レプリロイドの反乱や超フォースメタルを巡った
リベリオン軍並びにリディプスの起こした事件から何年も時が流れた時代。
この時期はレプリロイドが起こす戦争は完全に無くなっていたかのように見えた。
レプリロイドが関わった最後の大規模な戦争はリディプスの事件とほぼ同時期、
独自に発展した隣接する２つの強大で治安の悪い軍事国家同士が衝突し、
互いに滅ぼし合った戦争であった。
この２つの国は世界から何かと問題視されており、巻き添えを食らいたくないためか
これらの国同士の戦争には各国家の政府もハンターも関与しなかった。
最終的にはこの２つの国は不思議な事にたった１日で人間もレプリロイドも、
そして建造物も全て跡形も無く消滅してしまった。
リディプスの事件の暫く後の事だった。
世界はこの２つの国々を嘲笑したが、平和を愛するエックスはこの事を嘆き悲しみ、
ゼロやアクセルも呆れと怒りを覚えた。
皆が皆この忌まわしき事件を忘れようとしたためか、事件の詳細はまともに調査されず 
真相は闇から闇へと葬り去られた。
今ではそれらの国の跡地はその名を口にしてはいけない禁断の領域ということで
「タブーエリア」と呼ばれ固く立入を禁止されている。
最も、そんないわく付の場所には誰も近寄ろうとはしないが。

そんな時代のある日、どことも知れぬ丘の上の墓石のような石の前で１人の男がしゃがみながら話しかけていた。
この男こそＳ級ハンターの１人のゼロであった。
ゼロ「また会いに来たぞ、アイリス・・・」
戦いしか知らなかったゼロはレプリフォースのオペレーターの少女・アイリスと
恋に落ちたが運命は残酷だった。
アイリスの兄カーネルが己の信念のためゼロに挑み、ゼロは彼を倒さざるを得なかった。 
そしてその事を知り彼に戦いを挑んだアイリスをも手にかけてしまったのだ。
自分が愛した相手を自分の手で殺してしまった事をゼロは深く悔やんだ。
そしてその時からハンターとしての任務に疑問を感じ始め、さらに鮮明な「夢」や
ウィルスでパワーアップする事から自分が造られた理由に感づいた事がさらに彼を追い詰めた。
しかし彼は己の信念を忘れずアイリスの分まで生きて仲間達とともに戦う事で何とか戦争を終わらせた。
ゼロ「あれから何度も辛い事件があったよ。
自分が何者なのか分かったり、仲間に裏切られたり、な…でも、もう戦いは終わった…
この世界を…お前にも見せてやりたかった…！」
しばらくゼロが話しかけていたが、突然エイリアから通信が入った。
エイリア「大変よ！久し振りにイレギュラーが出現して街を破壊しているわ！
場所は１Ｔ－０２地点よ！至急現場に行って！」
ゼロ「ああ、今すぐ行く！アイリス、悪いな、ちょっと用事が出来ちまった。
今から行ってくる。じゃあな」
ゼロはイレギュラーが暴れている街に到着した。
そして凄惨な光景が繰り広げられているのを見た。

第二話「最初の敵」


ゼロは現場に到着した。
そこは、以前確かに大都市があった場所だったが今ゼロの目の前にあるのは
辺り一面に広がる焼け野原、巨大に燃え上がる炎、そして破壊し尽くした街を
さらに荒らしまわる狂気に満ちたイレギュラーの集団だった。
もちろん生存者などいるわけがない。
ゼロ「何て事を……ふざけやがって！！」
ゼロは久しぶりに戦地へと赴いた。
戦いが終わった後も普段からトレーニングを怠っていなかったゼロは次々と敵を撃破していった。
そして敵をほとんど全滅させた時・・・
炎の向こうで瀕死のザコがリーダー格らしき巨大レプリロイドに話しかけていた。
ザコ「少尉殿・・・ブラッディパンチャー少尉殿・・・！！」
ブラッディパンチャー（巨大レプリロイド）「どうした！？」
ザコ「ゼロ・・・です・・・ゼロが現・・・レ・・・マ・・ｓｉ・・ｔａ・・・」
そう言い残してザコは死亡した。
しばらくして炎の中からブラッディパンチャーが現れゼロの前に立ちはだかった。

ゼロ「お前が親玉か！？」
ブラッディパンチャー「いいや、俺はまだまだ下っ端よ。
だが・・・てめぇを倒せば俺の昇格は間違いねぇな！今日はついてるぜ！！！」
ゼロ「寝言は俺を倒してからほざきな！行くぜ！！」
ブラッディパンチャーはパワータイプのレプリロイド。
そのパンチ力は凄まじく、地形が激しく変わっていく。
しかし（あくまでもゼロから見て）動きが遅く単調なので、一発も当たらない。
ブラッディパンチャー「ちくしょお・・・当たりさえすれば！！当たりさえすれば・・・！」
ゼロ「・・・当たれば何だって？」
殴りかかるブラッディパンチャーの拳にゼロが殴り返した。
するとブラッディパンチャーの片腕がもげて吹っ飛んでしまった。
ブラッディパンチャー「グギャァァァァァ！！！！」
ゼロはそのままジャンプして斬りかかり、止めを刺した。
ゼロ「最後に聞きたい事がある。てめえらは何者だ！？本当のボスはどこにいる！？」 
ブラッディパンチャー「へ、俺が教えなくてもその内分かるだろうよ・・・
この戦いの事は・・・既に上に伝えられてるからな・・・
言っておくが・・・俺より上の組織の幹部達の強さと・・・タチの悪さはマジで規格外だ・・・
こ、これから否応無しに地獄を・・見ることにな・るぜ・・・
今回の戦いで、死ななかった事をこ、後悔するんだ・・・な・・・
ぐおわぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！」大爆発を起こして死亡。
ゼロ「これから・・・でかい嵐がくるな・・・」

第三話「ラストユートピア」


ブラッディパンチャー率いるイレギュラー集団を倒したゼロ。
ハンターベースへ出向きそこで状況を報告している最中・・・
いきなり通信が入った。　
ゼロ「まさか・・・」
モニターをつけてみるとそこには老人型レプリロイド、青年型レプリロイド、巨大レプリロイドの計３体のレプリロイドが映っていた。
老人型レプリロイド「ヒヒヒヒ・・・先ほどはうちのデクの坊が世話になったのう。」 
ゼロ「てめえらか、あいつらの親玉は！」
老人型レプリロイド「まあ似たようなものじゃ。我が組織の名は『ラストユートピア』で 
ワシの名はネクロス。組織での地位は大将じゃ。」
青年型レプリロイド「私は中将のブースト…」
巨大レプリロイド「俺はバルク！地位は少将だ！」
ゼロ「てめえらの狙いは何だ！どこにいる！？」
ネクロス「まぁまぁ落ち着くがいい。まず我々の目的…
それは我々を除く全ての人間、レプリロイド、そしてそやつらが
築いて来た世界を完全に破壊し、残された地球を我々だけの最後の楽園にすることじゃ！」
ゼロ「何だと！！何という馬鹿げた事を・・・！」
エックス「せっかく平和が訪れたというのに！」
ネクロス「愚かな！その平和が何度崩されてきたというのだ！
平和ボケし切った貴様らは知らんだろうが、大戦が終わったとはいえ
シグマを初めとする数々の戦争による憎しみの連鎖はまだ続いておるのだぞ！
世界のあちこちでつまらぬにらみ合いや兵器による威嚇などは後を絶たん！
もう二度と戦いが起こらない保障などどこにもないのじゃ！
全てを破滅させる以外にこの堂々巡りを断つ手段は無い、というのが我々の出した結論じゃ。」
ブースト「この腐りきった世界を何もかも全て壊し、今までの忌まわしき歴史を無かった事にする。
それが我らの理想…」
バルク「まあ全部ブッ壊しちまえってこった。」
ゼロ「へぇ・・・それでわざわざご丁寧に挨拶かよ。余程自信がおありのようだな。」 
ネクロス「そうそう、こうやってわざわざ通信を入れてやったのはゼロ、貴様に用があるからじゃ。



　　　　　　　　　　　　ゼロよ・・・彼女に、会いたくないかね？」 



ゼロ「！！！！！！！！！！！！！」
ネクロス達がどくと何とその後ろには液体で満たされた修復装置の中に浮かぶアイリスが映っていた！
そしてその装置の中にはカーネルもいた。
ゼロ「アイリス！アイリスなのか！！！」
ゼロの脳裏にあの時の記憶が鮮明に蘇る。
互いに望まなかった戦い。結局彼女を手にかけてしまった自分。
そして最後に彼女が見せた悲しい笑顔・・・
エックス「落ち着けゼロ！敵のペースに乗るな！！」
ネクロス「そうじゃ！貴様が殺した貴様の恋人、アイリスじゃ！
話を続けよう。我々は既に８つの精鋭部隊を世界に送りこみ、活動を開始させておる。 
この８つの部隊を全て壊滅させねば我々、そしてアイリスに会う資格は無しじゃ！
ワシら三将官ほどではないがこの８部隊を指揮する八佐官とその副官の十尉官・・・ああ、今はデクの坊が１人やられて９人じゃが・・・
そやつらは皆選りすぐりの猛者ばかりじゃ。貴様等ごときに倒せるかのう。」
ブースト「貴様等の惨めな死に様を早く見たいのは山々なんだが、まだ彼女は目覚めていないんだ。
だから今来られてもツマラナイんでねぇ。」
バルク「俺達は時間稼ぎがてら高みの見物とさせてもらうぜ！グワハハハ！！」
　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　――――――――――――――――――

ラストユートピアによる破壊活動は既に始まっていた。
世界各地で非常に強力なイレギュラー反応が出ており、方々で甚大な被害が出ている。 
エイリア「駄目だわ・・・厳重なセキュリティがかかっていて奴らの本拠地は分からない。」
エックス「こうなったらあいつらの言うとおり８つの部隊とやらを全滅させるしか無いのか・・・！」
ゼロ「・・・先ほどは取り乱してしまったな。
あれが罠であろうとなかろうと連中がイレギュラーなのは変わりない。ここはやるしかない！」
レイヤー「（ゼロさん、やはり、あの人の事が・・・）」
アクセル「今時あんな事する輩がまだいただなんてねー」
パレット「やっつけちゃいましょうよ！」
シグナス「皆、聞いてくれ。 今分かっている敵の戦力と被害状況を考えるといくらお前達でも荷が重過ぎる。
そこで先程助っ人達を呼んだ。お、今エアバスが到着したようだな。」

第四話「助っ人登場！」


非常用の超高速エアバスからシグナスが呼んだ助っ人達が降りてきた。
彼等は小柄で金髪、ナース服のようなアーマーを着た少女型レプリロイド、
中背でピンク色の髪で胸の「７７」が特徴的な白いアーマーを着た少女型レプリロイド、
長身で緑色の髪のピンク色のアーマーを着た女性型レプリロイド、
そして緑色のアーマーを着た巨漢レプリロイドの計4人のレプリロイドだった。
エックス「シナモン！ナナ！マリノ！マッシモ！！」
ゼロ「助っ人って・・・こいつらの事か？」
アクセル「皆来てくれたんだね！」
そう、彼等はかつてエックス、ゼロ、アクセルと共にリベリオン軍、
そしてリディプスとの死闘を繰り広げた仲間達だったのだ。
ちなみにナナは現在ギガンティス総督府の長官となっていた。
シグナス「一部面識のある者もいるようだが、今回の敵を討伐する為に
ギガンティス総督府と手を組むことになった。宜しくしてやってくれ。」
シナモン「皆さんお久し振りですー！」
マッシモ「元気にしてたか！？」
ナナ「理由はともかくまた会えて嬉しいです。」
エックス「あの時のメンバーがまたこうして集まるとはな・・・」
アクセル「懐かしーねー。」
マリノ「・・・・・」
ゼロ「・・・・・」
ゼロはふとギガンティスでの戦いで当時人間不信ならぬレプりロイド不信に陥った
自分を助けながらも最後は残酷な裏切りを果たしたある男の事を思い出した。
またマリノもその男の事を思い出した。
彼女に至っては戦いの中その男と恋仲になっただけあり、その男の裏切りと死は
アイリスを喪ったゼロに勝るとも劣らない大きなトラウマとなっていたのだ。
その男の名はスパイダーでもあり、リディプスでもあった。
エックスはすぐ２人の様子を察して、言った。
エックス「・・・分かったよ。あいつの事は言わないよ。
とりあえず、ナビゲーターの皆とお互いに自己紹介したらどうかな？」
気を取り直して自己紹介し合う事にした一同。
エイリア「初めまして、私はエイリアよ！」
レイヤー「レイヤーといいます。宜しくお願いします・・・」
パレット「パレットですよ！一緒に頑張りましょうね！」
シナモン「シナモンです。こちらこそ宜しくお願いしますぅ。」
ナナ「私はナナです。後方支援ですが宜しくお願いします。」
マリノ「あたしはマリノ！宜しく！」
マッシモ「俺の名はマッシモ！宜しく頼むって・・・うお！！」
マッシモはエイリアとレイヤーを見て興奮してしまった。
マッシモ「お、お、お前等・・・いつもこんな綺麗な女の人達と仕事してたのか・・・!?」
ゼロ「お前は相変わらずだな。」
アクセル「それにしても・・・」
ニヤニヤ笑いをして皆を見ながら言うアクセル。
アクセル「綺麗所３人にゴツいおっさん１人の４人組が２組、か・・・プクク…」
マッシモ「俺はおっさんじゃねぇぞ！！」
シグナス「総監の私に対してその言い方は何だ！
・・・では改めて・・・これから２人ずつ４組で、現時点で敵が最も激しく活動している４ヶ所の拠点に行ってほしい。
誰と誰がどこに行くかは各自で決めてくれ。」
エイリア「その話だけど、実は私は今すぐ戦闘には参加出来ないわ。
私、戦いが終わってからエイリアバスターを封印していて・・・
修復にはしばらくかかりそうなの。ごめんなさい。」
エックス「エイリアは元々ナビゲーターなんだから気にしなくていいよ。
ナビゲート、しっかり頼む。 」
ゼロ「という事はちょうど８人だな。早い所どこに行くか決めるとするか。」
話し合いの末、ゼロ達８人は２人ずつ４組に分かれ、敵の進撃が激しく進む４ヶ所へと出撃した。
かくして、全世界の運命を賭けたハンター・ギガンティス総督府の連合と
ラストユートピアの八佐官・十尉官が率いる精鋭部隊との激戦が始まった…
第五話「全面戦争開始」
ラストユートピアの部隊の活動内容とは、自らを除く全人類・全レプリロイドの抹殺だけでなく建築物、過去の事件の資料、遺跡、並びに
現在・過去問わず人間とレプリロイドの個人データといったものまでも完全に消滅させる事。
即ち今の世界を何から何まできれいさっぱり消し去ってしまい、残された地を自分達だけが独占しようといったものである。
その破壊・殺戮活動は急速に進行し、既にいくつもの国々が「消されて」いる。
このままでは世界が無くなってしまう。
それを阻止するため、ハンターとギガンティス総督府は彼等を撃破すべく各地に出撃した。

アクセルとパレットは、処刑場に改造され運び込まれてきた人間とレプリロイドの大量処刑が行われているテーマパークに来ていた。
パレット「それにしてもあの時はビックリしましたよ。あのゼロさんがあんなに動揺するなんて・・・」
アクセル「うん、ゼロにはレプリフォース大戦時に辛い事があったみたいだよ。
僕もハンターに入る時の事件で大切な人を失って凄く辛かったんだけど、ゼロもその時はそれぐらい辛かったのかなあ・・・」
そう言いながら２人はザコを倒しつつ捕われた人間とレプリロイドを救出していった。 
このテーマパークはかなり広くそれぞれのアトラクションで次々と処刑が行われているので
アクセルとパレットは途中で二手に分かれてミッションを遂行した。
しばらくしてパレットが巨大テントに入った時・・・
細身で長身のピエロのようなレプリロイド、十尉官の１人のデビルクラウン中尉が舞台上に出現した。

デビルクラウン「おやおや？特別ゲストの登場かい？」
パレット「こんな事やめてください！あなた達の考えは絶対おかしいですよぉ！」
デビルクラウン「おかしい？僕をこうしたのはこの世界さ！
∑ウィルスやイレギュラーを生み出し僕に散々地獄を味わわせてきたこの世界さ！
だから組織に入ってこの世界のフィナーレを盛大に演出してやろうとしてるのさ！」
パレット「何があったか分からないけど、こんな事許す訳には行かないです！」
デビルクラウン「邪魔するならお嬢さんには僕の解体ショーに出てもらうよ！」
デビルクラウンはナイフ投げやムチといったサーカスならではの技やアクロバティックな動きでパレットに挑みかかった。
対してパレットはホバリングやローリングでデビルクラウンの攻撃をかわしつつ
パレットバレットの高速連射で果敢に反撃した。
しかしデビルクラウンからの攻撃も何発か喰らい、戦いはしばらく続いた。
デビルクラウン「Ｓ級ハンターの１人アクセルのバトルスタイルを受け継いでいるのか。 
道理で強いわけだね。だが今度こそ・・・何ッ！？」
突然、デビルクラウンの両腕がガクリと下がってしまった。
続いて両脚のバランスも崩してしまった。
デビルクラウン「お、同じ箇所に正確に弾を当てて・・・ダメージを蓄積させていたの・・・か・・・」
パレット「ナビゲーターを甘く見ないでくださいね！」頭部にバレットを撃つ。
デビルクラウン「まさか・・・僕自身の人生の幕を下ろす事になる・・・な・・ん・・て・・・」
死亡。

その頃アクセルは、ザコを殆ど撃破し、捕虜も全員安全な所に避難させていたのだが・・・
広場に出るやいなや、アクセルの前に小柄なレプリロイドが空中で大回転しながら出現した。
彼こそがここの部隊を仕切っている隊長で八佐官の一人、ローリング・ハムスタン少佐である。

ハムスタン「よくも、よくも僕の仕事を邪魔してくれたな！許さないぞぉー！」
アクセル「遊びの時間は終わりだよ。ちょっとばかし、おイタが過ぎたみたいだね。」 
ハムスタン「もう怒ったぞー！こうなったらお前をやっつけて手柄を立ててやる！
それでいっぱい褒めて貰うんだ！！」
ハムスタンは、超重量の金属の車輪をアクセルに発射してきた。
重量にも関わらず高速で転がってくるのでその威力はかなりのものであろう。
地を這う攻撃なのでアクセルは車輪をホバリングで回避し、
車輪を発射する際に一瞬の隙が出来るハムスタンに向かってアクセルバレットを連射。 
ハムスタン「いったいな～！これならどうだ！！」
今度は空中に飛び上がり超高速の回転体当たり攻撃を仕掛けてきた。
技発動時にアクセルがいた場所に一直線に突っ込んでくる攻撃で
アクセルから見れば予備動作も分かりやすかったので引き付けて回避し、
地面に激突し体勢を直そうとするハムスタンに向かってアクセルバレットを連射。
そんな感じでハムスタンは一方的にアクセルに押されてきた。
ハムスタン「そんな・・・八佐官の中でも速い僕のスピードが通用しないなんて・・・」 
アクセル「スピードだけ速くても攻撃が見切れれば意味無いっての。」
もっとも、八佐官２位のスピードを見切れるアクセルの動体視力が凄すぎるのだが。
アクセル「弱っちいね～。こんなんで世界終わらせるだなんて、馬鹿じゃないの？」
挑発するアクセル。

ハムスタン「うあああああーーーーーーーー！！！！！！！！！！！」

突然ハムスタンは後ろの建物の中から巨大な車輪を出現させ、中に入って車輪ごとアクセルに向かって猛突進をしてきた。
ハムスタン「潰れちゃえーーーーーー！！！！！！！！！」
そのスピードは今までの攻撃を遥かに上回り、流石のアクセルにも直撃してしまった！ 
しかし、何とアクセルはその超重量の車輪を止めてしまっていた。
ハムスタン「う、動かない！」
アクセル「パワーも大したこと無いみたいだ、ね！」
アクセルは車輪を持ち上げ、ハムスタンを振り落とし、すかさずその車輪の下敷きにしてしまった。
ハムスタンは地面にめり込み、自慢のスピードは完全に殺されてしまった。
ハムスタン「わあああ！！許してよぉ！僕は組織にそそのかされただけなんだよ～～～！！！」
相手が子供という事もありエックスなら戸惑ったかもしれないが、そこは無邪気故に残虐なアクセル。
しかもアクセルが処刑の惨状を目にした事による怒りも含まれていたため…
アクセル「だめだね♪」
ボスに効く銃「エンシェントガン」で止めを刺す。
アクセル「あー弱かった。さて、他の皆は上手くやってるかな・・・」 

第六話「女の敵・スカンキー！」
レイヤーとマリノはガスプラントに来ていた。
そこでは大気中に広範囲に拡散し、尚且つ極めて可燃性に優れたガスを生産している。 
ラストユートピアはそのガスを使って膨大な数の街や人間、レプリロイドを跡形も無く焼き払ってきているのだ。
マリノ「レイヤー、とか言ったね。あんたさっき聞いたけどゼロの事が好きなのかい？」 
レイヤー「は、ハイ！その、す、好きです…」
マリノ「でもゼロには亡くなった恋人がいて、しかもその恋人はこれから生き返るみたいだけど
その時は…それでもいいのかい？」
レイヤー「私は…ゼロさんが幸せならそれでいいのです。」
少しはにかみつつ微笑むレイヤーだが、その時…
？？？「テメーらぁ！！戦場で何くっだらねぇ色恋話してんだぁ！！」
２人の前に巨大なレプリロイドが立ちはだかった。

マリノ「誰だいあんた？」
フレイムジャイアント「俺は十尉官でここを指揮する部隊の副隊長、
フレイムジャイアント中尉だ！俺達の邪魔をする奴は許さねぇ！
例え女だろうと焼き尽くーす！！」
マリノ「なめんじゃないよ！」
マリノはフレイムジャイアントの目にアイスステラを何発も当てた。
フレイムジャイアント「ぬおっ！？」
マリノ「ここはあたしに任せな！あんたはこの先を急いで！」
レイヤー「了解！」
隙をついてレイヤーはさらに奥へと向かっていった。
フレイムジャイアント「（クソ、１人逃がしたか！まあ中佐殿が相手なら・・・）
テメーはここで焼け死ねーー！！」
巨大な炎を連発してきた。
しかしマリノは超高速移動で全てかわし、その都度フレイムジャイアントの目にアイスステラを当てていった。
フレイムジャイアント「ぬがーー！！チマチマチマチマと！
これなら避けられねぇだろ！！！！」
一瞬気合を溜めた後今までの炎の何倍も大きく部屋を埋め尽くす程もある炎を発射してきた。
マリノ「なっ！？」
速さ、大きさ、温度ともにとてつもない地獄の業火。
後は、人間ぐらいの大きさの消し炭のみが残った…
フレイムジャイアント「勝ったぜー！！」
マリノ「誰が？」
何とフレイムジャイアントの足元にマリノがいた！
フレイムジャイアント「な、ななな！？」
マリノは咄嗟に変わり身の術で炎を回避していたのだった。
マリノ「これで終わりだよ。散華！！」即死攻撃で止めを刺す。
フレイムジャイアント「燃え尽きたぜ…」死亡。
その頃レイヤーは最深部の大部屋に到着した。
レイヤー「これは…」
そこには人間とレプリロイドの死体がうず高く積まれていたが…
突然死体の山が焼かれながら切り飛ばされた！
切り飛ばされた死体は一瞬で灰までも燃え尽き、巨大だった死体の山が火の粉を散らしながら急速に小さくなっていった。
やがて死体の山が無くなり中から八佐官の１人、バーナー・スカンキー中佐が出現した。

