小説「ジェノサイダー8編」


管理人初の小説にして、初代オリボスが登場する小説です。
ラストはバッドエンドの為苦手な方は読まない事をお薦めします。

第1話「ジェノサイダー8現る」


ナイトメア事件が終結し、ゼロが100年の長き眠りに就いた後の頃…
世界ではあらゆる方面での実力のあるレプリロイドが殺害される一連の事件が発生していた。
実行犯グループはジェノサイダー8と名乗る8体のレプリロイド。
彼等の戦闘力は皆桁外れに高く、奇跡が起きても勝てないと言われる程である。
ジェノサイダー8の魔の手が及んだ地域は無政府状態となり荒廃し、
さらに彼等が強い者達に戦いを呼び掛け挑発する為混乱は一層悪化した。
次々と標的と定めた強者を狩りジェノサイダー8は名を上げると共に勢力を拡大し、
自分達が利用出来ると判断したレプリロイド達を配下に置く事によってそれはさらに加速した。
やがて本格的に被害、及び組織の規模を拡大させたジェノサイダー8は
正面切ってイレギュラーハンターに挑戦状を叩きつけ、ハンターもそれを引き受けた。
この時ハンターで強大な敵と戦う力を持っているのはエックス只一人だった。
平和を願う彼の意に反し、長く苦しい戦いが始まってしまう… 

第2話「作戦会議」


事件が勃発するしばらく前の時… 
どことも知れぬ場所でジェノサイダー8が会議を開いていた。 

虫型レプリロイド「いいか野郎共、世界中に俺達の力を見せ付けてやるぜーっ!!!」 
小柄なレプリロイド「やってやるぜ!」 
小鳥型レプリロイド「ぶちくらわせてくれるわ!!」
虫型レプリロイド「ただし殺るのは強ぇ奴、もしくは大物だけだ! 
弱ぇ奴や大したこと無い奴等を殺るような 
みっともない真似はすんじゃねーぞ!!」 
細身のレプリロイド「ククク…分かっていませんねぇ… 
弱い者を殺すのがいいんじゃないですか…」 
虫型レプリロイド「またテメーか!! 
雑魚に構うような真似はすんなっつってんだろーが! 
分かってねーのはテメーだテメー!!!」 
巨漢レプリロイド「全く、ジェノサイダー8の風上にも置けない奴め…」 
首の長いレプリロイド「そうだよ、駄目だよそんな事しちゃ…」
体を毛で覆われたレプリロイド「ムニャムニャ…さっきから君達何騒いでるの〜?」

虫型レプリロイド「テメーはまた居眠りか!! 
やる気あんのかコラァ!!!」 
水中戦用と思しきレプリロイド「落ち着け、要は世界中の『力』を持つ者を片っ端から狩ればいいのだろう?
ならば知らしめてやろうではないか、我々の力を。 
表の世界で活動する者は勿論裏で暗躍する奴等のデータも
我等の組織の情報網を以てすれば容易く入手出来る…
ここでぐずぐずしてなどいないで早々に作戦を実行するべきだろう? 
我等の名を上げる為に…
組織の理想の為に…!」
他全員「そうだな」
虫型レプリロイド「そんじゃ気を取り直して、行くぞ野郎共ーっ!!!」

そしてジェノサイダー8は解散した。 
程なくして彼等は世界中で事件の火種をばらまいていった。 
ジェノサイダー8がハンターと合間見えるまで、それほど時間は掛からなかったのであった…

第3話「キラー10」


ついにジェノサイダー8は本格的にハンターに攻撃を開始した。 
まず最初にハンター支部基地が襲撃を受けているとの通信が入り、
エックスはその襲撃を受けている基地に駆けつけた。

が、時既に遅し。 
基地は全壊しその基地にいたハンターは皆殺しにされていた。 
エックス「酷い…酷過ぎる!!」
すると突如エックスの目の前に手足の関節が多く巨大なボディを持つレプリロイドが現れた。
 
巨大レプリロイド「ヘヘヘヘヘ…
来たかエックス… 
だがちぃとばかし来るのが遅かったようだなぁ!」 
エックス「ジェノサイダー8じゃない…手下の者か!?」
巨大レプリロイド「おうともよ!
俺はその中でも最強の10人の『キラー10』の一人、CFー1!」
エックス「(そう言えば聞いた事がある、
ジェノサイダー8の配下になったレプリロイドの中には極めて強力な10体の精鋭達がいると…
こいつがその1体か…!)
要は貴様等に勝てなければジェノサイダー8と戦う資格も無し、という事だな!」
CFー1「そういうこった。 
テメーもそこに転がっているゴミ共同様即行でスクラップになる運命だがな!!」 
エックス「そうは行かない!これ以上貴様等の好きにはさせないぞ!!」

かくして今回の事件におけるエックスの初戦が始まった。
CFー1は攻撃パターンこそ単調だが巨体に違わぬパワーを誇り、また巨体によらずスピードも相当ある。
エックスはヒット&アウェイで応戦するも相手のスピードによりどうしても攻撃を喰らってしまう。 
しかし技術の差からCFー1の方がよりダメージを蓄積していき、彼の方が先に力尽きた。

CFー1「グハアアアアア!!!
や…やるな… 
だがこれでテメーの負けは確実だ… 
言っておくが俺はキラー10最弱… 
さらにジェノサイダー8の方々は俺達キラー10よりもお強い…! 
俺ごときに苦戦するようじゃあこの先テメーには絶望…しか…ない…ぜ… 
ザマーミ…ロ… 
グボアアァアァア!!!」 
そう言い残しCFー1は大爆発して死亡した。 

エックス「キラー10最弱でこれとは…
どれだけ強いんだ、ジェノサイダー8は…!たがこれしきの事で、俺は諦めたりはしない!」 
思わぬ苦戦を強いられたエックスだったが彼の闘志は決して揺るがなかった…

第4話「現状」


CFー1に辛くも勝利したエックスは傷だらけの体でベースに帰還した。

エックス「う…ううう…」 
エイリア「凄いダメージ!大丈夫、エックス!?」 
ライフセイバー「派手にやられましたね…」
シグナス「ううむ、これほどとは…
奴等からの情報によるとお前が先程倒した敵は 
奴等自身ではなくその手先だそうだが… 」
エックス「ああ、俺が何とか倒した敵は…奴等の…手下の一人でしか…なかった…」
そしてエックスは大まかに説明した。
先程の戦いで見た敵の実態を。 
あまりに厳しい現