スカンキー「ヒャッヒャッヒャッ…どんなのが来るかと思ったらデカパイねーちゃんじゃねーか！」
レイヤー「へ、平和を乱す残虐行為、断じて許せません。このレイヤーが討伐させて頂きます！」
スカンキーの暴言に一瞬たじろぐレイヤーだったが、先程の死体の山を思い出し、キッとスカンキーを睨みつけて言った。
スカンキー「なにー、おねーちゃんが俺とやんのぉ？ヒャッヒャッ…面白ぇ…！」
レイヤーはスカンキーにレイピアで切りかかったが…
一瞬でスカンキーにレイピアをぶん取られてしまった。
スカンキー「いけないねぇ、こんな危ないもん振り回しちゃ～」
そしてスカンキーはレイピアを上空に投げ、天井に突き刺してしまった！
レイヤー「な…！！」
スカンキーはすかさずレイヤーに向けて尻からガスを噴射してきた。
レイヤー「む…ぐ…」
スカンキー「ヒャッヒャッヒャッ！！どうだ俺の屁はくせーだろー！！
臭いだけじゃなくて、燃えるんだぜ！」
さらにガスに引火させ超高温の炎を噴射してレイヤーに大ダメージを与える。
それからの戦いはスカンキーが圧倒的に優勢だった。
スカンキーの性能はどれをとってもレイヤーを遥かに上回り、レイピアを失ったレイヤーの攻撃は殆ど当たらず、
稀に命中してもダメージを与えられない。
またスカンキーは圧倒的身体能力、火力以外にも下品な暴言を連発し、レイヤーに
体だけでなく心にも大ダメージを与えていった。
そして…
スカンキー「大人しくナビってりゃあもうちょっとだけ長生きできたかもしれねーのによぉ、馬鹿な女だぜ！
さぁて、止め刺す前にそのアーマー剥いじゃおっかなっ♪かなっ♪」
その時、レイヤーの目付きが変わった。
レイヤー「いい加減にしなさい…」
突然レイヤーは壁蹴りで壁を駆け上がりさらにダッシュジャンプでレイピアを取り、
地面に着地すると同時にスカンキーの側でダブルアタックの衝撃波を発射した。
スカンキー「なんだなんだぁ？」
マリノ「出番だね！」
ボスルームに向かっていたマリノがレイヤーの元に出現した。
スカンキー「ヒャッヒャッヒャッ…デカパイねーちゃんも１人来たぁ！
まとめて頂いちゃお・・・」
言い終わる前に、２人の猛烈な連続技がスカンキーを襲った。
レイヤーは巨大化したレイピアで切りまくり、マリノはアイスステラを超高速で連発する。
スカンキー「ちょっとちょっとちょっと…ギャアアアアアァァァア！！！！」
死亡。
マリノ「凄い攻撃だったねぇ。さ、ボスも倒したみたいだし、帰るとしましょうか。」 
レイヤー「マ、マリノさぁ～～ん！！」
号泣するレイヤー。
マリノ「な、何だい？」
レイヤー「敵が、敵があんな事やこんな事を・・・わぁぁぁ！！！」
マリノ「もうスカンキーは倒したから大丈夫だよ！
（やれやれ、この人はキレさせない方がいいねぇ…）」
第七話「激突・パワー対パワー！」
ハンター達が八佐官相手に激闘を繰り広げている頃…
ラストユートピアの基地では何者かがネクロスに通信を入れていた。
？？？「ネクロスよ…」
ネクロス「ハッ！」
？？？「アイリス、そしてカーネル復活の進行具合はどうなっている？」
ネクロス「それが…両者ともボディの再生は完了したのですがソウルとの融合に多少難航しておりまして…
何とぞ、何とぞもうしばしお時間を頂ければと…！」
？？？「フフ、そう焦らずともよい…時間はたっぷりとあるのだからな。吉報を待っているぞ…」
ネクロス「ハッ、有難き御言葉！！この使命、必ずや成し遂げて見せましょうぞ！」

その頃ゼロとマッシモは海でラストユートピアの大艦隊と戦っていた。
この大艦隊は各地で巨大な津波を発生させ、いくつもの大都市を海底に沈めている。
マッシモ「そうか、お前はあのレプリフォース大戦で恋人を喪ってしまったのか…」
ゼロ「ああ、俺はあいつの為に戦ったが、何も出来なかった。
だが仲間がいたから乗り越えられたし、アイリスの分まで生きようという意志のお陰で今の俺がある。」
マッシモ「辛かったな…恋人じゃないが俺もリベリオンとの戦いでエックス達の仲間に入る時大切な人を喪ってしまってな。
辛く悲しかったが今の俺があるのもその事件のお陰だ。」
ゼロ「（前に少し聞いた「本物のマッシモ」の事か？まあいい…）戦いっての嫌なもんだ。
人から大切な物を奪い去っていく。今回の戦いでも傷付く人がいるなら早いとこ終わらせなきゃならねえ。」
マッシモ「ところで、先ほど映像で見たんだがそのアイリスって人、き、きれいだったな。」
ゼロ「あ、ああ…」
ザコ「ギャーー！何だこいつら！たった２人で平然と会話しながらこの大艦隊を相手に…バケモノだーー！」
ザコをあらかた全滅させ、２人が進んだ先に一際大きな潜水艦が現れた。
ゼロ「ここにボスがいるようだな。」
艦内に侵入し、中のザコを倒して行った先で２人は大部屋の入り口にさしかかった。
そしてゼロはその奥からかすかに殺気が漏れたのを感じた。
ゼロはアースクラッシュで床に穴を開け、下の階への通り道を作りマッシモに小声で言った。
ゼロ「ここの敵は俺がやる。お前は最深部の方を頼む。」
マッシモ「ああ、分かった。」
そしてゼロが部屋に入るやいなや、一瞬で氷付けにされてしまった！
氷は一瞬で巨大化し、次の瞬間何者かに砕き割られてしまった！
砕き割った犯人はフレイムジャイアントの兄弟にしてここの十尉官、アイスジャイアント中尉だった。

アイスジャイアント「ククク、伝説のS級ハンターも不意をついてしまえばこの通り…どれ、死体の確認といくか。」
アイスジャイアントは氷の破片を見渡したが、氷と共に散らばっているのは関係ないメカの残骸ばかり。
アイスジャイアント「おや…？」
ゼロ「でかい図体してる割には随分セコい事するじゃねえか…」
アイスジャイアントの後ろにゼロがいた。
ゼロはアイスジャイアントの拳が氷に当たる直前、自分で氷を割っていたのだった。
アイスジャイアント「ば、馬鹿な…」
そのままアイスジャイアントににじりよるゼロ。
アイスジャイアント「ヒ、ヒィッ！！うおおおお！！」
一瞬気圧されつつもその剛力で殴りかかろうとするが、簡単にゼロにふところにもぐりこまれ龍炎刃を決められてしまった。
アイスジャイアント「あ…が…か…」
深くえぐれた自分の胴体を見て戦慄するアイスジャイアントだが、それも一瞬の間。
直後アイスジャイアントは爆発して死亡した。
ゼロ「フン！」

その頃マッシモは潜水艦のメインルームに到着した。
メインルームに入るとそこでは白く巨大なレプリロイド…八佐官のディープシー・ギガホエール中佐が叫んでいた。

ギガホエール「沈めー！沈んだれー！！こんな世界、全部沈没したれー！！」
マッシモ「やめろ！」
ギガホエール「何じゃ、ハンターからの回し者かい。邪魔するでないわ！
この戦いは我が友、タイダル・マッコイーンの弔い合戦じゃい！！」
マッシモ「マッコイーン…過去の大戦のイレギュラーか？」
ギガホエール「イレギュラーとか言うな！あいつはシグマウィルスに冒されて…無念のうちに死んでいったんじゃぁーー！！」
マッシモ「お前も…戦いで大切な者を失ったのか。だがこんな事して死んだマッコイーンが喜ぶと思ってるのか！？」
ギガホエール「黙れ黙れぇい！ウィルスや憎悪、苦しみに満ちたこの忌々しい世界を水に流すのがワシの使命であり、
マッコイーンの敵討ちでもあるのじゃぁ！！」
マッシモ「そんな事はさせんぞ！『鋼鉄のマッシモ』の名に賭けて！」
ギガホエールは八佐官一の怪力の持ち主で、そのケタ外れのパワーでマッシモに殴りかかった。
マッシモ「ぬおっ！？何のこれしき！」
マッシモはランサーで反撃した。
ギガホエール「なっ！これならどうじゃい！」
巨大な津波を発生させてきたが…
ギガホエール「な、何と！この津波に歩いて向かってくるじゃと！？」
マッシモ「波を操るデカブツか…嫌な奴を思い出すぜ。おおおっ！」
またしてもランサーで反撃。
ギガホエール「うおりゃあっ！！」マッシモ「ぬおお！！」
ギガホエール「ガッ…！どうじゃっ！！」マッシモ「効かん効かん！！喰らえ！」
普通どころかかなり頑丈なレプリロイドさえも一撃で木っ端微塵になる威力の攻撃の応酬が続いた。
ギガホエール「こいつ…強い！」
マッシモ「ハァ…ハァ…それまでか！？」
ギガホエール「ま、まだまだじゃ！これでも喰らえいー！！」
津波を発生させた直後、その巨体を波に乗せ、マッシモにぶつけてきた！
流石のマッシモもこの威力には遠くまで吹っ飛び、壁に激突してしまった。
マッシモはそのままうなだれて動かなくなった。
ギガホエール「流石にくたばったかのう！？」
ギガホエールが様子を見ようと近寄ってくると…
突然、マッシモが起き上がってギガホエールの尻尾を掴んだ。
ギガホエール「な、何じゃと！？」
マッシモはそのまま体を回転させギガホエールを振り回し、ジャイアントスィングを決めてしまった！
ギガホエール「ぬおわあああああ！！！！」
ギガホエールは高速で飛んで行き、頭から壁に激突し、海にまで放り出された。
脳天にその只でさえとんでもない体重によるダメージが高速での激突で倍加して加わり致命傷となった。
ギガホエール「許せ、マッコイーンよ…敵は…打てんかったわい…」死亡。
マッシモ「…！後味の悪い戦いだったな。せめてこの広大な海で安らかに眠るがいい、ギガホエール…」

時を同じくして、ラストユートピアの基地のどこかで、冒頭でネクロスに通信を入れた者が１人呟いた。
？？？「アイリスよ…君が望む平和は俺がくれてやろう。
今までのイレギュラー大戦の元凶であり君の最大の敵でもあるゼロも葬り去ってやる。 
その時に君の答を聞かせてくれ…」
この人物が何者で、何をしようとしているのかが明かされるのは、まだ先の事である。
第八話「戦いを終わらせろ！」
エックスとシナモンは採掘場に来ていた。
そこから調達された資源はラストユートピア構成員や基地のエネルギー源として使用されたり、
超巨大砲台のエネルギーチャージに使われ非常に大規模な破壊活動に使われている。
シナモン「あのレプリフォース大戦で、そんな事があったのですか…」
エックス「ああ、俺も信頼していた後輩が∑のスパイと分かって悲しかったが、
ゼロの場合恋人と望まぬ戦いを強いられ、結果ゼロ自身の手で殺してしまったんだ…
あの時のゼロ、凄く辛そうだった…」
シナモン「う、うぅ…エ、エックスさんも、ゼロさんも、可哀想ですぅ…ふぇ～ん！」
シナモンは泣いてしまった。
エックス「シナモン…　！危ない！敵が来るぞ！！」
シナモン「はーい！」
ザコ「お、俺達は可哀想じゃねーのかよぉーー！！」
エックスのチャージショットとシナモンのビンタで次々と撃破されていくザコ達。
だがザコの数は次第に増え、それも独特な陣形を取り２人を攻めた。
この陣形の為かある程度２人の間に距離が開いてきたとき、突如として大規模な落石が発生した！
巨大な岩が降り注ぎ一瞬にして堅固な壁となり、２人を隔ててしまった！
エックス「シナモーーーン！！！」
シナモン「エックスさぁーーーん！！！」
その時岩を突き崩し、全身にドリルを装備した十尉官・モールクラッシャー中尉がシナモンの前に現れた。

モールクラッシャー「２人組と聞いてわざわざ落石で分断させたんだが、女のガキかよ… 
テメーなんぞこうだ！！」
モールクラッシャーは巨大な岩を持ち上げ、シナモンに叩きつけてきた、が…
シナモン「いったぁ～い…」
岩は砕けたがシナモンは割と平気だった。
ここで忘れてはならない事がある。
シナモンはパワーこそ劣るものの防御力には優れているのである。
モールクラッシャー「テメー、見掛けによらず硬ーじゃねーか。よし、これを使うか！」 
そう言うとモールクラッシャーは２本の腕に一本の超巨大なドリルを装備した。
シナモン「ドリルだったらこっちにもありますよ～」
シナモンはドリルアームの強化版、メルティングアームを装備した。
モールクラッシャー「オラァー！！」シナモン「えーい！」
ドリル同士がぶつかったが、シナモンは一瞬で吹っ飛ばされ、メルティングアームはボロボロになってしまった。
モールクラッシャー「そんな貧弱なドリルが俺の最強ドリルに敵うわけねーだろ！そのまま粉末にしてくれるわ！」
シナモン「そっか、別にドリルじゃなくてもいいんだ…」独り言を言うシナモン。
そして最強の武器、「にゃんこグローブ」を装備した。
モールクラッシャー「ギャハハハハ！！何だよそれ！！」
シナモンはモールクラッシャーに駆け寄り往復ビンタを始めた。
シナモン「そーれ！そーれ！！」
モールクラッシャー「ライドアーマーのパンチも効かねー俺に素手だ！？ヤケクソになったか！？
こんなビンタ痛くもなんともな…あれ、痛い？ちょ、何だこれ、やめ、やめて、ギャアアーー！！」
徐々に防御力が削られていき、死亡。
シナモン「やった～！！」
そのしばらく後、エックスは―
エックス「ここにボスがいるはずだが…」
エックスはいち早くボスを倒すためにシナモンの進言で先に進んでいた。
しかしそこはどう見ても行き止まりだった。
エックス「エイリア、本当にここが…」
通信機で場所を確認しようとしたが、突然地響きが鳴りその直後周囲の岩が激しく吹き飛ばされた！
エックス「今度は何だ！？」
エックスは飛んでくる岩を回避したりバスターで破壊したりした。
ついさっきまで狭い行き止まりだった通路が一瞬で広い空間と化していく。
やがて降り注ぐ岩の向こうから八佐官、ハンマー・アンキロックス中佐が姿を現した。
 
アンキロックス「伝説のＳ級ハンター、ロックマンＸが来たか。
聞いた話だが、お前は『戦いを終わらせるために』戦っているようだな。それは甘いぞ。」 
エックス「何を言っている！？とにかく俺はお前達を止めに来た！」
アンキロックス「お前は戦いが嫌いで、今までの大戦で何度も苦しみを背負いながらも戦ってきたようだな。
だが、お前には職務上ある程度は他者を手に掛ける覚悟は出来ていた筈だ。違うか？」 
エックス「何が言いたい！？」
アンキロックス「大戦中、俺はお前と違い大量殺戮を知らずにやらされていたのだ。
その時の絶望感はお前に分かる筈もあるまい。こんな想いを二度としないために俺は組織に入った。
戦う者を確実に根絶やしにして、戦いを終わらせるためにな！」
エックス「そんな…それじゃあ本末転倒だ！そんなやり方で戦いを終わらせたって何の意味も無いじゃないか！」
アンキロックス「俺は組織のやり方を信じる。止められるなら止めて見るがいい！」
アンキロックスは八佐官一の耐久力の持ち主で、エックスバスターのノーマルショットを弾き返し、
チャージショットでも極わずかなダメージしか与えられない。
またアンキロックスは八佐官ではギガホエールに次ぐ怪力を誇りパンチ、尻尾の鉄球、岩の投げつけによる攻撃の威力は凄まじい。
そこでエックスはアーマーをチェンジしながら歴代の大技を連発していった。
エックス「ギガクラッシュ！波動拳！ノヴァストライク！」
アンキロックス「ぐう！やるな…！だが負けるわけにはいかんのだ！」
殴りかかるアンキロックスだがエックスは軽くかわし、尻尾の鉄球のトゲを掴んで持ち上げそれを何度もアンキロックスの体に叩きつけ始めた。
エックス「お前自身の武器の威力はどうだ！」
アンキロックス「そんな事がいつまでも出来るか！」
鉄球はあくまでアンキロックスの体の一部であり、尻尾が振り回されるとエックスは吹っ飛び岩壁にめり込んだ。
続いてアンキロックスは落石攻撃を仕掛けたがエックスはすぐに壁から脱出し、
落ちてくる岩を飛び移っていきアンキロックスに到達するやいなや彼を蹴り飛ばした。 
一撃の威力こそアンキロックスが上回るが、攻撃を当てる回数や戦闘のセンスはエックスが遥かに上回り、アンキロックスは追い詰められていったが…
エックス「昇龍拳！！」
昇龍拳がアンキロックスの顎に決まった瞬間アンキロックスはエックスを睨みつけた。 


アンキロックス「邪魔を…するなァァァア！！！！！」


突然凶暴化し、攻撃が激しくなった。
アンキロックスのような大型でパワーのあるレプリロイドが激しく暴れたらその恐ろしさはかなりのもの。
だがそれより恐ろしいのは彼が何かに取り付かれたように表情をおぞましく歪め禍々しい殺気を放ちながら暴れ狂う様である。
手数も威力も増した強力な攻撃が次々とエックスを襲う！
エックス「何だ、いきなり強くなったぞ！この威力にこの殺気…やばすぎる！！」
エックスは攻撃の威力よりも彼の豹変振りに恐怖を感じ、反射的にＸファイアを発動させた。
エックス「チャージコレダー！」
アンキロックス「ウガーーーーーーッ！！！！」
やり方は違うとは言え、戦いを終わらせるために戦う男同士の、激しくも悲しい殴り合い。
先に勝負を決めたのはエックスの方だった。
アンキロックス「俺は…ここまでか…流石Ｓ級ハンターだ、な…」
アンキロックスは正気に戻った。
エックス「一体何がお前をそうさせたんだ！極端な思想と言い、今の豹変と言い、異常すぎるぞ！」
アンキロックス「俺は…自分のパワーを活かした仕事に誇りを持っていた…
だが…ある時、俺の現場で採掘された資源が∑大戦で兵器に利用され、たくさんの命を奪った事を知り、
深い絶望と怒りを感じた…
そこに俺の前に偉大なる指導者が現れて、今の世界を消し去るよう導いてくださったのだ…」
エックス「偉大なる指導者…ネクロスの事か！？」
アンキロックス「いや、ネクロス様も偉大な方だが、あの方も、他の御二方もその指導者に導かれて
組織に入られたのだ…あの…御方の…世界への深い憎悪に満ちた瞳が俺に共鳴し、
俺は自然に組織に入った…エックス…お前の瞳には迷いがある…
お前があの御方に会ってもその甘い考えを捨てずにいられるも、の、か…グゥッ！」
死亡。
エックス「まだ、上に敵がいるのか…その指導者が誰であろうと、俺はそいつを許さない！
絶対に許さないぞ！！！」
こうして８部隊の内実に半数が壊滅し、戦いを終えた8人の戦士達はそれぞれハンターベースに帰還した。
第九話「ハンターベース奇襲」
ラストユートピアが誇る八の部隊の半数が壊滅。
その知らせは早急に本部に届いた。
？？？「何、もう半分やられただと！？」
ネクロス「予想外の早さですな…！想像を超える敵の成長、そして強力な援軍が原因でしょう。」
ブースト「申し上げますとハンターには直接戦う者の他にも優秀な指揮官、ナビゲーターが的確な指示を出しておりまして、
彼等がハンター達が八佐官、十尉官の元へ辿り着くのを大幅に早めているのでございます。」
バルク「ヘッ、自分（てめー）自身はよえぇ癖によ、生意気だぜ！」
ネクロス「後方支援のレプリロイドも侮れませんな。要人の殺害となれば…
十尉官の長・ヒールガンナー大尉の出番ですな。
奴に総監やナビゲーターを抹殺させればこの遅れは必ず取り戻せましょう。」
？？？「それは名案だな。時間稼ぎはおろか、奴等に苦痛を与える事も出来るだろう。今すぐ指令を出せ。」
こうして「ヒールガンナー」にシグナス・エイリア・ナナ抹殺指令が下された。

同時刻、ハンターベースでは――
シグナス「皆よくやってくれたな。全員帰り次第次の指示を出すとしよう。」
ナナ「皆さんリベリオン・リディプス事件の時より遥かに強くなってましたね！
ナビゲーターの人達も凄く強かったです。」
エイリア「私のバスターももう少しで修復が終わるし、レイヤーとパレットが頑張ってるんだから
残り四部隊との戦いには私も参加したいわね。」
その時、何発かの巨大な銃声と共にベースの壁が吹き飛び、穴の向こうからヒールガンナーが現れた！

シグナス「貴様、敵からの回し者か？」
ヒールガンナー「俺は十尉官の１人、ヒールガンナーだ。
早速だが死んでもらうぜ。お前達を抹殺するよう命令を受けているんでね。」
ナナ「そんな、こんな時に、いや…こんな時だからこそという事！？」
エイリア「こうなったら私が素手で…」
シグナス「いや、待ちたまえ、実は私はこうなる事も予想の範囲に入れていてもう１人助っ人を呼んでおいたのだ。
さあ、出番だぞ！」
ヒールガンナーは銃弾を３発、それぞれシグナス、エイリア、ナナの頭に向けて発射してきたが…
何者かが突如現れ高速回転のブレードで銃弾を弾いてしまった！
エイリア「貴方は…ダイナモ！！」
ヒールガンナー「元同業者か…！」
ダイナモ「昔奇襲したここを今回は奇襲から守ることになるとはな。」
シグナス「こんな状況だ。相手を選んではいられん。」
何とシグナスはダイナモにハンターベースの護衛を依頼していたのだった。
かつては敵としてハンターの前に立ちはだかったダイナモだが、エックスとゼロへの敗北と
エイリアとの運命的な出会いから今ではすっかり改心し、各地でそれまでの罪を償って回っていたのだった。
ヒールガンナー「仕事の邪魔をするなら、貴様にも死んで貰おうか。」
ダイナモ「やなこった。お前を倒し、ここを守るのが俺の仕事だからな。」
ヒールガンナーはダイナモに銃弾を発射してきた。
実はこの銃弾はとんでもない重量で、またそれを発射する銃も特別性であり重い銃弾を驚異的な速度で撃ち出す事が出来る。
そのため破壊力は見た目からは想像もつかないものなのだが…
いずれもDブレードであっさり弾き返されてしまう。
ヒールガンナー「バカな、俺の銃を弾くだと…！？」
ダイナモ「あいにく俺自身もDブレードも昔の大戦の時から大幅にパワーアップしてるんでね。喰らいな！」
そう言ってダイナモはDブレードを高速で連発する。
ヒールガンナー「グ、貴様に用は無い！」
任務遂行のため銃を３人に向けて放つがどれもすぐDブレードで弾かれ、さらにヒールガンナー自身もDブレードで攻撃されてしまう。
エイリア「凄い！戦いながらどんどん私達から離れていくわ！」
ヒールガンナー「貴様を倒さずして任務は遂行出来ないという事か…！」
またも銃を連発し、その結果流れ弾や跳弾が壁や機械を木っ端微塵に吹き飛ばしていく。 
ダイナモ「あ、このやろ！」
ダイナモはDブレードをヒールガンナーの銃に向かって投げつけ、銃を破壊してしまった。
ヒールガンナー「チッ、ならばこれだ！」
ヒールガンナーは背中のレーザー砲を取り、ダイナモに発射しようとした。
このレーザー砲の威力は今までの銃の数十倍はある。
ダイナモ「危ねえ！」しかしダイナモはレーザーが発射される瞬間、体をかがめ即座にレーザー砲を蹴り上げてしまった！
レーザーは天井に当たり、空が丸見えな状態になってしまった。
ダイナモ「すげえ威力だな。だがもうこれを喰らう事は決して、ない！」
すかさずDブレードでレーザー砲をバラバラにしてしまった。
ヒールガンナー「これで万事休すではないぞ。何故俺があの銃やレーザー砲を使えるか… 
それは俺に銃やレーザー砲の威力から来る反動に耐えるだけのパワーがあるからだ！」 
銃を失ったヒールガンナーはダイナモに殴りかかってきた。
ダイナモ「グウッ、いいパンチしてるねえ。だが、パンチが強力なのはお前だけじゃないぜ！
ダブルアースゲイザー！」
殴ると同時に両手からのアースゲイザーをヒールガンナーの体に直に喰らわせる。
このエネルギーには流石のヒールガンナーの体も耐えられず、致命傷となった。
ヒールガンナー「お、俺は死ぬのか…ならせめて任務を…何！？」
３人はとっくに遠くへ避難していた。
ヒールガンナー「初めてだな、任務に失敗したのは…貴様は道連れにはせん！
最期の最期まで、俺は孤独！！！！」
吹き飛んで死亡。
ダイナモ「何カッコつけてるんだか…」
しばらくして帰還したハンター達が滅茶苦茶になったハンターベースや、ダイナモがいることに驚いたのは言うまでも無い。

その頃…
？？？「…中々面白い余興だったぞ。」
ネクロス「も、申し訳ございませぬ！奴等があのダイナモを呼び、さらにダイナモがヒールガンナーを倒す力をつけていたとは
予想だにしておりませんでした故…！！」
？？？「次から次へと予想外な事が起こるな。だがあまり上手く行き過ぎてもつまらないからこのくらいが丁度いい。
それにアイリスの復活まで間に合えば奴の勝敗などどうでもいいのだ。」
ネクロス「それなら心配はございませぬ！現在アイリス、カーネルのボディとソウルの融合は完了し、
後は時間の問題でございます。
加えて残りの４部隊には８部隊中最強の『空爆隊』がございます。
奴等が如何に強くとも彼女が先に目を覚ますのは必然の事。
ご安心くだされ。」
？？？「それは真か？ならばアイリスが目覚め次第至急俺の元へ連れて参れ。」
ネクロス「ハッ、仰せのままに！」
ネクロスの言葉どおりカーネル・アイリス兄妹はハンター達が残り４部隊と戦っている真っ最中に目を覚ます事になる…
第十話「後半戦突入」
ミッションを終え帰還したハンター一同。
ゼロ「まさかシグナスがダイナモも呼んでいたとはな。」
エイリア「彼はもう悪い事はしないわ。私が保証する。」
シナモン「レ、レイヤーさん！どうしたんですか？まだ治ってないところがあるんですか！？」
先の戦いで最もダメージを負ったレイヤーをシナモンが一瞬で治療したのだが、まだ様子がおかしい。
顔は青ざめ、息を荒げ、小刻みに震えている。
マリノ「いや、体の傷は簡単に治っても心の傷まではそう簡単に治らなかったみたいだね…」
レイヤー「私…、まだ、やれます…総監、早く指示を…！」
シグナス「気持ちは嬉しいが戦闘力は精神状態でも大きく左右するからな。
今の君のコンディションでは直接参加は…」
レイヤー「しかし…！」
エイリア「レイヤー、無理をしないで頂戴。エイリアバスターの修復が終わったから今回は私が代わりに出るわ。
それにナビゲーターもミッションには必要不可欠よ。あなたの力が必要なの。」
レイヤー「エイリアさん…分かりました。今回はナビゲーターを務めさせて頂きます。」 　　　　
シグナス「というわけでここに示す４ヶ所が敵の拠点だ。
前回のように２人ずつ４組に分かれて出撃してくれ。」
ダイナモ「ここの護衛は俺に任せときな！」
今まで息を潜めていた残り４部隊。
彼等はハンター達が今までの４部隊と戦っている間にはある部隊は会議中、
またある部隊は１つの区域を完全に壊滅させ、次の目的地へ移動中だった。
しかし彼等が活動を再開し、またしても全世界を破壊と殺戮の嵐が包む！
そんな彼等の元にハンター達が送り込まれ、全面戦争は再開された…

エイリアはパレットと軍事コンピュータ施設に向かった。
そこの部隊の隊長はあらゆる兵器をコントロールする巨大な軍事コンピュータをハッキングし、
それにより１ヶ所に止まりつつも世界規模な破壊活動を可能にしている。
また、現在そのコンピュータ内部では現実世界と電脳世界が入り混じっているため
ルートは複雑に入り組み、奇妙なトラップや敵が出現する不思議な空間と化していた。 

パレット「にしても、なんでエイリアさんバスターを封印しちゃったんですか？」
エイリア「戦う事に疑問を感じ始めていたからね。エックスにゼロ、アクセルに戦いで辛い事があったのを聞いたり、
私自身知人のレプリロイドを破壊させられてしまい、それが大戦に繋がるきっかけの１つになった事があったから…
それで落ち着いたから戦場から完全に離れることにしていたの…」
パレット「（結構楽しそうに見えたんですが…）」
エイリア「うるさいわね！」
そんなこんなで奇妙で複雑なステージを頭脳プレイで進んでいく２人だが…
目の前にワープホールが２つ現れた。
ここの八佐官と十尉官を両方倒すためにはどうやら別々のワープホールに乗らなければいけないらしい。
エイリア「しばらくお別れね。先に敵を倒した方が後から合流することにしましょう。」
パレット「わかりましたー！」
エイリアが向かった先には巨大な脳のような物体が出現した。
実はこれこそが十尉官・ビッグブレーン中尉なのである。

エイリア「何よこれ！気持ち悪いわね！」
ビッグブレーン「キモチワルイトハ失礼ナ！アー、ワタシハ十尉官ノ１人ビッグブレーン。
早速デスガ侵入者ハ排除セヨト中佐殿ノ命令デス。ヨッテアナタヲ排除サセテ頂キマス。」 
ビッグブレーンは目からのエネルギー弾、手からのレーザー、そしてザコや砲台を操って攻撃してきた。
また彼はエイリアの攻撃パターンを計算し、それに合わせて対応した戦いをする。
しかしエイリアは一瞬で勘を取り戻しビッグブレーンの計算を上回る動きをして
チャージショットでダメージを与えていった。
そしてバスターのショックでビッグブレーンの装甲の一部が剥がれた。
エイリア「あれ、これって…」
エイリアはすぐにビッグブレーンの異常を見抜き、素早い操作で修復を始めてしまった！
ビッグブレーン「ナニヲスル！ヤメ…！ソコハ…！！」
エイリア「やっぱり、私にはこっちの方が向いてるかもね。」
ビッグブレーンをイレギュラーにしていたウィルスが一瞬にして消滅した。
ビッグブレーン「アレ、ワタシハ一体ナニヲ…」
エイリア「実はこういう事があって…」

ほぼ同時刻。
パレット「あれぇ～、一気に簡単になりましたよ～。」
ビッグブレーンが倒された影響で施設の姿が元に戻った。
さらに進むと後ろを向いている八佐官のパラサイト・ウィルザード中佐がいた。

ウィルザード「ビッグブレーンめ、しくじったか…」
パレット「貴方がボスですかー？」
ウィルザード「いかにも。ナビゲーターのパレット、か…
さぞかし優秀な頭脳を持っているようだが、物分りがいいのなら私の愛の慈善活動に手を出さないでくれたまえ。」
パレット「慈善、活動？何言ってるんですかー？」
ウィルザード「人間もレプリロイドも愚かな理由で他者を憎み、或いは己の欲望のために蹴落とし、つまらぬ争いをする。
そして苦しみ死んで行く。有象無象と生まれては戦い、苦しみ、やがては死ぬ。愚かだが哀れだと思わないかね？
だが私はそんな愚か者共にも愛の手を差し伸べ楽にしてあげようとしているのだよ。」 
得意げに語るウィルザード。
パレット「ふむふむ、よぉーく分かりました。」
ウィルザード「おや、随分話が分か」パレット「貴方がイレギュラーだって事が。」
ウィルザード「私の買いかぶりだったか…」
パレットはパレットバレットを連射してきたが…
ウィルザード「それは、攻撃なのか？」
全然手応え無し。
パレット「パ、パレットバレットの売りは一撃の威力じゃなくて手数の多さですよっ！えいっ、えいっ！」
ウィルザード「一理あるな。だが、私は的ではない…」
手から丸い物体を発射してきた。
パレットが避けるとその物体は床で破裂し、床を溶かしながら大穴を開けた。
パレット「わわっ、これはヤバいです！」
放物線を描いて飛んでくるので懐に潜り込み至近距離からの攻撃を試みたが…
ウィルザード「甘い！」
手からウィルスを具現化した剣を出現させ、斬りつけた。
パレット「え、何？体力が減っていく？」
切断は免れたものの状態異常「ウィルス」になってしまった。
ウィルザードはすかさず六本の脚で高速の連続蹴りを繰り出し、パレットの全身に大ダメージを与える。
パレット「痛い痛い痛い！！！」

こちらの攻撃はいくら撃っても手応えは無く、しかも敵の技は強力かつ特殊なものばかり。
パレット「つ、強いです…」
ウィルザード「愚かなほど弱いな。だが私は貴方も楽にしてあげよう。」
ウィルザードが止めを刺そうとしたとき、彼の顔面をチャージショットが直撃した！
ウィルザード「何！？」手元が狂っただけで、大したダメージは受けていない。
エイリア「遅くなってごめんね、パレット！」
パレット「エイリアさん、こいつ、強過ぎですよ！ヤバ過ぎですよ！
打たれ弱いと聞いてるのに歯が立たないですよ！」
エイリア「確かに、私達の武器ではビクともしないわね。
でも忘れたの？今回の戦いでは八佐官からの特殊武器も手に入っているのよ。」
パレット「そうか！え、と今回のボスは一応打たれ弱い筈だから、これですね！」
エイリアとパレットは鉄球を振り回す特殊武器「グランドブレイカー」でウィルザードを攻撃した。
ウィルザード「グハッ！！アンキロックスの武器か…！」
パレット「やった！」エイリア「この調子で行きましょ。」
２人はウィルザードを鉄球で攻撃しまくる。
しかしこの武器は射程が短く、ウィルザードも本気を出した為２人も反撃を食らう。
ウィルザード「手こずらせおって、そろそろ楽になりたまえ！何ッ！？」
壁から砲台が出現し、ウィルザードを攻撃！
ビッグブレーン「ヨクモワタシヲアヤツッテクレマシタネ！ユルシマセンヨ！」
ウィルザード「エイリアの仕業か！？味な真似を…！」
エイリアとパレットも攻撃を再開。それでも何とか応戦するウィルザード。
しかしある時…
エイリア「来たわね！」パレット「来ましたね！」
エイリア＆パレット「ダブルアタック！！」
２人はダブルアタックを発動。
この時ばかりはエイリアバスターもパレットバレットもウィルザードに強烈なダメージを与える。
ウィルザード「愚か者共がぁーーー！！！！！」死亡。
ビッグブレーン「マッタク、ヒドイメニアイマシタヨ！」
パレット「ハァ、ハァ、勝った、勝ちましたよぉ～！」
エイリア「それにしてもこれが八佐官…他の皆は大丈夫かしら…」
第十一話「シナモンの覚悟！」
アクセルとシナモンは発電基地に来ていた。
シナモン「それにしても、今回生き返るというゼロさんの恋人ってどんな人なんでしょうか、会ってみたいです。」
アクセル「うん、僕も結構前からあの人の話は聞いていて、気になってたんだ。あの不器用そうなゼロに恋人って興味深いよね。
あの人を生き返らせてくれる今回の敵ってけっこういい人、…ってわけではないね。
それとこれとは話は別、イレギュラーを見過ごすわけにはいかないよ！」
シナモン「そうですねー」
この基地では世界中から電気を横取りし、その電気を組織に提供している。
それにより世界中で大停電が発生し、人々の機動力はすっかり削ぎ落とされ
移動、連絡、抗戦等が難しくなり大量殺戮の格好の的になってしまうのだ。
尚且つ組織は大量の電気を独占する事でその活動をかなり有利に進める事が出来る。
これは組織以外にとっては完全に悪循環である。
またこの基地はスイッチで動かせる巨大な障害物や強力な電流トラップが大量に設置されており
対応したスイッチで解除しながら進む事になる。
進むに連れて次第にスイッチと仕掛けの距離が開いていき、別行動を取らざるを得なくなった。
アクセル「さて、もうそろそろ終わりかな？」
アクセルが進んだ先にはボスの元へ行ける様になる重要なスイッチがあったのだが、
スイッチに向かって走り出した途端フレイムジャイアントとアイスジャイアントの最後の兄弟にして、
十尉官の一人でもあるサンダージャイアント中尉が出現した。

サンダージャイアント「イヒヒヒヒ！ガキだガキだガキだぁーーー！！！
ガキの悲鳴聞くの大好きなんだよぉー！！イヒ！ギヒ！」
アクセル「あー、ちょっと通してくれないかなー？邪魔なんだけど。」
サンダージャイアント「無理無理無理ー！お前ここでいたぶり殺されるからー！
イヒーーーッヒッヒッヒッヒッヒ！！！」
サンダージャイアントは雷を大放出してきた。
この雷は彼の兄弟同様技の出が早く攻撃範囲も非常に広い。
しかし闇雲に狙ったのではアクセルには命中せず、同時にアクセルバレットの反撃も喰らう。
サンダージャイアント「大人しく当たってくれよぉおおお！！！」
アクセル「そー…れ！」サンダージャイアント「ブ！」
雷を当てようと暴れまわるサンダージャイアントの地に付いている方の脚を蹴飛ばし、転ばせてしまう。
サンダージャイアント「ギ…ギ…ギヒャー！ギヒャー！！」
サンダージャイアントは完全に理性を失い、さらに攻撃の狙いが定まらなくなってきた。 


一方でアクセルのバレットの威力と狙いの正確性はパレットより遥かに上である。
勝負はあまりに簡単に付いてしまった。
サンダージャイアント「ギヒアァーーーー！！！」死亡。
アクセル「なーんだ、見掛け倒しでてんで弱いじゃん♪」
前半戦、後半戦共に自分より弱い相手と当たった事によりアクセルは
完全に敵を侮り、見下す事になるのであった。

一方シナモンはボスの部屋に行ける様になり、最深部にあるここのボスの部屋に入った。 
シナモン「あれ、真っ暗…」
そこは真っ暗で光と言えば壁の機械のランプ等の光だけだったが…
突然あらゆる方向から電流が集まり、一箇所に集中した。
集まった先には八佐官・ボルティック・ウナギール中佐がおり、彼が放電すると同時に部屋が明るくなった。

ウナギール「あれー？かわいいお客さんだねー。何しに来たの？…ってここのトラップ潜り抜けてきたなら決まってるか。」
シナモン「お願いです、皆に電気返してください！皆困ってるんです！」
ウナギール「やーだね。っていうかさ、やりたい放題やったら良くて嫌われ悪けりゃ殺されるとか、
宗教、思想、種族の違いやらで争いが起こったりとか、そういう争いを長々と引きずったりとかウザくね？
そんなウザイのがゴチャゴチャしてる世界なんかパーッと吹き飛ばしちゃった方が面白くね？」
シナモン「だ、ダメですよぉ、皆殺しちゃうのは可哀想すぎます！」
ウナギール「いーじゃんいーじゃん。どうしてもダメ？」
シナモン「ダメです！」
ウナギール「お前も、ウザイな。」
シナモンはにゃんこグローブでウナギールを攻撃しようとした。
が、その細長く柔らかい体をくねらせて全て回避されてしまう。
ウナギール「ビンタってのはこうやって撃つんだぜ！」
ウナギールはシナモンの背後を取り手をシナモンの顔の前に回りこませ、強烈な往復ビンタで攻撃した。
シナモン「うぅ…」
ウナギール「ほいほいっと。」
シナモンがふらついている隙にその手足を活かした関節技をかけ手足をバキバキ折る。 
シナモン「う…痛…！」
ウナギール「ほーらよっ！」
さらに体から伸びるコードをシナモンに絡め強力な電流を流す。
シナモン「キャアァアァアアアア～！！！」
シナモンが防御力が高いのはあくまで全レプリロイドの中ではの話であって、
八佐官の攻撃には敵わなかった。
シナモンはウナギールの攻撃に成す術も無く倒れてしまった…
ウナギール「ケンカ売るにも相手選びなっての。念の為、止めといくか。」
締め付け攻撃でバラバラにする気である。
しかし、締め始めるや否や突然シナモンが目を開けハイパーモード「アイアンメイデン」を発動した。
シナモン「私は…皆がいる…皆で守ってきた今の世界が好き…だから、決めた…
世界の為自分の意志で戦うって…！」
エンジェリックエイドで回復し、その直後強烈なビンタを放った！
ウナギールは吹っ飛び、壁に激突した。
ウナギール「オイオイマジかよ…」大ダメージを負っていた。
アイアンメイデン発動後のシナモンの防御力は格段に上昇し、放電攻撃は大して効かず、 
関節技や締め付け攻撃をしようとすると速さも増したビンタの反撃で大ダメージを受けてしまう。
ウナギール「何なんだよ、急に力が増して…こうなったらあれしかねーよ！」
ウナギールは放電しながら締め付け攻撃をしてきた。
この攻撃の威力は今までの攻撃のそれより遥かに高い。
しかしシナモンが硬くなっているため締まりきらず、手を動かせるシナモンの反撃も喰らい、
根競べとなった。
ウナギール「く、もうとっくに死んでもいいはずなのによ！」
シナモン「く、くううう！！」
ウナギールはシナモンの顔を見た。
ウナギール「（何つー意志の強い目をしてんだ…！
そうか、これが覚悟を決めた者の力なのか…負けたぜ、完全にな…
そういや俺、今まで何かに本気になった事なんてなかったなぁ…）」
やがてビンタがウナギールの防御力を削っていき、勝負を決めた。
しばらくしてアクセルが到着したが、ウナギールは既に死んでいて
シナモンは回復により殆どダメージはなかった。
アクセル「あれー、もう倒しちゃったの？ここはボスも大したこと無かったね！」
さらに調子付くアクセルだった…

その頃ラストユートピアの研究室の中、
カーネル・アイリス兄妹がついにその永き眠りから覚めた…
第十二話「ＡＬＩＶＥ」」
アイリス「う、うう…ここは一体…」
カーネル「私は…確かに死んだはずなのだが…」
レプリフォース大戦時、軍の誇りのためゼロとの戦いで散っていった兄カーネルと、
その兄がゼロに倒された事で彼と戦い結果悲劇的な最期を遂げた妹アイリス。
その２人が今、完全に復活を遂げた。
目を覚まして暫らくすると互いの姿を見て驚いた。
カーネル「アイリス！そうか、お前が治してくれたのか！？」
アイリス「いえ、兄さんは確かにゼロに倒されて死んだわ…
私は兄さんが倒されたショックでゼロと戦い、それで倒されたの…」
カーネル「待ってくれ、それではお前も死んだのか！？」
アイリス「兄さんが目の前にいるという事はそうみたいね。じゃあここは天国なの！？」 
ネクロス「やった、ついにワシはやり遂げたぞ！皇帝陛下にお仕えして以来最大の偉業じゃ！！ウヒーヒヒヒ！！！」
アイリス「おじいさんは一体…」
ネクロス「おっと、興奮して取り乱してしまったわい。ここは天国じゃなくてこの世じゃよ。
ワシの名はネクロス。お前さん達は確かに死んだがとある御方のご命令で
ワシがお前さん達を現世に呼び戻したのじゃ。」
カーネル「何が一体どうなっているんだ？詳しく話してくれないか？」
ネクロス「説明したいのは山々なんじゃがお前さん達兄妹、
特にアイリスに会いたいと思われている御方がいらっしゃっての、
お前さん達が復活し次第すぐ連れて来るように言われておる。
詳細が知りたかったらワシについてくるがいい。その時にいくらでも聞かせてやろう。」 
アイリス「（どうするの、兄さん。）」
カーネル「（とりあえずついて行くとするか…）」
３人が部屋から出ると、そこにはバルクとブーストがいた。
バルク「お疲れでしたぜ、大将殿！」
ブースト「ご苦労様です。」
ネクロス「うむ、こやつら兄妹は体の構造が特殊での。ワシの技術力でも手こずったわ。」 
そしてネクロスはカーネルとアイリスに向かって言った。
ネクロス「こやつらはワシの右腕でデカブツの方がバルク少将、若造の方がブースト中将で、
大将のワシとこやつらで三将官じゃ。」
バルク「改めて見るといい女じゃねぇか。まあ宜しく頼むぜ。」
ブースト「なるほど美しい。この私が他人に見とれるとはな。
我々の組織の名前はラストユートピア。戦火で荒廃したこの世界に楽園をもたらす者… 
勿論貴方達も必ず楽園へといざなってあげよう。」
アイリス「うわぁ、本当に大きいわね。」
カーネル「それより楽園とは何の事なんだ？」
ネクロス「ではそろそろ皇帝陛下の元へ案内するとするかの。バルク！ブースト！後は任せるぞ！」
バルク「ヘイ！」ブースト「了解。」
そして３人はその「皇帝」がいる部屋へと向かっていった。
その部屋に向かって進むに連れて兄妹は強大な「力」を感じ始めた。
それは今まで感じた事も無いような何とも形容し難いがとてつもなく強い気配だった。 
アイリス「私、何か胸騒ぎがするの…」
カーネル「ああ、私も凄まじい『何か』を感じるぞ。」
ネクロス「安心せい。お前さん達に害をなされることはないぞ。」
３人の乗ったエレベーターは最上階に到達し、廊下の奥には禍々しい装飾がされた巨大な扉があった。
その奥にラストユートピアの構成員達を導き、尚且つ強大な力を持つ「皇帝」なる人物がいるのだ。
兄妹は部屋に向かう際その人物が自分達が予想だにしなかった
とんでもない「怪物」である事を予感していたのだが、扉を前にしてその予感は確信に変わった。
そして扉を前にネクロスは叫んだ。
ネクロス「皇帝陛下！アイリスとカーネルの２人をお連れしました！」
？？？「入れ。」
アイリス「（ゼロ…）」
アイリスの不安をよそに、ネクロスは扉を開けた。
第十三話「皇帝ノストラジス」
扉の先の部屋の奥。
そこには玉座がありラストユートピアの首領である「皇帝」とよばれるレプリロイドが座していた。
彼はヘルメットは被っておらずやや長い真紅の髪が露になっていたが、
その代わり硬そうな仮面で素顔を隠していた。
体格はかなり大柄でマントを羽織っていた。
何より特徴的なのは仮面から覗く血走った目だった。

三将官と同じく見た目からして善良なレプリロイドにはとても見えないが、
内から漂う強く禍々しい気配が余計にアイリス達を不安に陥れた。
同時に、アイリスはある不思議な感情を一瞬覚えた。
彼と以前どこかで会ったのかも知れないと。
ネクロス「皇帝陛下！アイリスとカーネル、しかと蘇らせました！」
？？？「大儀であった。早速俺はこれから彼女達と話がしたい。お前は下がってよいぞ。」 
ネクロス「ハッ！」ワープして消えた。
アイリス「あの、『皇帝陛下』さん、話って一体何かしら？というより今がいつの時代なのか、
ここが何処で貴方達が何者なのか、レプリフォースはどうなったのか、
何から聞いていいのか分からないわ…」
？？？「俺の事は本名、ノストラジスでいい。アイリス、君に会えるのを楽しみにしていたぞ。
カーネル、お前はアイリスにとって必要な存在だからアイリスと共に蘇らせさせた。」
カーネル「ノストラジスと言ったな、まずはレプリフォースがどうなったか教えてくれないか？」
ノストラジス「残念な事にレプリフォースはハンターに敗北し、壊滅した。
後から分かった事だがあの事件は∑が影で糸を引いていたという事だ。」
アイリス「そんな…！」
カーネル「軍を、部下を失った私はどうすればいいのだ！」
ノストラジス「カーネル！お前がつまらぬ意地を張った所為で自身や軍全体はおろか
大事な妹まで犠牲にしてしまったのだぞ！こうしてまたアイリスと共に生を受けたからには
今度こそアイリスを悲しませぬよう守り抜いてみせよ！
お前達兄妹は互いに無くては成らぬ存在であろうが！
お前を蘇らせる際お前のボディには多少強化を施し三将官と同等かそれ以上の力を与えている。
この力でアイリスを守りこれから我が組織が創る永遠に戦争の起こらぬ楽園で生きるのだ！」
カーネル「う、うう…」
アイリス「それにしてもあの∑が黒幕だったなんて…あの男がいては楽園も平和も成り立たないわね。
貴方達も∑を倒そうとしているの？」
ノストラジス「いや、∑はあの大戦の時ロックマンＸとゼロに倒された。その後奴は何度も復活しては
大戦を起こし全世界に壊滅的被害をもたらしたが、最終的には完全消滅した。
他にも∑が造ったレプリロイドが『神になる』とか『新しい者が支配する』とかという大それた野望を抱き
くだらない事件を起こしたり、∑大戦の影響で元から仲の悪かった２つの軍事国家の仲がさらにこじれ
大規模な戦争を起こし共倒れするといった事件もあったがいずれも解決した。
だが人々の記憶からは戦争の記憶は無くなりはせず、世界各地は冷戦状態、
いつ戦いが起こってもおかしくないというのが現状だ。
我々ラストユートピアはその現状を打破し、この世を楽園に変える為に結成された組織なのだ。」
アイリス「貴方は一体何者なの？何故か以前どこかで会ったような気がする…」
ノストラジス「気がついてくれて嬉しいぞ。その通り。俺と君が会うのは初めてではない。」
アイリスはレプリフォース大戦時、戦いで負傷したレプリロイド達を治している際
その中に赤い髪で身元が一切不明のレプリロイドがいて、彼から今のノストラジスのような
不思議な雰囲気を感じたのを思い出した。
特に印象的なのはその悲しげな表情だった。
しかしそのレプリロイドは華奢な少年型レプリロイドで背もアイリスより少し高いぐらい、何より仮面などつけていなかった。
対してアイリスの前にいるノストラジスはカーネルより大柄で堂々とした体躯で、
仮面でその顔を覆い隠している。
ノストラジス「さて俺の事だが第一次∑大戦が始まるさらに前、俺はとある裏組織によって造られた。
秘密を守る為か、俺の生みの親の顔は俺自身も知らない。
小さな組織で情報収集能力だけがやたらに長け、自らの利益の為ならハンター側にも
イレギュラー側にも寝返った。
表に知られる事無く殺し合い、騙し合いだけの世界で俺は組織の為に尽くした。
それは言葉にし難い苦痛の連続だったが∑大戦が始まった時その苦痛はさらに激化した。 
気が狂いそうになりながらも俺の感覚は麻痺していった…
そしてあのレプリフォース大戦時、俺はレプリフォースの『力と優しさを兼ね備えた
究極のレプリロイド』計画で開発されたレプリロイド――君達兄妹の事だが、
その件の調査の為スパイとしてレプリフォースに近寄ったが、しくじって負傷してしまった。
その時調べる予定だった君に命を救われたのだ。」
アイリス「やはり貴方はあの時のレプリロイドなのね！でもその姿は…」
ノストラジス「俺は人間のように肉体を鍛えれば鍛えるほど体格が大型化し、
それに見合って強化されていくように出来ているのだ。
それだけではなくあらゆる能力、耐性が訓練次第でいくらでも鍛えられる。
無論俺を造った組織は俺を限りなく万能に近づけようと日々拷問のような仕打ちをしてきたのだがな。
話を続けよう。君に救われた時俺は生まれてから感じた事の無い感情を覚えた。
初めて善意を受けた事への驚きから始まり、それから何か暖かいものを感じ始めた。
そして君を幸せにしたい、死なせたくないと強く思い始めたのだ。
しかし後ほど俺は君がゼロに殺された事を知り、例えようの無い怒りと悲しみ、悔しさを感じた。
君を殺したゼロを初めとするハンター、事件の黒幕で何度も大戦を起こした∑、
弱いくせにレプリロイドを支配する人間共、俺を苦しませた組織…
それら全てに憎しみの炎を燃え上がらせた。
レプリフォース大戦後、俺は組織のメンバーを皆殺しにして一人当ての無い旅に出たが、 
 それも苦痛の連続だった。
∑はあれ以降も復活を繰り返し、その度に俺は死に掛けた。
旅の途中、俺は自分を守る為、そして全てに復讐する為死と隣り合わせの鍛錬を何年も続けたのだが、
ある日俺は自分に数多のレプリロイドの心を動かす不思議な力がある事に気がついた。 
人間の、歴史上極少数いる偉大な指導者達のような力だ。
俺は自らの鍛錬で鍛え上げた戦闘力とその不思議な力を利用してこの組織を結成した。
その時ネクロスと出会い、君達をこの世に呼び戻させた、という訳だ。」
アイリス「あの時私がやけになってとった行為が貴方にこんな苦しみを…ごめんなさい。」
ノストラジス「気にせずとも良い。君はここに戻ってきたのだからな。
君を前にするとこの荒んだ心も癒されるようだ。この仮面が取れる日も近いかも知れん。
アイリス「それって、どういう事？」
ノストラジス「俺の顔は君が死んで以来君の死による悲しみ、以降の大戦で受けた苦痛、
この世の全てに、特にある男に対する憎悪によって醜く歪んでしまったのだ。
その男の名は、ゼロ！」
アイリス「お願い、私なんかの為にゼロを憎んだりしないで！彼も私と望んで戦った訳ではないのよ！」
ノストラジス「君を殺した事もあるが…俺がゼロを深く憎むのはある事実を知ってしまったからだ。
現在まで起こった大戦はいずれも元を辿れば∑が関わっているのだが、奴とて昔は
正義のハンターだった。
だがある日凶悪なイレギュラーからウィルス感染し、自らがイレギュラーとなったのだ。 
そのイレギュラーこそがゼロなのだ！ゼロこそ最大のイレギュラーで∑もゼロの被害者だったのだよ！」
アイリス「そ、そんな、ゼロの出生がそんなものだなんて…！嘘でしょ！お願い、嘘だと言って！」
ノストラジス「本当だ。その証拠に奴は∑ウィルスでパワーアップし、さらに∑ウィルスより強力な
ゼロウィルスを体内に秘めている。
奴はレプリフォースを滅ぼし、今回はハンターと共に我が組織にも手を出そうとしているのだ。
既に奴を含むイレギュラーハンター共によって組織の構成員はかなり倒されている。
分かるか、これが奴の本性なのだ。ここに来たら再び君を殺そうとするかもしれん。
だがその時は、俺がゼロを葬り去って君を守ってあげよう。」
アイリス「レプリフォースに手を出さないでって言ったのに…！それにゼロが本当の元凶だったなんて…！
嫌…！イヤアアァァァァァ！！！！！」
カーネル「落ち着けアイリス！それにイレギュラーハンターに狙われると言う事は
この組織はイレギュラー認定を受けるような事をやっているのか、楽園とやらのために！？」
ノストラジス「うむ、俺達が目指す楽園を創造するにはそれなりの対価が必要なのだ。 
愚かなハンター共はそれを理解しようとしない。
いいかアイリス、カーネル…
散々利用した挙句イレギュラー疑惑が生じるや否や君達を追いやった人間共を憎め。
戦いを繰り返すレプリロイド共を憎め。
君達を倒し、全てのイレギュラー大戦の元凶であるゼロを憎め。憎むのだ…」
そう言ってノストラジスはカーネルとアイリスの目を強い視線で見つめた。
その時兄妹は彼の目から強烈な「何か」を感じた。
それは憎しみを煽られるような、そして彼に従いたくなるような感情、
即ち今のラストユートピアの構成員が感じたものと同じようなものだったのだが…
一度過ちを犯したカーネル、そしてそういう感情の奥にある別の強い何かを感じたアイリスは
この時点では術中に陥らなかった。
カーネル「気持ちの整理がつかない。暫らく考えさせてくれないか。」
ノストラジス「いいだろう。俺はそう急かさない。
君達兄妹がいい返事を聞かせてくれるのを待っているぞ。」
一度下の階に戻った兄妹。
ブースト「まあいきなり色々な事を知ってしまっては何から考えていいのか分からないのも無理はないだろう。
だがすぐに分かるであろう。あの御方は他者の心の中の憎しみという魔物を育て上げ、しかも飼いならす事が出来るのだ。
我々も皇帝陛下のあの力に魅せられ、ついていく事にしたのだからな。」
アイリス「いいえ、私はあの人の目からは何か悲しげな、そして助けを求めているような感じがしたわ…」
バルク「ハ？何言ってんだおめぇ？」
ブースト「術中に陥ったということだろう。皇帝陛下の悲願が成就なされる時も近いな、ククク…」
真実を知ってしまったアイリス、その心は大きく揺れる。
その事を利用し、アイリスの愛を我が物にしようとするノストラジス。
彼の狂気は後にアイリス、そしてゼロをも苦しめる事になる…
そして舞台は再び戦場へ―――
第十四話「鮮血の森林」
マッシモとマリノは森林に来ていた。
パワー、スピードにそれぞれ差がある２人は既に別行動を取り、役割を分担していた。
そこの部隊は森林を守る為外部の者が侵入しないよう警備していると聞いたのだが、
実際に彼等が目にした光景は阿鼻叫喚そのものだった。
マッシモは森に入るとあちこちに血が飛び散っているのを見た。
さらに進むとそこには目を覆いたくなる惨たらしい光景が繰り広げられていた。
斧やチェーンソーを持ったラストユートピアの兵士達が拘束された人間達を切り刻み、 
また別の兵士は切り刻んだ死体を木の根元に埋めたり、動物の餌にしていた。
響いては消えていく絶叫、血に染まる大地、散乱する人肉…
マッシモは一瞬絶句したがすぐ我に返り、次の瞬間には怒りを覚えた。
マッシモ「何をやってるんだ貴様らは！！！」
ザコ「俺達はエコロジーの為にやってんだよ！」
ザコ「増えすぎた害虫共も駆除できて一石二鳥だぜ！」
マッシモ「ふ…ざけるなああああ！！！」
マッシモは驚異的なパワーでザコを蹴散らしながら進むと、彼等を指揮する斧を持った大男が
狂喜しながら人間を斧で斬ったり踏み潰したりして殺しているのを目にした。
彼こそが十尉官の一人・メタルロガー中尉であった。

マッシモは生き残った捕虜の縄を引き千切って逃がした後メタルロガーと対峙した。
マッシモ「何故貴様らはこんな残虐な真似を平気で出来る！？」
メタルロガー「良心なんて便所に捨てちまったからだよ！慈悲や優しさなんぞ戦いの邪魔だからなぁ！
今の俺は、昔の俺より遥かに強くなったんだぜ！」
マッシモ「こんな事が出来るのが強さの証だなんて…俺は認めんぞ！！」
斧同士の激しいぶつかり合いが始まった。
メタルロガーは斧をかなり使い慣れており多彩な攻撃を仕掛けてきたが、
パワー、耐久力共にマッシモより遥かに劣り、数秒後パワー負けして
マッシモの攻撃をまともに喰らい、致命傷を受けた。
するとメタルロガーは左胸の装甲をこじ開け、中にあったフォースメタルらしきものを握りつぶした。
マッシモ「これは…フォースメタル！？しかも精神に作用するタイプじゃないか。
良心を捨てたとか言っていたが、お前、まさか…！？」
メタルロガー「こ、こんな物に頼った時点で俺の負けは決まってたんだな…
大戦で…故郷の森を失い怒りを感じた俺はこの組織に誘われるまま入ったが、
良心が邪魔して組織での仕事をまともに出来なかった…
追い詰められた俺は自ら望んでこの特殊フォースメタルで
残虐性を手にしたが、それが間違いだったようだな…
ありがとよ、最後にお前に負けて間違いに気付けた…お前は、つ、よい…」死亡。
マッシモ「クソ、こいつもワケありかよ…今回も後味の悪い戦いだな。
これでますます、この戦いを始めた敵の首領を許すわけには行かなくなっちまったな…」 
その頃マリノは森のかなり奥まで進んでいた。
ザコ「へへへ、上玉だぜ！服から切り刻んでやろうかって、あら？」
マリノに目にも止まらぬ速さで切り刻まれてしまった。
マリノ「ここの連中は酷い事をするねぇ…！」
広くて視界も悪い森にも関わらずマリノは神速ともいえるスピードで
ザコを撃破していき、残りわずかな生存者を救出していった。
やがて開けた場所へ進むと木々の中に一本妙な木があった。
実はその木こそ八佐官の一人、ウッディー・リンゴルド中佐であった。

マリノ「あんたがここのボスだね！？随分な事をしてくれるじゃないかい、あんたの部隊ってのは！」
リンゴルド「何を言うか小娘が。人間共は随分前から物言わぬ自然の力を
己の欲望の為に奪い取ってきた。そして奴らは土に還る事、獣の腹を満たす事が出来る。 
じゃからワシらはそれを最大限利用して人間共が自然から奪った力を
その身を持って返還させているのじゃよ。どうじゃ、理にかなっとるじゃろ？」
マリノ「ふーん…」マリノは辺りを見回した。
木々の根元にはおびただしい数の血痕があり、獣が喰い散らかした死体を
カラスがついばみ、ハエがたかる。
マリノ「正気の沙汰じゃないね！行くよ！」
リンゴルド「大自然の怒り、思い知るがいいわい！」
マリノはリンゴルドにファイアステラを高速連発した。しかし…
リンゴルド「何じゃ、痛くも痒くもないわ。」
マリノは攻撃力は仲間内でもかなり低い方であり、その威力は八佐官には極めて微力であった。
そもそもスカンキーを倒した時はダブルアタックで威力を増したもので、
しかも殆どキレたレイヤーがやったものなのだ。
マリノ「何度でも当てるよ！」
そう言いつつ様々な武器、大技で攻撃を重ね、気持ち程度ダメージを蓄積させてきた時… 
リンゴルド「ぬぅん！」大地からエネルギーを吸い回復してしまった。
リンゴルド「そろそろワシの番じゃな。」リンゴルドは攻撃を開始した。
葉は無数の刃、枝や根は鋭利な矛、頭は鳥型、虫型メカニロイドの巣窟。
しかもリンゴルドはマリノの動きを正確に読みそのいやらしい攻撃を当てていった。
たちまちマリノは血まみれになってしまった。
マリノ「く、散華！」リンゴルド「させんわ！」
技発動前に枝で串刺しにしてしまう。
リンゴルド「ちっぽけじゃ！実にちっぽけじゃ！実はお主の事は事前に知らされておっての。
リディ、じゃなくてスパイダーとやらの所に逝かせてやろうかのう？」
そう言って今度は頭から無数の爆弾を発射してきた。
技が当たると思われたその時、マリノが消えた。リンゴルド「何じゃ！？」
リンゴルドの発言はマリノの逆鱗に触れた。
彼女の最も深い傷跡を無造作に触れてしまったのだ。そして…
マリノはクイックシルバーを発動させていた。
マリノ「残念だけど、まだあいつの所には逝けないんだよ！」
超高速移動で翻弄する。
リンゴルド「ば、馬鹿な！八佐官のワシの目に止まらないじゃと！？」
マリノ「何の為にあんたの攻撃を『受けてやった』か、教えてあげるよ！」
ダメージを受ければ受けるほど威力を増す「リベンジハリセン」を取り出した。
強烈な攻撃の超高速連撃がリンゴルドに炸裂する！
回復も若干の集中力が要るため攻撃で阻止されてしまう。
リンゴルド「こ、この威力に、このスピードか…！」
そしてとうとう止めの一撃を決めた。
リンゴルド「ワシはここで朽ち果てるが…ラストユートピアは、不滅じゃ！」死亡。
マリノ「・・・・・」
大勢の人間達の墓場になってしまった森林。
数分後マリノはマッシモと共に黙祷を捧げた後、帰還した。
第十五話「八佐官戦、終結」
エックス「久し振りだねゼロ、君とこうして２人で戦うのは。敵がアイリスの映像を見せた時の君の取り乱し方…
あの事件はそれほど君の心に傷をつけたんだね。あの大戦直後、
俺は君に掛ける言葉が何も見つからなかった。あの時は本当にすまなかった。」
ゼロ「気にするな。それにあの事があったから俺は戦いで悩んでいたお前の気持ちが理解できた気がするんだ。」
エックス「でも今回の事件で彼女は生き返るかも知れないじゃないか。こんな形での再会というのもなんだけど
これがもし本当なら、良かったじゃないか」
ゼロ「みっともない話だが…俺は、怖いんだ！俺はあいつを裏切りカーネルもあいつ自身も殺し、
あいつの最期の頼みも聞かずレプリフォースに手を出してしまったんだ！
俺の手はもう血で汚れている…正直あいつに会わせる顔が無い！だが俺は、逃げたりはしないぞ…！」 
エックス「ゼロ…」

エックスとゼロが大都会の上空で戦っているのは八部隊中最強の部隊、空爆隊。
この部隊は大都市に強力な水爆を大量投下し、完全に消滅させてきている。
さらに統率の取れた戦闘を得意とする精鋭部隊中の精鋭部隊である。
対して２人は今回の大戦の為大幅にチューンアップされたライドチェイサー「シリウス」で 
高性能の戦闘機を駆る彼等を次々と撃墜していった。
空中戦は長時間に渡ったがエックスとゼロはライドチェイサーを上手く操縦し大量の敵を物ともせず倒していく。
やがてザコが来なくなり、急に静かになった。しかしその次の瞬間――
重装備の戦闘機が２人の前に出現し、猛攻撃を仕掛けてきた！
この戦闘機の操縦士が十尉官・エアコマンダー中尉であった。

エアコマンダー「敵確認…撃破する…」
戦闘機から機雷、ミサイル、マシンガンを乱射してきた。
その攻撃の狙いの正確性にも関わらずエックスとゼロは絶妙なタイミングで回避し、
戦闘機に弾を当てていった。
エアコマンダー「己！」
今度は煙幕を出し、それから従来の攻撃に重ね主砲のレーザーも使ってきた。
エックス「うおっ！？」ゼロ「くっ！」
十尉官の攻撃はエックスとゼロにとっては何とも無いのだがライドチェイサーには充分な威力があった。
やがてエックスのライドチェイサーに限界が近付いてきた時…
エックス「グランドブレイカー！」
鉄球を振り回し、煙幕を取り払った。さらにこれはチャージしたもので、
鉄球を投げ飛ばし戦闘機の窓にぶつけ砕き割ってしまった！
エックス「うおおおおお！！！」
エックスはライドチェイサーを捨てそのままエアダッシュして戦闘機に
上がりこみ、エアコマンダーを引きずり出し彼を押さえつけた状態で落下した！
ゼロ「エックスーーーー！！！！！！！」
エックスはエアコマンダーの頭が下になるよう押さえつけ落ちていった。
エアコマンダー「この、放せ！」
パワーではエックスに遥か及ばないエアコマンダーは脱出出来ず、ついに頭から地面に激突した。
エアコマンダー「無念だ…」死亡。
対してエックスは全く無事だった。これは落下して自分が無事でいられる高さを計算して飛び降りたからである。
エックス「俺は大丈夫だがライドチェイサーの方はもうだめだ！先に行ってくれ！」
ゼロ「おう！」
既に敵は殆ど全滅しており、残りのザコも倒し完全に敵の反応が途絶えた時だった。
突如レイヤーから通信が入った。
レイヤー「聞こえますかゼロさん！？極めて強力な反応がゼロさんに急接近しています！
気をつけてください！」
ゼロ「ああ、俺も今感じたぞ。」
通信が切れたとほぼ同時に強烈なつむじ風がゼロを襲い、直撃してしまった！
この攻撃でゼロのライドチェイサーも完全に使い物にならなくなり、
煙を吹いて落下し始めた為、ゼロはライドチェイサーを捨て近くにあった高層ビルの屋上に着地した。
ゼロ「誰の仕業だ！？出てきやがれ！！」
すると遥か彼方から大剣を携えた鳥人のようなレプリロイドが超高速で飛来してきた。
 
ゼロ「ここのボス、だな！？」
ファルコニア「我こそは空爆隊隊長にして八佐官の長たる者、ブレード・ファルコニア大佐なるぞ！
我等が主君の為、永遠なる楽園の為、そして貴殿の生まれ持った宿命の為何としてでも貴殿を
葬り去らねばならぬ！いざ参らん！！」
ゼロ「地上をこんなにしやがって…只で済むと思うなよ！！」
ファルコニアは八佐官最強のレプリロイド。
八佐官最速のスピード、最高の戦闘技術に加えパワーと耐久力は八佐官３位という
驚異的な能力値を誇る。
おまけに超重量の大剣から巧みに、しかも速い攻撃を繰り出す事が可能である。
ゼロ「大剣には大剣だ！」
ゼロは∑ブレードを取り出した。
ビルの屋上で大剣と大剣、闘気と闘気が激しくぶつかり合った。
互いの剣術は常に相手の剣でガードされ、しかもファルコニアがより多くの攻撃を仕掛けてきて、
その激しい勢いの為かゼロは引き下がっていった。
しかしゼロの表情は何故か余裕そのものだった。
この間１０数秒でその間に脅威的な強さと速さを兼ね備えた攻防戦があった。そして… 

ファルコニア「忌まわしき破壊の存在よ、滅びるがいい！」
ファルコニアが斬りかかったのに対し、ゼロはその剣を手で止めてしまった！
ファルコニア「何！？」
剣を引き抜こうとするがなかなか抜けず、その間にゼロがファルコニアの胴体に斬りかかった。
ファルコニアは体を引いて回避してダメージを軽減したがそれでもかなりのダメージを負ってしまった。
ファルコニア「貴殿が攻撃を仕掛けて来なかったのは、我の力を測り技を見極める為であったのか！？」
ゼロ「その通りだ。今度は俺の方から行くぜ！」
ちなみにゼロが相手の実力を測るのはある程度の強さを持つ敵に対して行うもので
それ以下はあっという間に倒せるしそれ以上は測る余裕が無い為行わない。
ファルコニアの攻撃パターンを見極めたゼロは反撃を開始した。
ファルコニアも応戦しようとするものの常に攻撃が読まれてしまい
回避された上反撃を喰らって大ダメージを受けてしまう。
ゼロ「少しはやるな。だが、本当に『少し』だな。」
ファルコニア「何たる強さぞ！疾風、いや閃光のようだ！
かくなる上は我が最大奥義を受けてみよ！」
そう言ってファルコニアは遠くまで飛び、大剣を構えた状態でゼロに向かって突進してきた。
ファルコニア「斬軍撃！！」
この技は軍勢であろうとビルであろうと山であろうと通り抜けるものは両断してしまう究極の威力と
速さを併せ持つ必殺技である。しかし…
ゼロ「獄門剣！」
簡単にカウンターを取ってそれが止めの一撃になった。
ファルコニア「このファルコニアを持ってしても貴殿を倒せぬとはな…
だが忘れるでないぞ、我等八佐官は只の駒であることを！
そして仮に貴殿が我が組織を打ち滅ぼした所でアイリス殿を幸せにする事は出来はせぬ！
出来はせぬぞ！！う、うおおおお！！！
バルク閣下！ブースト閣下！ネクロス閣下！皇帝陛下！先に逝く、我をお許し下され！！！」
ゼロ「皇帝、陛下？」
八佐官最後の一人は大空に散り、それは八部隊が完全に壊滅した事を意味するものだった。
ゼロ「アイリス、これからまたお前に会いに行くぞ！墓ではなく生きているお前にだ！ 
お前の答がどうであろうと、俺は逃げたりはしない！」
こうして八人の戦士達は再び戦場を後にして帰還した。
これで全世界を襲う破壊と殺戮の荒らしは止んだのだがそれは熾烈を極めた最終決戦の序章でしかなかった――
第十六話「Flyte　Tyme」
ハンター達の活躍によってラストユートピア屈指の八部隊は全滅した。
しかし、その被害はあまりにも大きかった。
彼等の暴挙により世界中の大部分の人間、レプリロイド、建物、街、伝統、社会、国家等が
跡形も無く消し去られその跡は広大で混沌とした荒野と化してしまったのだ。
エックス「何という、何という酷い事を！こんな事の何が平和だ！
こんな所のどこが楽園だ！？」
ゼロ「今までの奴等は組織のほんの手足。頭を潰さなけりゃ意味はねぇ。
今度こそケリをつけてやろうぜ！」
その時、通信が入った。
ネクロス「ヒヒヒ、流石じゃハンター共。八部隊を壊滅させるとはのう。」
ブースト「なかなか白熱した戦いで楽しませて貰ったよ。」
バルク「それでこそ潰し甲斐があるってもんだぜ！」
ゼロ「てめぇらか…約束通りてめぇらの本拠地を教えてもらうぜ！」
ネクロス「ああいいじゃろう。バリア・クラウド、解除！」
ネクロスの合図と共にラストユートピアの基地を隠し、レーダーからもガードしていた 

スモッグが解除され、上空に浮遊する巨大要塞が姿を現した。
同時に基地の座標が分かったのだが…
エイリア「こ、これは…タブーエリア！」
ゼロ「タブーエリアだと！？」
タブーエリアとは、リベリオン・リディプス事件から暫らく後、敵対していた
強大な２つの軍事国家が戦争を起こし、そして互いに滅んだ跡地の事であり、
世界中の誰もが恐れ、忌避した禁断の地である（第一話参照）。
ネクロス「タブーエリア、か。今はそう呼ばれておるらしいのう。
いい事を教えてやろうか、この場所をこのようにしたのは他でもない、ワシらじゃ！
奴等がいつまでたっても戦いをやめんからきれいさっぱり片付けてやったわい。」
エックス「お前等だったのか……！早まった事を…
彼等は確かに危険な存在だったが和解という選択肢もあったかも知れないというのに、 
それをお前達は…！」
ネクロス「和解、か…確かに奴等の中にも穏健派は少なからずおったが、
あの∑大戦の影響で奴等の関係は修復不可能までこじれ、ついには互いを滅ぼす
最終兵器としてそれぞれの技術の粋を集めた強力な戦闘用レプリロイドまで造りおった。 
そのレプリロイド達こそがバルクにブースト！
本来敵対する予定だった所を我が組織が横取りして共に奴等を滅ぼしたのじゃ！
自分達が造ったレプリロイドに滅ぼされる奴等の絶望に満ちた顔は
見てて痛快じゃったわい！ヒヒヒ…ヒーッヒッヒッヒッヒッヒ！！！」
もちろんこれはノストラジスの力によるものであるのだが、今はまだエックスとゼロが彼の「存在」を
おぼろげに知っているだけである。
エックス「それじゃ、バルクとブーストは自分の生みの親を殺してしまったのか！？」 
バルク「あんな奴等を親だと思った事はねぇよ。むしろ反吐が出るぜ！」
ブースト 「同感。私は自分が下等な奴等の道具として果てるより今の世界を滅ぼし
楽園を築くのがふさわしいと悟ったのだ。」
ゼロ「まともじゃねぇな…ところで一つ聞いておくが、アイリスはどうなった！？」
ネクロス「ああ、ちゃんと生き返っておるよ。
ただし彼女に会いたかったらワシらを倒して見い！倒せるものならな！」
通信はここで切れた。

エックス「皆！敵がどれだけ強かろうがどこにいようが関係ない！
今度こそ奴等との決着をつけ戦いを終わらせるぞ！」
ゼロ「ラストユートピアに∑大戦の因果、そしてアイリス…この戦いで全てにケリをつける！」
アクセル「あんな奴等大した事ないない♪」
エイリア「ここからが正念場ね、気を引き締めて行くわよ！」
レイヤー「（ゼロさんの心があの人にあったとしても私はゼロさんの為にこの命を捧げるつもりです…！）」
パレット「さー、三将官をやっつけに行きましょー！！」
マッシモ「ギガホエールやメタルロガーの為にも…あいつら絶対に許しちゃおけねぇ！」
マリノ「ここまで来たんだ、最後までお供させてもらうよ！」
シナモン「回復は任せてください！」
ナナ「私もナビゲーターとして全力を持って支援します！」
シグナス「悪いがダイナモ、君も行ってくれないか。戦力は多い方がいい。
本拠地以外の敵の全滅は確認したからこちらは大丈夫だ。」
ダイナモ「そうかい、それじゃ俺も楽しませてもらうぜ！」

一方、ラストユートピアの浮遊城にて…
バルク「今からハンター共をぶっ潰すのが楽しみでしょうがねぇぜ！」
ブースト「せいぜい私の強さと美しさを引き立ててくれたまえ。」
ネクロス「『憎しみの力』の強さ、思い知るがいいわい！」
ノストラジス「来るよ、悪魔が。再び君を殺しにね。だが安心するがいい。
俺が君を、あの悪魔から守ってあげるから…」
アイリス「（分からない、私は何を信じればいいのか…何をするべきなのか…
ゼロ、私は貴方を憎まなければいけないの！？）」
カーネル「（軍を失った私には守る物はアイリスだけ…
アイリスを不幸にするならゼロだろうがノストラジスだろうが容赦はしないぞ…！）」 


こうしてハンター達は浮遊城へ飛び立った。
それぞれの想いが、禁断の地の上空で錯綜する…
第十七話「俺はマッシモ！」
タブーエリア…
それは戦いの運命に呑まれた者達が眠る忌まわしき禁断の地。
雲は異形を成し、風は怒りや憎しみ、苦しみの叫び声のように吹き荒れ、
一日中夜のように暗く、一年中冬のように寒い。
大気中にはウィルスや有害物質、そして邪悪な「気」が蔓延し、
生物の生存は許さず、通常のレプリロイドでも立ち入れば気が触れてしまう。
ラストユートピアの本拠地、浮遊城はその上空にあった。

浮遊城の入り口に到着した一行。
ゼロ「ここがタブーエリアか。なるほど居心地が悪いな。
ここに敵の総大将、そしてアイリスがいるんだな…」
エックス「今度こそ終わらせるぞ、絶対に！」
アクセル「あらー、早速お出迎えみたいだよ。」
一行の前に大量のザコが現れた。しかし普通のザコとは少し違う。
レイヤー「『曹長』『軍曹』『伍長』クラスの構成員ですね。
従来では彼等は戦闘力が高い代わりに希少な筈ですが…」
ザコ「察しがいいな。我々は三将官直属の部隊で下士官クラスのメンバーが
一般兵士の代わりに配置されている。つまり、戦力は今までの比ではないぞ。」
ザコ「閣下達の戦闘を少しでも有利にする為、そして戦いで散っていった大佐殿達の
無念を晴らす為、いざ参らん！」
ここの部隊は少数精鋭ならぬ多数精鋭。
それが大挙してハンター達に襲い掛かって来た！
が…
ザコ「ギャーーーーー！！！！」
ザコ「何なんだこいつらは！？強すぎるーーー！！！！」
いくら強くてもザコはザコ。
ここまで来たハンター達の強さもまた桁外れで入り口のザコは瞬く間に全滅した。
一行はそのまま浮遊城に侵入した。
基地はかなり巨大であり通路で味方の流れ弾を避けるため、そして効率よく基地内の敵を
全滅させる為一旦解散する事になった。

マッシモ「オラァーー！！どんどんかかって来い！！！」
ハンター達の中でも戦闘力がかなり高い方のマッシモはその圧倒的破壊力で破竹の勢いで進んでいた。
敵は皆腕に覚えがあり、格闘技を使いこなす者もいれば強力な武器を自在に操る者、
戦略に長けた者も数多い。
しかし彼等の攻撃はマッシモには全く効かずさらに彼の攻撃で
屈強な戦士達が次々と木っ端微塵に吹き飛んでいく。
ザコ「怯むな！突撃ーーー！！！」
かなりの大人数の敵が押し寄せて来たが…
マッシモ「ベルセルクチャージ！」
さらに、技発動中に体を回転させた。
その場にいた敵は全員消滅し、壁もかなり吹き飛んだ。
こうしてマッシモは無傷で大量のザコを一掃しつつ壁も滅茶苦茶に破壊して激しく基地内を侵攻していった。
やがてとてつもなく巨大な部屋に到着した。
薄暗く、誰もいない部屋だったが…
突然ズシン、ズシンと足音のような地響きがし、直後壁が激しく音を立て砕け散った！ 

そして、砕けた壁の向こうから三将官の一角を担うバルクがその凄まじく巨大な姿を現した。

マッシモ「でかいな…だがこれしきで怖気づく鋼鉄のマッシモではないぞ！」
バルク「グヘ、グヘへへ…話は聞いてるぜぇ。ギガンティス島伝説の勇者、鋼鉄のマッシモだろ？
本当はS級ハンター３人とやりたかったがテメーをぶち壊すのも面白そうだなぁ！」
マッシモ「破壊しか知らない貴様のような外道なんぞに、俺が負けるか！」
バルク「言ってろ！」
その巨大な足でマッシモを踏み潰そうとした。
マッシモ「ぬくく…おらあっ！！」踏ん張ってバルクの足を払いのけてしまった。
バルク「今のは挨拶代わりだぜ！」
マッシモはすかさずジャンプしランサーで斬りかかろうとした。
バルク「そりゃあっ！！」
攻撃が当たる前に平手打ちを喰らわせた。
マッシモ「グハアアア！！！！！」
マッシモは壁に大穴を開けて激突し、大ダメージを喰らってしまった。
マッシモ「な、何と言うパワーだ！だが…負けるわけにはいかん！」
サブタンクを使い何とか応戦を試みようとするマッシモ。
バルク「俺を誰だと思ってやがる！」
巨大な体にふさわしく、バルクはとてつもない怪力の持ち主である。
そのパワーは八佐官を遥かに上回り、タブーエリアに巨大クレーターを幾つも作った経歴があり、
かなりの防御力を誇るマッシモにも大ダメージを与える。
また彼が床を激しく踏み鳴らすことで部屋が大きく揺れてマッシモは身動きが取り辛くなり、
パンチや踏み付けで生じる衝撃波さえもマッシモに強烈なダメージを与えていった。
打たれ弱い仲間ならとっくに死んでいる。
マッシモ「ビースト…ランサー！！」
攻撃直後の隙を狙い辛うじてビーストランサーの直撃を喰らわせる事が出来た。しかし… 

バルク「何だその程度かよ…」
バルクは防御力も驚異的であり、八左官に大ダメージを与えるマッシモの攻撃も殆ど効かない。
しかし全くダメージを与えない訳ではないので長時間粘るマッシモだったがある時バルクが自信あり気に言った。
バルク「無駄だ！テメーには俺に勝てねー絶望的な理由がある…」
マッシモ「何だと！？」
バルク「言ってやろうか？それは…
　　　　　　動きが、おっせーんだよおおおおお！！！！！！！！！！！！！」
パワーと防御力は凄まじいマッシモだが、スピードはS級ハンターの３人とマリノに及ばず、
本気を出したバルクに攻撃する暇など全く無い。
バルク「オラ反撃してみろよオラオラオラァ！！！！！」
そう言って大笑いしながらバルクはマッシモに猛攻撃を始めた。
マッシモのアーマーは凹み、体からは大量の血を流し、宙を舞ったり天井や壁、床に激突したりを繰り返した。
全身に激痛が走り、また彼の凶暴性やパワー、そして負ける事への恐怖がマッシモを襲った。
やがて戦意が消えかけたマッシモは動かなくなり、それをバルクが掴んだ。
バルク「このまま、引き千切ってやるよ！テメーの伝説ごとグチャグチャに壊してやるよぉ！！」
マッシモ「俺は…やはり…本物にはなれ…なかったのか…」
バルクの指に力が入る時、マッシモの今までの記憶が走馬灯のように蘇った。
メタルロガー戦、ギガホエール戦、ゴッドリディプス戦、リベリオン軍との戦い、
そして、無残に散っていった「本物」――
マッシモ「うおおおおおおお！！！！！！！」
痛みと恐怖、そして敵の激しい連続攻撃で忘れ掛けていたが、「本物」の死、そして彼との誓いや
アーマーから授かった事を鮮明に思い出した瞬間マッシモはハイパーモード「ダイモニオン」を発動させた。
マッシモは激しく憤っていた。
バルクよりも、一瞬でもこんな奴に恐怖を覚えた自分自身に対して。
その憤りを込めてベルセルクチャージを発射し、バルクに直撃させた！
バルク「ぬおおおおおお！！！！！！！！」
バルクは何とか耐え、そしてベルセルクチャージの放出も終わった。
マッシモは力を絞りつくした。しかしそれもバルクには大して応えていなかった。
バルク「何だよ驚かせやがって。
俺相手にここまでやった敵はテメーが初めてだ！ますます壊したくなったぜ…ん？
体が…苦しい！前が、見えねぇ！！どうなって…
どうなってるんだよボボボボ！！！！」
ベルセルクチャージがバルクに状態異常「ブラインド」「ウィルス」「暴走」を発生させ
しかもそれが通常より遥かに強烈に作用したのだ。
バルク「ガベベアボベベブゴチャベブ！！バボプベベピビョプベラーー！！！」
完全に自我が吹き飛び、自分で自分を攻撃し大ダメージを負っていくバルク。
だがある時、マッシモも攻撃しようとしたが、その時だった。
バルク「ボゲッ！！ガベボッ！！ブベベベべ～～～！！！！！」
突如バルクの全身がスパークし、動きも止まり、さらに体が壊れていく。
状態異常「バインド」の強化版である。
マッシモ「おおおおおお！！！！！」
その隙を見逃さず残った体力を全て使い止めを刺した。
バルク「ガバハアァアアアァアアァアア！！！！！！！」
胴体に大きな傷が出来、その直後大爆発して死亡した。
マッシモ「俺はマッシモ！鋼鉄のマッシモだ！！」
改めて自信を取戻したマッシモは体力が回復した後、先に進んだ…

第十八話「新世代」
ハンター達が激烈な戦いを繰り広げている一方、ノストラジスはアイリスとカーネルを避難させる名目で自室に移動させていた。
ノストラジス「俺は君と出会って変わり始めたが、その直後君を失って以来、逆に堕落してこの有様だ…
そして君はあの大戦で望んでいた平和な世界を見る事もなく生を閉ざされた。
だがそれももう終わりだ。お互いに失われた時間を取戻そうではないか、
これから実現する、皆が争わなく平和に生きていける楽園で。」
もちろん、「皆」とはラストユートピア構成員限定なのだが。
アイリス「憎しみも破壊もなく皆争わずに生きていける世界…
それが実現したら確かに素敵ね。だけど…」
カーネル「（この男、本当にアイリスを幸せに出来るのだろうか？
しかし何だ、この男から感じるジェネラル将軍以上の威圧感とカリスマ性は…）」

ノストラジスはアイリスに自分の組織がどのような凶行をしているのかは具体的に教えてはいない。
彼女の優しさ、慈愛の心を深く理解しているからである。
そんな事をすれば彼女から拒絶されるのは目に見えている。
かと言ってメタルロガー（十尉官）のように無理矢理凶悪な性格にする事もしなかった。 
彼はアイリスのその優しさに心酔しておりそれ故彼女が彼女であるまま手に入れることを切望していたのである。
実際に行われている残虐な行為は伏せ、甘い理想卿論や自分がどれだけ苦しみ続けたかを強く語る。
そしてその洗脳のような「力」で充分に自分とアイリスとの距離を縮め、
アイリスを奪い取り、ゼロが来た場合それを見せ付ける――
それはゼロへの復讐でもあった。
ノストラジスはゼロがカーネルを倒し、レプリフォースも滅ぼし、さらに∑をイレギュラー化させた元凶であるのをいい事に
アイリスにゼロを憎むようけしかけてもいたのだ。
そして実際にアイリスは生まれて以来ずっと苦しみ続けたノストラジスを哀れに思っていた。
彼がどれ程酷い破壊・殺戮行為をしているかを知らないまま。
彼を不憫に思えば思うほどアイリスの心はノストラジスの闇に飲まれ、侵食されようとしていた。
アイリスの心境はどう動いていくか、それが明らかになるのはまだ先である……

さて戦いの舞台では…
アクセル「そーれそれそれそれ！！！！」
ザコ「な、何と…言う事だ…これだけの精鋭がガキ、一人、に…」
アクセルもまたハンター一行の中でもかなりの強者であり、強力なバレットの超高速連射で
敵の軍勢が瞬時に無数の残骸と化していく。
それでもザコが次から次へと沸いてきた時…
アクセル「マンハント～！」
人型レプリロイドに効く「マンハント」を取り出し沸いてくるザコを片っ端から瞬殺していく。
アクセル「アーハッハッハッハッハ！こいつら人数ばっかりでてんで弱いでやんの～♪」 

八佐官戦の時から楽勝続きで敵を完全に見下してきたアクセル。
その快進撃は止まる事を知らないかのように思えたが、ある時大きな扉を発見した。
扉は丁度通路の突き当たりにあり、その奥からは只ならぬ気配を感じる。
アクセル「はは～ん、ここにボスがいるんだね？」
意気揚々と部屋に入るアクセル。
その部屋もまた広大な部屋だった。
見上げるとそこには、三将官・ブーストが高いところからアクセルを見下ろしていた。 

ブースト「Ｓ級ハンターの一人でありながら実際はあの∑に造られたアクセルか…
我々が倒さねばならない敵の一人だな…」
アクセル「御託並べてないでさ、掛かってきなよ、中将殿。すぐ片付けてあげるからさ。



……うぐっ！！！」
いつものように余裕を構えているアクセルだったが、突然、両脚を激しい痛みが襲った。 
脚に目をやるとブーストが投げた電気ナイフがアクセルの両脚に刺さっていた。
アクセル「な、いつの間に…！」
ブースト 「愚か者め、この私を八佐官や十尉官如きと同列に考えたか。」
アクセルはブーストの腕の動き、飛んでくるナイフを目で捉える事が出来なかったのだ。 
アクセル「アハハ、ちょっと…油断しちゃったね！」」
ナイフを素早く抜き取った後、エンシェントガンを取り出しブーストに向けて連射。
しかし、驚異的なスピードで回避され、幾ら連射しても弾道が空しく空中で弧を描いて消えていく。
ブースト「どこを狙っているのかな？」　
勿論アクセルの動体視力、射撃の正確性は全くの規格外れであるのだが
八佐官をも超越するブーストのスピードがそれを上回っていた。
そして、ブーストは手から強力な磁力を発しナイフを引き寄せキャッチした後、
残りのナイフを取り出した。このナイフは全部で八本あるのだ。
今度はその八本のナイフを同時に投げてきた。
アクセルはローリングで回避し、反撃を試みるも…
見るとブーストはそこにはいなかった。
ブーストは部屋中を超高速で飛び回りながら八本のナイフをまた引き寄せていた。
そして、高速飛来するナイフを正確にキャッチし、アクセルを攻撃。
アクセル「ウワ！グゥッ！！ゲハッ！！！」
部屋中を乱れ飛ぶ八本のナイフとブースト自身の集中攻撃を受けるアクセル。
攻撃がどこから来るか分からず、しかもその攻撃力の高さにアクセルの今までの自信は吹き飛び、
肉体的のみならず精神的にも追い詰められていった。
ブースト「本当はすぐ終わるのだが私を愚弄した罰だ。苦しみもがいて死ぬがいい…」 

しかしある時…
アクセル「ステルスモード！」
ハイパーモード「ステルスモード」を発動した。
ブースト「無駄だ…」
ブーストは高感度センサーでアクセルの姿を感知し、しかもブーストのナイフは
特殊電磁波を帯びており、ステルスモードのアクセルにもダメージを与える。
アクセル「そ、そんな！！」
やがて持続時間の短いステルスモードは切れてしまった。
アクセル「だったら、これだ！！」
今度はホワイトアクセルに変身した。
この形態では宙に浮いた状態で攻撃が可能。
ブースト「あのルミネの力を受け継いだ姿か。だがそんな飛びたての雛鳥のような動きで
この私に立てつくか！」
これも通用せずまたもアクセルは集中攻撃を喰らう。
ナイフがアクセルの体に突き刺さり、切り刻む。
さらに電撃によるダメージやブーストがアクセルに接近する際強烈な手刀や蹴りの連続攻撃も喰らい、
苦痛と混乱に陥ったアクセルはとうとう倒れてしまった。
ブースト「遅い。そして弱いな…これがＳ級ハンター、いや、悪魔の申し子の力なのか… 
それとも私が強すぎたのかな！？」
アクセル「（こ、こいつには…僕の力では、勝てない…！こうなったら…）」
ブーストがアクセルの頭部にナイフを投げつけた瞬間…

アクセル「変身！」

強烈な光に包まれ、アクセルは今までとまた違った姿に変身した！そしてナイフを破壊してしまった。
ブースト「ナ、ナインテイルズだとっ！？」
ナインテイルズとは、リベリオン・リディプス事件の時、ハンター達がセントラルタワーの伝説に興味を持ち
面白半分にタワーの下へ降りていった時に戦った、それは恐ろしく強いレプリロイドである。
その時いたハンター全員が束になって掛かっても手も足も出ず、余裕をかましたナインテイルズが 
ハンター達を復活させたという奇跡や仲間達の強い絆、戦闘で得た経験や武器といった 
ありとあらゆる要素が重なってやっと勝てた「怪物」なのだ。
ゼロは当時たまたまその現場に居合わせなかったが、彼とてナインテイルズ相手となると苦戦を強いられたに違いない。
ブースト「そうか、このコピー能力こそが貴様等新世代型レプリロイドの力の根源か…面白くなってきたぞ！」
一瞬でアクセルの目の前に飛来し、突き、手刀、蹴りを超高速で連発してきたが、
ナインテイルズに変身したアクセルはそのスピードについて行く事が出来、見事に応戦する。
想像を遥かに覆す高速戦闘が続いたが、ある時アクセルはおもむろにサブタンクを使った。そして…
アクセル「滅殺波動拳！！！！」
残り体力が多いほど威力を増すナインテイルズの大技で、アクセルはその技も覚えていた。
そして、その技のとてつもない威力が勝負をつけた。
ブースト「これが新世代…これがコピー能力、か…完敗だ。
私は戦いの為に造られし存在、戦いの中で…散るなら、本望、だ…」
そう言い残して死亡した。
アクセル「僕はコピー能力だけで勝ち続けたんじゃない。失っていった仲間、守るべき仲間、
そして共に戦ってきた仲間達がいたから、ここまで来れたんだ！
でもこれで満足なんかしないぞ！もっと、もっと強くならなくちゃ…！」
今回の戦いで初めての難敵を撃破したアクセルは、反省も混じった向上心を胸に抱きつつさらに前進した…
第十九話「憎しみの連鎖」
エックスは迫り来る大量のザコをものともせず倒して行き、浮遊城のかなり奥まで進んでいた。
やがてマッシモがバルクと死闘を繰広げた部屋ほどはあろうかという巨大な部屋に到着したが、
その部屋には敵は一切いなかった。
しかしその部屋の奥にはまた扉があり、さらに奥へと続いていた。
そしてエックスは扉から強く禍々しい気配を感じた。
エックス「何だこの邪悪な気は…」
その気配に圧倒されつつも奥の部屋へと進むエックス。
その部屋は薄暗く不気味な機械がこれまた不気味な音を立てていた。

…そして、ラストユートピアの全部隊を指揮する最高司令官にして、
アイリスを蘇らせた張本人である三将官の長、ネクロスはそこにいた…

エックス「追い詰めたぞネクロス！お前と、お前等の指導者とやらを止めに来たぞ！」 
ネクロス「来おったか、ロックマンXよ。貴様は戦いを嫌い平和を望んでおったはずだが…
戦いの起こらぬ平和な楽園がこうして実現しようとしているのを阻止するのは
矛盾してはおらぬか？」
エックス「ふざけるな！罪も無い人達の命を奪って何が楽園だ！」
ネクロス「罪も無いじゃと？何を言っておるか、戦いの歴史を繰り返し
憎しみの連鎖を引きずり続ける人間やレプリロイドは皆罪人じゃ。」
エックス「なら、レプリロイドのお前等も罪人じゃないか！」
ネクロス「ああ罪人じゃ。だから償うのじゃよ、地球上に巣食う蛆虫共を駆除することでな！」
エックス「狂っている…何としてでも止めてやるぞ！」
エックスはネクロスに初めから大技の連発で挑みかかった。
しかし、ネクロスは宙に浮き風で飛ぶかのようにひらりひらりとエックスの技をかわしていき、
全く手応えが無い。
エックス「くそ、ギガ・クラーッシュ！」
攻撃範囲が広く避けようの無い技を使うも…
ネクロスは全くの無傷だった。
ネクロス「無駄じゃ！無駄じゃよ！怒りと憎しみを込めた攻撃じゃ、ワシは倒せはせん！」
そして、ネクロスは手からチェーン状のビームを発射し、それは瞬時にエックスを捉えてしまった。
エックス「これは、レプリロイドのソウル！？」
ネクロス「流石にすぐ分かったようじゃな。しかし只のソウルではないぞ。
強い恨みや悪意を残して死んでいったレプリロイドのソウル、俗に言う悪霊・怨霊こそがワシの力の源じゃ。
それとな、このソウルの元の持ち主には貴様が任務の下殺したレプリロイドも多いのじゃよ！」
エックス「……！！！」
そして鎖は凄まじい力でエックスを締め付けた。
エックス「ぐあああああああああ！！！！！！！！！！！！！」
ネクロス「苦しかろう、これは貴様の運命を縛る鎖そのものじゃからな！
憎しみは鎖のように連なって行き…竜巻のように廻り続けるのじゃ！」
そう言って今度はソウルを巨大な竜巻状に具現化させ、鎖を意のままに操り
繋がれたエックスを竜巻に巻き込む。
竜巻による斬撃のダメージも全身に負うエックス。
エックス「ぐ…うわあああああ！！！！！！！！！」
さらに凄まじい速さで鎖を操りエックスを天井、床、壁に叩きつけていき、
打撃によるダメージも与えていく…

その頃エックス以外の一行は基地内のザコを全滅させ、深層部で合流していた。
ゼロ「いないのはエックスだけか…」
エイリア「八部隊のステージじゃ見掛けなかったタイプの敵が出てきて大変だったわ。」 
レイヤー「『准尉』ですね。流石に彼等複数を同時に相手するのは骨が折れましたわ。」 
マッシモ「俺はバルクを倒したぞ…」
アクセル「僕はブーストを倒したよ！」
パレット「え、ええ～、マジですかぁ？」
マリノ「三将官って、あの八佐官よりも強いんじゃないかい！？…やるねぇ！」
ダイナモ「となるとあとはあのジジイだけか。とっとと終わらせようぜ！」
シナモン「その前に回復しましょう！エンジェリックエイド！」
体力が完全回復した9人は、冒頭でエックスが通過した巨大な部屋に入った。
そして奥の扉からエックスの絶叫とネクロスの狂った笑い声、激闘による
衝撃音を耳にし、同時に部屋の振動を感じた。
ゼロ「あいつ、一人で無茶しやがって…！」
アクセル「三将官のリーダーでしょ？いくらなんでも一人で勝てる相手じゃないよ。
今すぐ助けに行こう！…あれ？扉が開かない…」
マッシモ「俺に任せておけ！おらぁっ！…何、攻撃が無効化されただと！？」
ネクロス「（無駄じゃ、その扉にはワシを守るソウルと同じだけのソウルで防御しておる。
単純な『力』だけではそう簡単に破れはせん。貴様等はこやつらと遊んでおれ…出番じゃ！）」
ネクロスの合図と同時に、9人がいる部屋に復活した八佐官が出現した！
ゼロ「来たか…」
アクセル「いつものアレだね♪」
復活八佐官「ニクイ…ニクイゾォォ…」
復活八佐官「コロス…コロシテヤルゥゥ！！」
エイリア「ボディだけ再生して、中身は殺意と憎悪のプログラムしかないみたいね…」 
パレット「これは本当にヤバいですよ…彼等只でさえ凄く強いのに…」
レイヤー「あれは…」スカンキーを確認した。そして…
レイヤー「裂海閃！裂海閃！！裂海閃！！！」
ギガエールのラーニング技を連発し、スカンキー撃破。
マリノ「もう完全に大丈夫みたいだね！」
ゼロ「油断するな、来るぞ！」
凄まじい大乱闘が開始した。
ダイナモ「くそ、どいつもこいつもヒールガンナーより数段強いぜ！」
エイリア「弱点武器使っても強すぎるわ！」
マリノ「ハイパーモードでもきついよ、こいつらは…！」
怒りと憎しみに支配された八佐官は攻撃に激しさが増し、一部の者達を除きハンター達を圧倒した。
しかし戦いが長引いてきた時…
ゼロ＆マッシモ「おーい皆ー、危ないぞー！」
何と、ゼロとマッシモがアンキロックスとギガホエールの尻尾を掴み、振り回していた。 
そして、リンゴルドとウナギールにぶつけ、撃破。ファルコニアはよけた。
直後二人はアンキロックスとギガホエールを頭から垂直に落とし、彼等も撃破した。
一同「え、ええ～～～～～！！？？」しかし約一名、驚いていない者が…
アクセル「あれぐらい僕だって…！」
アクセルはハムスタンの大車輪を持ち上げて振り回し、ハムスタンとウィルザードにぶつけ、撃破。
ファルコニア「オノレェーーー！！！！！」
ゼロ「俺が相手だ！」
何秒か激しい剣と剣のぶつかり合いが起こったがすぐファルコニアが押されて、その勢いで撃破。
かくして復活した八佐官は全滅した。
ダイナモ「俺もかなり強くなったつもりでいたが…何なんだあの3人は！？」
シナモン「と、とりあえずこの扉を何とかしましょう！」
またしても体力回復後、9人は再び扉を解除しに向かった。

同時刻エックスはネクロスの鎖と竜巻になおも苦しめられていた。
肉体的な痛みだけではない。今までの戦いで殺してきた沢山の同胞達。
その現実が、そしてその攻撃から感じ取れる彼等の憎しみがエックスの心をも容赦なく痛めつけた。
しかしそれでも抗い続けるエックス。
エックス「こんな、こんな所で終わってなるもの、か…」
ネクロス「その無念の表情、いいぞ！そのままワシの力となれい！！」
鎖の力がさらに強まり、エックスを輪切りにしようとした…
エックスは死を直感した。平和の為とは言え多くのレプリロイドを葬り続けてきた自分が、
最終的には自分の戦いで生じてきた憎しみに押し潰されて果てる。
因果応報なのかもしれないとそんな事まで考え始めた。

しかし、ここで死んだら今までの戦いで得たもの、失ったものが全て無駄になってしまうという思いもあった。
そしてエックスの脳裏に彼をいつもパワーアップさせてくれた、絶えず平和を祈り続けたあの老人の記憶がよぎり、
さらに扉の向こうから仲間達の声がかすかながら聞こえた時、その思いは一気に爆発した。
その思いからエックスはハイパーモード、アルティメットアーマを発動、全身から凄まじい力を放出し、
鎖を解き放った！

ネクロス「何じゃ、何を泣いておる？」
エックスはその目から涙を流していた。
エックス「俺は、ハンターの任務の下確かに多くの同胞を葬り去ってきた…
だが俺はそれでもいつかは戦いが終わって平和な世界が訪れる可能性を信じたい！
お前等がその可能性を潰すなら、戦って止めるまでだ！
奇麗事でも構わない！誰が何と笑おうと構うものか！！
皆の心に平和への望みがある限り、俺はそれを信じて何度でも戦い続ける！！」
ネクロス「こざかしい、貴様もこやつらの仲間に入れてくれるわ！」
そう言って空間に巨大な穴を出現させた。
その穴の中には、過去の大戦で死んでいった無数のイレギュラーの顔がうごめいていた。 
その中には ∑、VAVA、ルミネ、リディプス、スタッガー、ビートブード、クラーケンといった
極めて凶悪なイレギュラーやエックスに強い恨みを残して死んだレプリロイドの顔も数多くあった。
どの顔も言葉にはならないが怒りや苦しみの声を強く発し続けていた。
ネクロス「くだらん戦いをした張本人であるこやつらはそう簡単に消させはせん…
憎しみの感情以外全て忘れワシの力として束縛され続けておるのじゃ。
貴様もこやつらと同じになるがいいわ！行けいお前等、新しい仲間を引き入れてやれ！」 
そう言ってネクロスは穴からイレギュラー達の顔をした人魂を一斉に連射してきた。
しかしそれでエックスの戦意が鈍る事はなかった。

エックス「俺はお前等の犠牲を無駄にはしないぞ…ノヴァ・ストライク！！！！！！！！！！」

強力なソウルの超連射に、エックスは両腕の巨大銃と胸のレーザーの超連射で迎え撃った。
そしてエックスの技が無数のソウルを次々と相殺していき、その勢いは完全に
ネクロスの技を上回り、とうとう弾がネクロスを一斉攻撃した。
ネクロス「こ、これは憎しみなどではない…
それをも凌駕する平和への強い思いがワシの力を凌駕したというのか……！
何と言う、何と言う強い力じゃ…
グワアアアアアアアアア！！！！！！！！！！！！！」
ノヴァストライクがネクロスに決まった。
そして、大爆発が起こった……
第二十話「対面、そして再会」
ゼロ「うおおっ！？凄い音だったな…お、扉が開いたぞ！」
扉の謎が分かった矢先にエックスとネクロスの決着が付き、
そして部屋の主の敗北に伴い扉のロックも自動的に解除された。
一同「エックス（さーーん）ーーーー！！！！」
扉の向こうは視界を完全に遮る煙が立ち込めていたが、しばらくすると
その煙も晴れていき、勝利したものの悲しげに立ち尽くすエックスと、
戦いに敗れ倒れているネクロスが姿を現した。
アクセル「あ、ジジイが倒れてる！」
マッシモ「エックスが、やったんだな…」
ダイナモ「訂正しよう、何なんだこの４人は…」
ネクロス「憎しみを超越した信念…見事じゃ！
世の中の人間やレプリロイド全員がお前のような『強さ』が無かったのが遺憾でならんわい…」
エックス「人間もレプリロイドも確かに間違いを犯すものだし、俺もそこまで『強く』ない。
だからお互いに間違いを正し合い助け合っていかなければならないのに…
お前達が人間やレプリロイドの悪い面しか見ず、
結果破滅的な行動を取ったのが俺には残念でならないよ。」
ゼロ「最後に聞きたいことがある…アイリスは、どこにいる？」
ネクロス「我等が偉大なる指導者、皇帝陛下の下におる…」
エックス「指導者！？」ゼロ「皇帝陛下だと！？」
２人はそれぞれが倒した八佐官の最期の言葉を思い出した。
ネクロス「我々ラストユートピアが目指すものは、皇帝陛下に選ばれし者達の楽園…
彼女は、皇帝陛下が最も選んでおきたかった人物なのじゃ…
我々は只の道具に過ぎぬが、彼女だけは特別な存在での、皇帝陛下の心の糧であり、
我等が目指す楽園の鍵となる人物なのじゃよ…
ゼロ！断じて貴様の為なんぞではないぞ…！
彼女は貴様の犯した罪を引きずっている他、貴様の忌まわしき秘密も知っておる！
貴様が己自信の罪に苦しみ苛まれる顔が目に浮かぶわい！！
ヒヒヒ！！ヒヒヒヒヒヒヒ！！！！！！！ウゴハァッ！！！！」
とうとうネクロスは死亡した。
ゼロ「……」
エックス「とにかくその『皇帝』を倒しに行こう！そいつさえ倒せば全てが終わるはずだ！！」
アクセル「え～、まだいるのぉ～！？」

その時、部屋に通信が入りノストラジスの立体映像が映し出された。
ノストラジス「十尉官が八佐官の駒、八佐官が三将官の駒であるように、
三将官もこの皇帝ノストラジスの駒でしかなかったのだ。
だが俺は誰の駒でもない、ラストユートピアは俺の物だ。」
ゼロ「てめぇが皇帝か！場所を教えやがれ！！」
エックス「お前が、この事件の元凶なんだな！？」
ノストラジス「いかにも。ハンター共、そしてゼロ！貴様等と決着を付ける時を待っていたぞ。
それでは道を開くとしよう。最上階まで上がって来い。」
ノストラジスがそう言うと、部屋の奥の隠し扉が開いた。
扉の先は上の階へと続いており、さらにその先にエレベーターがあった。
ゼロ「行くぞ…」
そう言うゼロの表情は苦しみとそれに抗おうとする葛藤の感情がにじみ出ていた。
いくらアイリスが生き返っても自分が犯した罪と自分の出生の事実は、消せないものだから…
レイヤー「（ああゼロさん、なんて辛そうなのでしょう…ゼロさんが辛いと私も辛いです…）」
シナモン「それにしてもその皇帝って人、これだけの事をしたという事は
それなりの事情があるのでしょうか…余程酷い目に会ってきたのなら、可哀想です…」 
アクセル「そんな事言ってる場合じゃないって、いくら自分が酷い目に会ったからと言って、
他の皆が酷い目に会わなきゃいけないなんて事はないよ！」
エレベーターが最上階に近付くにつれて、一行はノストラジスの放つ巨大で邪悪な気配を感じ始めた。
ゼロ「目で見たりデータで捉えたりするものではなく、感じるものか…」
エイリア「何よこれ、データ主義の私でもこの嫌な感じはハッキリ感じるわ！」
パレット「メチャクチャ怖いですぅ～～！！」
とうとう一行を乗せたエレベーターは最上階に着いた。
奥には不気味で巨大な扉があり、ゼロがその前に立つと、扉は開いた。

そこには、玉座に座する皇帝ノストラジスと、その両脇にアイリスとカーネルがいた。 



ノストラジス「来たかハンター共よ…ん、俺一人かそんなに怖いのか？
とんだ腰抜け共だな。…まあ無理もなかろう。」
エックス「き、貴様のせいで、どれだけの人が…ぐぐ…（何だこの感じは…ありえない！！）」
アクセル「ハ、ハハハ、今までが本当に甘かったのが、よく、分かったよ…」
マッシモ「こ、これぐらいが何だ…俺は、鋼鉄のマッシモなんだぞ、こ、怖いものか…！」
殺気を放ったノストラジスを前に、三将官を撃破した３人は恐怖と闘志の間で膠着状態になり、
基本能力値が八佐官にも及ばない６人は完全に戦意が喪失し、その場にへたり込んでしまった。
彼等が感じた感覚は全身を刃物で突き刺されたり、極寒に身をさらしたようか感覚とよく似ていたのだ。
しかし…
ゼロだけはノストラジスを前に気圧されず、そしてアイリスに向かって叫んだ。
ゼロ「アイリス！アイリスなのか！？」
アイリス「もう私と貴方は終わったはずよ。…レプリフォースに、手を出したんでしょ？それに、貴方の実体は…」
そう言うアイリスの口調、表情はどこかたどたどしく目も虚ろだったが
ゼロを拒絶するその言葉はゼロを戸惑わせるには充分な効果があった。
ゼロ「……！！あれは、仕方なかったんだ…ああでもしないと…！」
カーネル「……」カーネルは何かを深く考えているようだった。
ノストラジス「ほざけ！ハンターを隠れ蓑に破壊を望む、最大のイレギュラー、ゼロ！！
俺は知っているのだ、貴様の正体をな！！」
ゼロ「俺の正体だと！？まさかあの事を…！」
ノストラジス「そうだ、貴様の仲間たちにも教えておこう。貴様の正体をな。」
そう言って他の仲間達が冷静に話を聞けるよう、敢えて殺気を抑えた。
ノストラジス「そこにいるゼロは、今でこそハンターだが、実際の所はあの∑を凶悪化させた元凶なのだ。
その昔、ハンターだった∑は『赤いイレギュラー』討伐の任務でそのイレギュラーと戦い、
何とか勝ったもののそいつから悪性のウィルスに感染して悪の権化と化した…
その『赤いイレギュラー』は他でもない、ゼロなのだよ！今は手を施されてその凶悪な本性が封印されているが、
内面では破壊を望んでいるのだ！奴こそが最大のイレギュラーで奴がいる限り平和など絶対に訪れん…
これがその証拠だ、喰らえ！！」
繁殖させてあったゼロウィルスを一斉に放出してきた！
ゼロ「や、やめろぉぉぉぉぉ！！！！！！！」
一同「う、うわああああ！！！！！」
ノストラジス「ハハハハハハハハハハ！！！アハハハハハハハハハハハ！！！！！！」 
他の仲間達はウィルスで体力が減っていくが、ゼロは平気どころか禍々しい力が沸き上がり、
額に「W」のマークが浮き上がって来た。
エックス「フォースメタル・ウィルスブロックだ！」
仲間達は一斉にウィルスブロックを使用後、ワクチンを使った。
一方ゼロは…
ゼロ「う、うおおおお、引っ込んでろ、俺は、ハンターだ！イレギュラーではないぞ！！
俺はアイリスの分まで、そして支えてくれる仲間達と戦うと、決めたんだよ！」
目覚めようとする「本来の自分」と必死に戦いながら、
何とか仲間達に遅れてウィルスブロックとワクチンを使った。
ノストラジス「己、無理矢理本来の自分を押さえ込みおったか…
だがこれでゼロの忌まわしき正体が分かっただろう？

　　　　ハ　ン　タ　ー　共　、　ゼ　ロ　を　憎　め　！　！　！　！　！　」

今度はハンター達にあの洗脳のような効果を持つ視線を放った。

ゼロ「！！！！！！！」

一行の脳裏に強烈な黒い「何か」が激流してきた。
これに対してまずゼロに想いを寄せるレイヤーと基本的に憎しみの心が存在しない
シナモンは一瞬で我に返った。
ノストラジスを初めから敵と認識しており、ゼロと強い絆を深めてきたアクセル、
エイリア、パレット、マッシモ、マリノは一瞬心が揺れたが、何とか踏ん張った。
改心した元イレギュラーであり、尚且つ楽観的で「マジモード」になる事の無いダイナモには
中々効いたものの、辛うじて抵抗できた。
一番効いたのは、エックスだった。
エックス「（何故だ、何故俺はゼロを倒さなければならないと感じ始めているんだ！
どういうわけか、受け入れられるぞ！！これが運命なんだと！！）」
しかしそのエックスもゼロとの友情の方を優先させ、ノストラジスに叫んだ。
エックス「ゼロはイレギュラーなんかじゃない！生まれた理由はどうであれ、
ハンターとして自分の運命と戦っているんだ！！
それにイレギュラーはお前の方だ！カーネル！アイリス！何を吹き込まれたか知らないが、
こいつは『楽園創造』とかの為に大量の人間やレプリロイドを殺しているんだぞ！！」 
アクセル「そうだよ、こいつがやってることは破壊と殺戮以外の何でもないんだよ！」 
ゼロ「お前達…」
ノストラジス「ク、俺の能力が通用せんとは…」
アイリス「え、破壊？殺戮？」
アイリスの目が正気に戻り始めてきた。
ノストラジス「知られてしまったか、だがアイリス、君には憎しみ合う人間とレプリロイドの愚かさをよく教えているはずだ。
アイリスよ、下らん戦いを繰り返し、君等も追い詰めた人間やレプリロイド等死んで当然だろう？
君は争いの無い楽園を望んでいるのだろう？だったら争う奴等なんかいなくなればいいと思わないかい？」
アイリス「私は…私から全てを奪ったゼロを、憎まなければいけないはず…でも、ノストラジスもまた破壊者…
兄さんもいるし…いくらゼロが∑の凶悪化の原因でも…でもノストラジスは楽園を…」 

アイリスは不幸な目に会ってきたノストラジスを哀れむ優しさのため彼の術中にはまりかけていた。
しかし、ゼロと対面した事、ゼロが宿命と戦っている事、そしてノストラジスの凶悪性を知った事により
彼女の中でゼロへの愛、平和への願い、ノストラジスへの哀れみと、それに反して彼の罪へのショックが
強く反発し合い、激しく震え、苦しみだしたのだ。
カーネル「アイリス！」
ゼロ「（アイリス…アイリスも、戦っているんだな！）」
ノストラジス「ぬうう…最大のイレギュラーの貴様がそこまでアイリスを想っているとは！
そして貴様なんぞを支える仲間がこんなにもいるとは！
アイリスが貴様の事でこんなに苦しむとは…！認めん、認めんぞ！！
ゼロ、こうなったらこの俺の手で直々に貴様を葬り去ってくれよう！！」
ゼロ「さあ始めるか、ノストラジス！！」
第二十一話「頂上決戦」
遂にゼロとノストラジスの両雄が決する時が訪れた。
両者共アイリスを強く想うのだが、一人は過去の彼女の死に打ちひしがれながらも
彼女の分まで、そして彼を支えてくれる大切な仲間達と共にここまで
強い信念の下戦い続けてきた男。
もう一人は誰も愛さず誰からも愛されない人生の中ようやく巡りあえた
唯一の心の糧である彼女を失って以来、狂気の破壊者へと身を堕とし、
さらに彼女を復活させてその愛を独占しようとする男。
そしてその優しさの為ノストラジスの術中に陥りかけたもののゼロと直に会い、
さらに彼の戦う姿を見たアイリスは今度はゼロとノストラジスの板ばさみで大いに苦しむ…

∑ブレードを手にして臨戦体勢となったゼロを前に、ノストラジスはマントを脱ぎ去り、天井に放り投げた。
するとマントが天井に激突して大穴を開け、さらに床に落下して床にも大穴を開けた。 
マッシモ「おいおいおい…」
ゼロ「俺相手だとハンデは使わないってわけか？」
ノストラジス「忌々しいがそういう事だ。これも使うとするか。」
今度はセイバーを手にした。

ノストラジス「かああああああっっ…！！」
凄まじい闘気を込め圧倒的な速さでゼロに斬りかかってきた！
これに対してゼロは応戦しようとしたものの敵のパワーが強すぎて攻撃を受けそうになる。
ゼロ「ぐくく…コマンドアーツ！！」
セイバーが当たろうとするまさにその瞬間、「コマンドアーツ」を発動し、連続斬りを仕掛けようとした。
しかしノストラジスは片手のセイバーで連続斬りを防ぎつつもう片方の手でゼロの髪を掴み、
そのまま振り回して壁に叩き付けようとした。
それをゼロは即座に反応し、壁を蹴ってノストラジスの頭に回し蹴りを喰らわせた。
クリーンヒットしたもののノストラジスは蹴りを平然と受け止めゼロの腹にアッパーの連発を入れた。
ゼロ「ぐおおおおおっ！！」
高速で吹っ飛び天井に刺さるゼロだが、吹っ飛んでいる間にバスターを放ち、
ノストラジスに何発か喰らわせた。
ノストラジス「ム…」
ゼロは天井から脱出し、地面に着地した。
ここまでがほんの数秒の間の出来事だった。
ゼロアーマーは酷く凹み彼自身も相当ダメージを負っているかのように見えた。
しかしそれでもゼロの勢いは衰えず、ノストラジスに挑みかかる。
ノストラジスは何度かゼロのフェイントで攻撃を外したりゼロの攻撃を喰らう事はあるものの、
大体見切りをつけ彼自身もフェイントを入れゼロに着実に大ダメージを与えていく。
アクセル「あ、ああ、今度はゼロが一人で無茶しようとしているよ！」
エックス「気圧されている場合じゃない！加勢するぞ！」
ノストラジス「死に急ぎたかったら、勝手にするがいい。だが警告しておくが、
俺はゼロを助けた者を即効で抹殺するぞ！」
高速戦闘をしながらもノストラジスはその場にいる仲間たちに言い放った。
ゼロ「俺からも頼む、この戦いには手は出さないでくれ！
これは俺自身との決着でもあるんだ！」
仲間達全員はノストラジスの激しい殺気をまともに感じ取り、同時に
加勢に入ったら即効で秒殺されてしまう事を確信した。
また今までの2人の戦いを見る限り加勢したところで全く状況は改善されず、
逆に心理的にゼロに負担をかける事になり、彼自身も加勢を拒んでいる。
自分達に出来る事はこの戦いを見守る事しかない。
彼等はその現実に深い悔しさを感じ、同時にゼロの勝利を強く祈った。

それからなおも死闘は続いた。
ゼロ「喰らえ！！」
バスターを顔面に喰らわせようとしたが…
ノストラジス「盾（シールド）…」
ノストラジスのセイバーが変形し、盾となりバスターを防いだ。
ゼロ「何！？」
ノストラジス「この『エンペラーズブレード』は俺の声に合わせ形を変えるのだ。
他にもあるぞ…鞭（ウィップ）！」
ゼロ「当たるか！」
咄嗟にかわし懐に潜り込み大地のエネルギーを込めた拳で攻撃する
アンキロックスのラーニング技、「破山掌」を喰らわせようとする。
ノストラジス「小刀（ナイフ）！」今度はナイフに変形させ、ゼロを刺そうとしてきた。 
ゼロ「うおおおっ！？」
技をキャンセルし、一気に相手との距離を広げた。
ノストラジス「手裏剣（クロスソード）！」
次は手裏剣に変形させゼロ目掛けて投げつけてきた。
ゼロ「今だ！」エンペラーズブレードを壊そうとしたが…
エンペラーズブレードは超高出力のビームを出すのに耐えるため、その硬さもまた異常であり、
破壊する事ができなかった。
ノストラジス「馬鹿め！」
手裏剣に気を取られたゼロを殴り飛ばし、直後手裏剣をキャッチしたが、
同時に殴り飛ばした瞬間腕がゼロに攻撃され拳の威力が落ちてしまい、
自身も腕にダメージを負った事に気付く。
ノストラジス「己ぇぇっ！！」

今までの戦いを遥かにしのぐ強烈なパワー同士の高速でのぶつかり合いはしばらく続いた。
しかし能力値の高いノストラジスがゼロにダメージを重ねて行き、
次第に流れがノストラジスに傾いてくる。
しかしゼロの眼光は少しも衰えず、果敢にノストラジスに向かってくる。
これにノストラジスは苛立ってきた。
しかし戦いながらある事を思いついた。

ノストラジス「ゼロ！貴様自身を憎め！！」

あの視線でゼロを睨みつけた。
ノストラジスがアイリス、仲間達にゼロを憎ませようとしたのはゼロを孤立させ、
精神的にダメージを与える為だった。
しかし仲間達にはその力は通用せずアイリスも完全に術中に陥らず
今ではその効果が消えかかっている。
それに対し今回はゼロに自分自身を憎ませるよう試みた。
これはゼロにはエックス以上の効果を上げた。
何しろゼロは確かにあの時の自分が許せなかったし、自分自身の存在や
戦う意義に疑問点を持っていたからだ。
そして、何度も夢に出た謎の老人、血まみれの自分の手、∑をいたぶる自分や
あのアイリスの死の瞬間が強くフラッシュバックし苦しみだした！
ゼロ「俺は、イレギュラーなのか？本当の俺は、イレギュラーなのか！？
う、うわああああああ！！！！！！」
ノストラジス「そうだゼロ、貴様は最大のイレギュラーだ！！」
隙だらけになったゼロにノストラジスは容赦なく攻撃を浴びせ続けた。
ノストラジス「今では！∑でさえ哀れに思えるぞ！貴様が！原因で！イレギュラー化したのだからな！
貴様さえ！貴様さえいなければ∑が起こしたくだらん戦いなど起こらず今の世界や
今の俺がこうなる事も無かったはずだ！！
貴様なんぞがアイリスを幸せに出来るものか！また殺すのがオチだ！
アイリスは最後の楽園と俺の心を照らす光！最大のイレギュラーの
貴様と結ばれる事などあってはならんのだ！！」
怒り狂った叫びを上げながらゼロを斬る、殴る、蹴る…
ゼロ「グホッ！！ゴハッ！！ウゴォッ！！」
エックス「やめろ！やめてくれ！！」
仲間達は激しい焦燥感にさらされていく。
一方で苦しみ震えているアイリスの目からは涙が出てきた。
そしてついにゼロは倒れ、ノストラジスは彼を踏みつけ、さらに首にセイバーを突きつけた。
ノストラジス「首を斬ってやる！終わりにしてやるぞ！
貴様は消えるべき運命なのだ！ハハハハハハハハハ！！！！」
セイバーがゼロの首に入ろうとした。
カーネル「見ない方がいい…」アイリスの目を隠そうとした。
エックス「（くそ、もう我慢の限界だ！）」
アクセル「（僕がどうなったって構うものか！もう大切な人を失うのは嫌だ！）」
レイヤー「（ゼロさんが死ぬなら、私も死にます！）」
仲間達全員が戦闘体勢に入ろうとした。
誰もが自分が死ぬ事より目の前でゼロがいたぶり殺される事に耐えられなかった。
それは最早理屈の問題ではなかった。
ノストラジスに武器を向ける者、ゼロの楯になろうと飛び込もうとする者、ゼロを回復させようとする者…
全員がそれぞれゼロを助けようとしたその時。

　　　「　や　め　て　ぇ　ぇ　ぇ　ぇ　ぇ　っ　！　！　！　！　！　」

誰よりも先にノストラジスを制したのは……
第二十二話「アイリスの答」
ゼロをまさに殺そうとしているノストラジスを止めた人物――
それは他でもない、アイリスだった。
そしてアイリスの制止はゼロの死と同時に他の９人分の
屍が一瞬にして増える事も食い止めた事にもなった。
ノストラジス「何故なんだアイリス！奴は君の仇の筈なのに…！
最大のイレギュラーだというのに…！！」
今までとは打って変わって彼の態度は酷く狼狽していた。
アイリス「今はっきりと分かったの…私はゼロへの想いは捨てられないって！
さっきまでは私の中で貴方のイメージがゼロを憎むよう脅迫していて、
私は自分の意思で行動していなかったって…！」
ノストラジス「気を確かにしてくれ！あの時みたいにゼロを憎むんだ！」
またしても「あの視線」で見つめるが…
アイリス「もう貴方の視線からは何も感じないわ。」
ゼロがカーネルを手にかけレプリフォースにも手を出した事へのショック、
レプリフォース大戦時から現在までの空白の時間、
そして不幸な運命を辿ってきたノストラジスへの同情というハンデがあり、
ノストラジスの術中に陥りかけたアイリスだったが、ゼロの出生の秘密を知っても
ノストラジスからどれだけその「能力」を持った視線で見つめられても
ゼロへの想いは消えておらず、つい先程までノストラジスの「能力」と戦い、
膠着状態に陥っていた。
しかしゼロの己の宿命と戦う姿を見て、さらにゼロが追い詰められて
彼が死のうとした時ゼロを想う気持ちがノストラジスの「能力」に勝り、
正気に戻ったのだった。
既に「あの視線」は完全に効かなくなっていた。
アイリス「ゼロはイレギュラーなんかじゃないわ！
あの事件は∑の所為だし、きっとその時のレプリフォースも
∑の策略でハンターが止めなければならない事を犯していた筈よ！
兄を殺され愚行に走った私も馬鹿だった…
貴方は確かに悲しい人…
でもだからと言って他の皆を不幸な目に合わせるのは貴方が言っている
今までの不毛な戦いをしてきたイレギュラーと変わりないわ！
破壊と殺戮で得られる楽園なんて私は望まない！

そして…ゼロを奪わないで！」
ノストラジス「待ってくれ！やめてくれやめてくれやめてくれ！！！」
アイリスの肩を掴もうとするノストラジス。
カーネル「私は目を誤る所だったな…
アイリスを不幸にし、世界を破滅に追い込むイレギュラーは貴様だ、ノストラジス！
今度は私が相手になるぞ！」

カーネルもまた強い葛藤状態にあった。
アイリスを想うあまり、「あの視線」の影響でゼロとノストラジスのどちらと
敵対すべきか深く悩んでいたのだった。
しかしアイリスのゼロへの想いと、ノストラジスがイレギュラーと確信した今、
彼に刃を向け、斬りかかった。
今のカーネルは三将官並みかそれ以上の力を持っている。
しかし…
ノストラジスは一瞬の内でカーネルからサーベルを奪い取り、地面に突き刺し、
カーネルの腕をひねってしまった。
そして徐々に握力を強めながら凄まじい殺気を放ち睨み付けた。
ノストラジス「貴様も気が違ったようだな…また同じ過ちを犯すつもりか？
貴様がくたばったらアイリスが悲しむだろうが！
もう二度とアイリスを不幸にしたくないんだ、分るだろ…！？」
カーネル「ぐぐぐ…」
完全に戦意を喪失してしまった。
アイリス「兄さん！」
ノストラジス「どうだアイリス！俺は勢いあまって君の兄を殺したりはしないぞ！
そこに転がっているイレギュラーと違ってな！」
アイリス「だから…」

　　　「　だ　か　ら　、　何　だ　っ　て　ん　だ　！　？　」

全員「！！！！！」
正気に戻ったゼロがノストラジスの脚をはらいのけ立ち上がった。
ノストラジス「な、何だと…！」
倒れそうになったもののすぐ体勢を立て直そうとするノストラジスだったが
間髪いれずゼロがジャンプしてノストラジスに頭から脚に至るまで
ハイキック、ミドルキック、ローキックの超速連撃を決めた！
ノストラジス「おおおおおおおお！？」
辛うじて踏ん張ったものの全身にかなりのダメージを受けた。
アイリス「ごめんなさいゼロ、私はどうかしていた…
彼に睨まれて以来貴方を憎もうとしただなんて…」
アイリスは泣きながらゼロにすがりついた。
ゼロ「俺もどうかしていたぜ、
たかがガン飛ばされたぐらいで俺が俺に負けそうになるなんてな。
さて、ここにもどうかしてる奴がいるな。」
ノストラジス「己！己己己ぇ！！！！こんな事が、こんな事があってたまるか！！
ゼロ、もう一度貴様自身を憎め！！」
再び「あの視線」をゼロに向けた。
ゼロ「何見てんだ？睨むだけじゃ俺は倒せないぜ！」
アイリスの目覚めに呼応してゼロも正気に戻り、
しかもノストラジスの能力は効かなくなっていた。
それだけではなく自分を想うアイリスの気持ちが分った今、それまでの悩みは嘘のように吹き飛び、
ゼロに凄まじい力を与えたのだった！
ノストラジス「こんな筈は…こんな筈は…
こうなったらゼロを塵一つ残さず消し去って後でアイリス達のゼロに関する記憶を完全に消してやる！
盾・槍（ランス・シールド）！」
ノストラジスの声に会わせエンペラーズブレードが盾のような槍に変形した
ゼロを苦しめる為封じていた一撃必殺の最大奥義を使う事にしたのだ。
それを予感したゼロはハイパーモード・ブラックゼロを発動。
強大な２つの力がさらに膨れ上がり空気中にピリピリとした緊張感が
広がっているのをその部屋にいる全員が感じた。
アイリス「ゼロ、ノストラジスを止めてあげて…
彼もまた憎しみに支配された可愛そうな人だから…」
ゼロ「言われなくてもそのつもりだ！」
そして２人はアイリスから離れ、対峙した。

ノストラジス「アイリス、見ていてくれ…これから実現する平和な世界で俺と…

　　　エンペラー・インパクト！！！！」

ノストラジスが空中を駆けると同時に盾の部分を構成するビームが広がり彼の体を包み込んだ。
そして彼は一筋の閃光と化した。

ゼロ「新・斬軍撃！！！！」

今までの技を遥かに凌ぐ速さと威力により、静止した状態でカウンターをとるのは
不可能と判断したゼロは、自らも空中を駆けるラーニング技、斬軍撃で対抗した。
しかし今回はそれぞれの手に紅蓮剣、∑ブレード携えそれをクロスさせた状態で発動させており、
ハイパーモードとも相まってその威力は通常の斬軍撃の何倍も跳ね上がっている。
彼も一筋の閃光と化していた。



両者とも既にかなりの傷を負っており、しかも両者の技はこの戦いで最強の威力を持つ。 


この一撃で決着がついてしまう。
その場にいる全員がそれを確信し、同時に強い感情が込み上げて来た。




閃光と閃光が、互いにぶつかり合い、激しい衝撃を放った。
それはほんの一瞬の事だったがゼロ、ノストラジス自身にとっても、
仲間達にとっても時が止まったように感じた。




そして、「止まった時」は再び動き出し、両者はそれぞれ技発動時とは
対極の遥か離れた位置に着地した……
第二十三話「切り札」
ゼロとノストラジスのそれぞれのアイリスへの想いを込めた力と技は激しく交じり合い、衝突した。
そして暫らく静寂が続いた。
しかしある時…
ノストラジス「グウ！！ウゴオオオオオオオオ！！！！」
ゼロは攻撃を間一髪でかわし何事もなかったのに対しノストラジスは胴体に大きな傷が開き、
苦しみだした。
先程のゼロの蹴りよりも遥かに大きなダメージを受け、完全に決定打となってしまったのだ。
既にノストラジスは足元はふらつき目も焦点が定まらず、息も切れてきている。
傷口さえ攻撃すればゼロでなくとも倒せる状態である。
ノストラジス「ゴハアアア！！な、何て事だ！！い、忌々しい…！！」
ゼロ「てめぇの負けだ！！」
アイリス「お願い目を覚まして！本当に戦いを終わらせたかったら…憎しみをいつまでも引きずるのはやめて！」
勝負は付いたと思ったとき、ノストラジスは何か意味ありげな言葉を放った。

ノストラジス「…生身の状態では…勝てぬ、か…」
ゼロ「？」
ノストラジス「か、過去の戦いの忌まわしき怨念の力達よ、今こそ…俺に力をよこせ！！！」
それはキーワードだった。
そしてそのキーワードに合わせ基地内の転送装置が働き、ノストラジスの下に
強大なエネルギーを放つ黒い結晶体が転送されてきた。
ゼロ「こ、この形は…！！」
その結晶体の形は皮肉にも過去のアイリス戦闘形態のコアと酷似していたのだ。
無理も無い。何故ならノストラジスは過去の資料やネクロスにアイリスを蘇らせている際
アイリスの記憶データを多少なりとも見ており、その形を真似ることでゼロに
精神的ダメージを与える為だったのだから。
ノストラジス 「フフフ…やはりあの戦いの事を思い出したか…だがこれはアイリスのコアとはまた違う物…
レプリロイドのソウル！ナイトメアソウル！レアメタル！欠片より再生した超フォースメタル！コピーチップ！
そして貴様のDNAデータ…！今までのくだらない戦いで使われた力を全てこの体に込める！
ゼロ！貴様の力で貴様が死ぬのだ！！！！」
ゼロ「そんな事したらてめぇ自身の体が耐え切れなくて死ぬぞ？」
ノストラジス「並のレプリロイドならな…だが俺の体には負荷というものは掛からないのだ！！
俺が肉体の鍛錬を続けたのは自分の体をこれの負荷に耐える器にする為でもあったのだからなぁ！！」
アイリス「やめてそれだけは！これ以上憎しみで自分の首を絞めないで！！！」
ノストラジス「すまないアイリス…俺はもう後戻りは…出来ない…
ハアアアアアアアッ！！！！！！！」
ノストラジスが結晶体を上に掲げると、結晶体からは凄まじい光とエネルギーが発生し、ノストラジスに吸収されていった。
ゼロ「させるか！！」
全員で止めに入るもエネルギーが強過ぎて攻撃は無効化されるし近寄るとダメージを受ける。
そして結晶体とノストラジスが放つ禍々しい輝きは急速に強さを増して行き、耳が張り裂けそうな激しい音と共に
ハンター達の視界を完全に奪い、思考も一時的に停止させた。

一同の意識と視界が戻った時。
そこは無限に広がる混沌とした空間だった。
辺りは亡者達の顔のような大気が蠢き、憎しみや苦しみの叫びのような風音が響き渡る。 

…先程の強く禍々しいエネルギーの発生が時空にひずみを生じさせ
その場にいる全員を亜空間に飛ばしてしまったようだ。
同時に全員がタブーエリアに入ってから感じた以上の邪悪な気を全身で感じ取った。
ゼロ「何なんだよここは！？どうなってやがる！？」
アイリス「イヤ…」
エックス「あ、あ、あれは…」
アクセル「う、うわああ…」
一行の目の前にかつてない邪悪な気を放つ超巨大物体が浮遊していた。
全体を確認するとそれは巨大なバケモノの形を成していた。
今回の戦いでは巨躯を誇る敵は数多かったが、それはいずれの敵よりも何倍も大きかった。

「ハハハハハハハハハ！！！！コンナニキブンガイイノハハジメテダゼェ！！！！
ダガマダミチタリネェ…ゼロ！！テメーヲブチコロスマデハミチタリネーンダヨォォォォォ！！！！！」
その巨大な存在、もとい結晶体の力を使い悪魔（サタン）と化したノストラジス（以下サタンノストラジス）
が酷く醜い大声を放った。
ノストラジスは、確かに体は持ってパワーアップには成功した。
しかしその脆弱な心は巨大な悪の力には耐えられず、完全に憎しみに身を委ねてしまっていた。

アイリス「ノストラジス…なの？」
アイリスは変わり果てたノストラジスの姿と心に驚きに勝る悲しみを感じた。
彼をここまで追い詰めてしまった原因には自分の行為も大きく関与しているので、
あの形の結晶体を使ってパワーアップをしたノストラジスを見て、憎しみに溺れた
ノストラジスへの哀れみと過去の自分に対する自責の念が、強く、強くアイリスの胸を締め付けた。
ゼロ「こうなったらもう手遅れだ、やるしか無い！！」
ハンター達は、今まで以上の強い殺気に気圧されそうになりながらも、
出来る限り、最大限の力でサタンノストラジスに立ち向かおうとした。
全員がリミッター解除を使用し、超フォースメタルのかけらを装着し、ハイパーモードがある者は
ハイパーモードを発動し、アクセルはナインテイルズに変身した。
エックス「皆！終わらせるぞ！」
全力を込めて一斉攻撃をしたが…
サタンノストラジス「ザコハヒッコンデロォォォォ！！！！！」
ハンター達の攻撃をことごとく弾き返したサタンノストラジスは、肩から無数の斬撃弾を高速連発し
仲間達を一瞬の内に無残な残骸に変えていった…
サタンノストラジス「ハハハハハハハ！！！！ハハハハハハハハハハ！！！！！！」
ゼロ「皆ぁー！よくも！よくも仲間達を…！！！うおおおおおお！！！」
怒りが頂点に達したゼロはまたしても新・斬軍撃で向かっていった。
サタンノストラジス「クラエ、ゼロォオーーーーーッ！！！！！」
サタンノストラジスはゼロが到達する前に腹部の触手や牙のような部分を開き、
巨大な放射状の破壊砲をゼロに放ってきた！
ゼロ「うぐあああああああああ！！！！！！！」
ゼロは全身が惨たらしく破壊され、遥か彼方へ飛ばされて行った…
サタンノストラジス「アーハッハッハッハッハッハッハッハッ！！！！！」

吹き飛ばされたゼロは無残な姿となって亜空間を漂っていた。
その時ゼロの頭の中によく夢で見るあの老人の声が語りかけてきた。
老人「（ワシの最高傑作が情けないのう。『あいつ』はおろかどこの馬の骨とも分からぬ奴に
負けおるなんて…どれ、ワシがお前を目覚めさせてやるかのう。
目覚めたお前はあんなデカブツなど余裕で倒せるわい。）」
ゼロ「（お前は…やめろ！やめてくれ！！！俺は…ハンター、だ！！
イレギュ…ラーでは…ぐあああああ！！！！！）」

その頃…
サタンノストラジス「ハハハハハハ！！！ドウダアイリス！オレハツエーダロォー！！！
オレノモノニナルトイエーー！！！！」
アイリス「もう、本当に何もかも終わりなのね…私は、本当に嫌な女だね…
兄とゼロを苦しませ、貴方までここまで追い詰めてこんな事に…
お願い、私を殺して！私こそ本当の意味でイレギュラーだから！！」
カーネル「私も一思いに殺してくれ！私もあの事件を起こして以来
生きていてはいけない存在だったんだ…！」
兄妹は復活以来強い自責の感情を持っており、全ての希望が絶たれたと思った時
その感情は一気に強まり死で償おうとした。
サタンノストラジス「ナンダトォ！ダッタラテメーラモシネェーーー！！！！」
サタンノストラジスが腹部を解放した時だった。

　　　「　テ　メ　ー　い　い　加　減　に　し　ろ　よ　・　・　・　」

３人の前に姿を現した存在とは…
第二十四話「信念の勝利」
憎しみに狂い果てたサタンノストラジスと死を覚悟したアイリス、カーネルの前に現れたのは、
亜空間の邪気と心身の壊滅的ダメージの影響で覚醒したゼロだった！
体のダメージが完全回復し、さらにハイパーモード「アブソリュートゼロ」も発動させていた。
その名も「覚醒アブソリュートゼロ」。

その姿は凶悪そのもので内側からはサタンノストラジスさえも遥かに上回る強大で禍々しい力を放っていた。
アイリス「ゼロ！！！！」
サタンノストラジス「オノレェエェエェエ！！！！マダイキテヤガッタノカァァァァ！！！！！」
ゼロ「俺をあんな攻撃で殺せると思ったか…それよりてめぇ…さっきから調子乗ってんじゃねぇぞ！！！！」
サタンノストラジス「キエロォォォォォ！！！！」
再び肩からの斬撃弾を撃ってきた。
しかしゼロはそれをあっさりかわし、カラミティアーツで反撃した。
とてつもない防御力を誇るサタンノストラジスの全身に、何と素手で大ダメージを与えていく！
ゼロ「ヒャハハハハ！！！どーしたさっきまでの調子はぁ！！？」
サタンノストラジス「ウゴアアアアアア！！！！」
尻尾から貫通効果に優れ、振り回せば鋭利なサーベルにもなる極細レーザーをゼロに放ったが…
瞬時に尻尾の先のレーザー発射口部分に回りこまれ、レーザー発射部分を叩き潰されてしまった。
ゼロ「それがどーしたってんだ、ザコが！！！」
ゼロの攻撃はさらに激しさを増し、サタンノストラジスを楽しみながらいたぶるかのように
猛攻撃を決め続けていった。

カーネル「何と言う強さだ！しかしこの禍々しさにこの凶暴性…今のゼロはやはり…」 
アイリス「兄さん…ゼロを、信じましょう…！」
アイリスは洗脳が解けて以来ゼロの全てを受け入れる事にしていたのだ。
このようなゼロを見ても最早彼女にゼロに対する迷いは無かった。

一方…
ゼロはサタンノストラジスをかなり追い詰めていた。
その時…
老人「（いいぞゼロ！これでこそワシの最高傑作じゃ！
さあその粗大ゴミをとっとと片付けてしまえぃ！
その後はそこを漂っている「奴」…ロックマンＸを完全に消し去るのじゃ！
…やはりワシは天才なのじゃ！ぬは、ぬはははははははぁ！！！！）」
再びあの老人の声がゼロの頭の中から語りかけてきた。
ゼロ「うるせぇ…」
老人「（な、何じゃと！？）」
ゼロ「いつもいつもうるせぇんだよ！！てめぇの宿命なんぞ、クソくらえだ！！
これは俺の戦いだ、てめぇの出る幕なんかねぇ！！」
ゼロは確かに心身のダメージから覚醒を許してしまった。
しかし今までの戦いと今回の戦いで培われた彼の凄まじき信念は消えずに残っていたのだった。
アイリス「ゼロ！やっぱりゼロなのね！！」
アイリスは今のでそれを感じ取り、希望を完全に取戻した。
老人「（か、覚醒した状態でワシに逆らうとは…ゼロがここまで強い意志を持っておったとは…
認めん、認めんぞ！ゼロ！考えを改めるのじゃ！そうすれば一気に開放されるぞ！！）」 
ゼロ「うるせぇっつってんだよ！！」
その時だった。
サタンノストラジス「ガアアアアアアアア！！！！！！！！」
サタンノストラジスが再び腹部の破壊砲を放ってきた。
しかもエネルギーを溜めており、威力は先程より数段上である。

ゼロ「俺は俺の信念の為に、仲間達の為に、そして愛すべき者、アイリスの為に戦い、勝つ！！
　　　　　　　　　　幻　　　　夢　　　　零　　　　！　！　！　！　！　！　！　　」

ゼロは覚醒時の最強技、幻夢零で迎え撃った。
幻夢零は破壊砲を切り分けていき、ついにはサタンノストラジスの巨大なボディを切り裂いた。
同時にそれは内蔵されていた結晶体をも正確に破壊し、それによりサタンノストラジスの体は崩れ始め、やがて爆発を起こした。

老人「（ば、馬…鹿な…あれほど…完璧なプログラムだったはずなのに…機械の分際で… 


ワシ…の意思を弾き…返すとは…お、おのれ…おのれ…おのれぇぇ……！！）」
爆発と同時にゼロに宿る老人、もとい彼の製作者であり、過去に幾度も世界を恐怖に陥れた悪の権化であり、
エックスとその製作者トーマス・ライトの仇敵でもあるアルバート・Ｗ・ワイリーの意思は完全に消滅し、
ゼロはクールダウンした。
そして爆発の光は眩しさを急速に増していき、光が収まった時には全員元の世界に戻っていた…
第二十五話「皇帝の最期」
戦いは終わり、その場にいた全員は浮遊城に戻っていた。
そこには戦いに勝利し、クールダウンしたゼロとカーネル・アイリス兄妹、
完膚なきまで叩きのめされ最早手足も動かせないノストラジスがおり、
辺りには直視に耐えがたく変わり果てた仲間達の無残な残骸が散乱していた。
既にノストラジスの仮面は砕け散っており、醜悪な表情がこびり付いた顔が露になっていた。
静寂が4人を包んでいたが、その静寂を最初に破ったのはノストラジスだった。
ノストラジス「我が野望は潰えたか…そうだよな…
初めから…俺が死ねば良かったのだな…それなのに…
馬鹿げた野望に走り…こんな事に…」
アイリス「ノストラジス…」
カーネル「ゼロ、止めは刺さなくていいのか？」
ノストラジス「遠慮はするな…俺はイレギュラー、ハンターに倒されて当然だ…」
ゼロ「……」
ゼロは、何かを考えていた。
先程は怒りと覚醒が相まって精神が異様に高揚していたのだが、
アイリスが何故そこまで彼の事で悩むのかを考え始めており、
そして彼もまた不幸な存在である事に気付き始めていたのだ。
今回の戦いで彼は確かに残虐の限りを尽くした。
世界中の人間やレプリロイドを大量に殺し、彼等が作り上げてきた
ありとあらゆる物も破壊しつくし壊滅的打撃を与えた。
そして…
共に幾度も大戦を潜り抜けた無二の親友エックス。
問題児だったが戦いを通じて自分と同じＳ級ハンターになったアクセル。
何度もハンターをサポートし、戦闘にも参加してくれたエイリア。
感情表現は不器用だったが自分に思いを寄せてくれていたレイヤー。
頼りなさ気だったがその分ナビも戦闘も一生懸命だったパレット。
臆病さを捨て去り鋼鉄の勇者として立ち上がったマッシモ。
自分と同じく戦いで想い人を失った事があるマリノ。
戦いの中で戦闘力のみならず自分で戦う意思も身に着けたシナモン。
戦いの後改心し、今回の戦いでも力になってくれたダイナモ。
彼等を失ったのはレプリフォース大戦でのアイリスの死、リベリオン・リディプス事件での
スパイダーの裏切りと同等にゼロの心に大きな傷をつけた。
しかしゼロは諦めていなかった。
自分自身何度も死の淵から蘇っているし、今回の戦いでカーネル・アイリス兄妹も蘇ったのだから、
彼等が死んだとまだ完全に認めていなかった。
その希望と、ノストラジスの心情を察した事でゼロは重い口を開いた。
ゼロ「戦いは終わったし、こいつらもある程度覚悟を決めて戦いに臨んだんだから
俺はもうこれ以上とやかく言うつもりはねぇよ。
お前が歪んじまったのはあの時の俺の行為が至らなかった所為でもあるしな。
こいつらは…見せるだけ見せてみるさ。駄目だとしてもそれをいつまでも引きずるつもりはねぇ…」
ノストラジス「何を言っている…！早く…止めを刺してくれ…！！俺は、仇なんだぞ…」 
アイリス「ノストラジス…貴方がやった事は確かに消えはしないわ…
でも貴方が生まれた来たのは貴方の所為じゃないし…
そして貴方がここまで傷付いたのは私があの時バカな行為に走った所為もある事だし…
だからこれ以上…自分を責めないで…
ずっと苦しんできた貴方を…私をまたゼロと会わせてくれた貴方を…私は憎まないから…」 
アイリスは本心からノストラジスに慈悲の言葉をかけた。

　　　　「　う　お　お　お　お　お　お　お　お　！　！　！　！　！　！　」

ノストラジスは、泣いた。大声で、大粒の涙を流して。
今まで消えかかっていた感情が一気に噴き出したのだ。
それは誰も助けてくれなかった自分に初めてアイリスに優しさを向けてもらった時の感情だった。
ノストラジス「こんな…こんな俺にこのような言葉を…
俺はそんな君に幸せに生きて欲しかっただけだったんだ！
なのに俺は逆に君を傷つけて…すまなかった！
そしてゼロ、俺からも言おう、お前はもうイレギュラーなどではない！
お前なら、アイリスを幸せに出来る筈だ！
俺を倒し…宿命に打ち勝ったんだからな…！
アイリスを、残された世界を、頼む…
どうか…どうか…」

そう言うとノストラジスは息を引き取った。
その死に顔は安らかで既に醜悪な歪みは消えていた。
ゼロ「ノストラジス…」
アイリス「これで…良かったのかしら…」
カーネル「（誰をも許し、受け入れる心か…私がその心をもっと多く受け継いでいれば 
レプリフォース大戦もこの事件も起こらなかっただろうにな…）」
カーネルもこの事件の事を深く悔いた。

その時だった。
ノストラジスに宿っていた「力」が彼の死に伴い拡散した。
その影響はまず残骸と化した仲間達を完全に修復した。
エックス「う、うう…」
ゼロ「皆！！」
アイリス「治ったのね！？」
しばらくして全員が意識を取戻した。
エックス「意識が闇の中で漂っていた時、彼が語りかけてきたんだ。
その時俺は彼がどうしてこうなったのか、彼がどんな思いでここまで来たのか分かった気がする…
俺も常に存在を否定され続けたら…支えてくれる仲間がいなかったら…」
マッシモ「今までの怒りがすっかり吹っ飛んじまったぜ。同時に何か悲しくなってきたな…」
エイリア「でも何と言うか、心が癒される感じもしたわね。」
シナモン「う、うう、この人…こんなに心を病んでいたんですね…」
アクセル「あと世界を頼むとか言って消えてったよ。それで気が付いたらここにいたってわけ。」
ゼロ「お前達にも、世界を託して行ったんだな…」
ノストラジスの死の直後、彼の意識は倒された仲間と一体化し、その時仲間達全員は彼の不幸な生い立ちを悟った。
そして彼の魂は彼等に世界を託すと同時に彼等の中で消滅したのだった…
全員が不幸な運命に翻弄された一人の哀れな男の悲しみに共感している時だった。
長きに渡ってタブーエリアの空を覆っていた雲が晴れ始めた。
久方ぶりのタブーエリアの日の光が、全員を優しく照らした。
しかしその時…
ゼロ「基地が崩壊するぞ！脱出だ！」
主の死に伴い浮遊城は崩れ始め、全員は急いで脱出した。

ゼロ「じゃあな…」
アイリス「さようなら…」
視界から遠ざかってゆく、雲の隙間から差し込む光に照らされた浮遊城の残骸は、どこかとても悲しげに見えた…
最終回「Love,Pease&Soul」
ラストユートピアとの戦いに幕が下りてしばらく時が経った。
かつて「タブーエリア」と呼ばれた地域には既に常に空を覆い続けた暗雲、
有害物質、ウィルス、そして邪悪な気は消え去り、花が咲き乱れていた。
そしてこの大戦で生き残った人間やレプリロイド達は戦いが終わった事や
タブーエリアの変化の事を知るや否や自然にそこに集まって来ていた。
彼等の心には不思議と憎しみや苦しみ、恐怖は無かった。
誰もが憎しみを引きずる事の愚かさを自然に悟り始め、
また長い間地獄のようだったタブーエリアが桃源郷のように変わったことを喜んでいた。 


その頃ゼロ達は…
ゼロ「また会いに来たぞ、ノストラジス。」
アイリスの墓だった場所は、ノストラジスの墓に変わっていた。
ゼロ「あれから戦いは無くなり、俺もアイリスと上手くやってるよ。
あのタブーエリアも再生しつつある。」
ゼロの傍らにはアイリスもいた。
ゼロ「アイリス、俺はお前が救いたかったノストラジスと戦い、結局死に追いやってしまった。
俺は本当にあの時から変わったのだろうか？」
アイリス「確かに彼はこの戦いで犠牲になったけど…彼の心は救われたんじゃないかしら。」
ゼロ「…ああ、そうかもな。」
ゼロは後からノストラジス戦の場面の数々、具体的にはアイリスの制止も聞かず
ノストラジスがゼロに戦いを挑んだ時、彼があの形の結晶体を取り出しパワーアップした時、
そして倒された彼が悲劇的な死を遂げた時からレプリフォース大戦の惨劇を連想し、
少なからず自分の行為に疑問を持ち、そしてアイリスがどう思っているのか気に病んでいた。
しかしあの時のアイリスの最期とノストラジスの最期では大きな相違点があった。
それはあの時のアイリスは苦しみの末無念の死を遂げたが、ノストラジスは今までの
彼自身を束縛してきた憎しみや苦しみから解き放たれて逝った事である。
それを考えた事とアイリスの励ましを受けた事でゼロは幾分気が楽になった。
その時…
エックス「やっぱりここにいたんだね。」
エックスが後から来た。
エックス「本当に長く厳しい、そして悲しい戦いだったよ…
思えば今回の戦いでは彼の他にも哀れな奴も大勢いただろうな。
だからこそ、俺達はこの平和を仮初の物にしてはならない。
じゃないとノストラジス達も浮かばれないからね。」
そして一人一人と仲間達が現れ共に祈りを捧げた。
あの戦いの後、ハンターとレプリフォース、ギガンティス総督府は手を結び、
それぞれが世界各地で復興作業に力を注いでいる為こうして一同に会する機会は今は滅多に無い。
しかし今回復興も大分進行したので機会を見て集まることにしたのだ。
シグナス「この顔ぶれが揃うのは本当に久し振りだな。諸君の日々のご苦労、感謝する。」 
ナナ「確かに多忙ですが平和の為ならそれも全く苦になりません。」
シナモン「やっぱり平和が一番ですね～」
シグナス「うむ、この平和を永久に維持して人間とレプリロイドの理想国家を実現しようではないか！」
エイリア「…『理想国家』って…ずっと前も言ってたけどそれ危ない響きがするわよ、シグナス…」
エックス「俺もあの時どうかと思ったぞ、その台詞…」
アクセル「何何？そんな危険人物みたいな事言ったの？」
シグナス「何だと？総監の言葉に文句をつけるのか！？」
全員「プッ」「クスクス…」
「アハハハハハハハハハハ！！！！！！！！」
シグナス「う、うむむ…」
ゼロ「ハハハ…アイリス！」
アイリスの方を見た。
アイリス「何、ゼロ？」
ゼロ「俺はこれまでずっとお前の分まで生きて戦ってきた。
だがこれからは…お前と共に生きよう！！」
アイリス「うん…！！」
晴れ晴れとした笑顔でアイリスは答えた。
カーネル「（ゼロならアイリスを任せられるだろう、アイリスを幸せにしてやってくれ。）」 
レイヤー「（ゼロさん…アイリスさんとお幸せになってください…このレイヤーはいつまでも
貴方の幸せを祈っております…！）」
マリノ「別に羨んだりしないよ。…あたしももう吹っ切れたしね。」
アクセル「二人とも幸せそうだね～、ん、パレット、僕の顔に何か付いてんの？」
パレットがアクセルを見つめていた。
パレット「んも～、アクセルのニブチン！もう知らないんだからね！」
アクセル「何？何？あ～、ところでタブーエリアだった所に僕達の像が立てられたんだって。」
マッシモ「マジか！？鋼鉄のマッシモも遂に世界の英雄か！？ハ、ハッハッハッハッハッハッハー！」
ダイナモ「元イレギュラーの俺がここまで讃えられると何だか照れ臭いぜ。」
ゼロ「見に行ってみようぜ、アイリス！」
アイリス「ええ、行きましょう、ゼロ！」
全員はそれぞれ希望を胸に走り出した。
今回の戦いでは敵も強力極まりなく、被害も甚大だった。
しかしその強敵達をそれぞれの信念で打ち倒し、さらにノストラジスのみならず世界中を憎しみから解き放ち
復興作業も順調に進めているゼロ達はこれからどんな障害も乗り越えて行ける気がした。 

ゼロは誓った。
今度こそアイリスを守り仲間達と共に平和を保つ事を。
アイリスは祈った。
世界の平和、ゼロとの幸せがいつまでも続く事を。
そして、憎しみから開放されゼロにアイリスを託したノストラジスはそんな二人を遠い空から見守り続けるだろう。
タブーエリアに新しい呼び名が付くのはそう遠くないかも知れない。


　　　　　　　　　　　　　　　　復活のアイリス編・完



  
ＥＬＩＴＥ　ＨＵＮＴＥＲ　ＺＥＲＯ

小説「復活のアイリス編」

第一話「序章・世界、そしてゼロは今・・・」

第二話「最初の敵」

第三話「ラストユートピア」

第四話「助っ人登場！」

第五話「全面戦争開始」

第六話「女の敵・スカンキー！」

第七話「激突・パワー対パワー！」

第八話「戦いを終わらせろ！」

第九話「ハンターベース奇襲」

第十話「後半戦突入」

第十一話「シナモンの覚悟！」

第十二話「ＡＬＩＶＥ」」

第十三話「皇帝ノストラジス」

第十五話「八佐官戦、終結」

第十六話「Flyte Tyme」

第十七話「俺はマッシモ！」

第十八話「新世代」

第十九話「憎しみの連鎖」

第二十話「対面、そして再会」

第二十一話「頂上決戦」

第二十二話「アイリスの答」

第二十三話「切り札」

第二十四話「信念の勝利」

第二十五話「皇帝の最期」

最終回「Love,Pease&Soul」

第十六話「Flyte　Tyme」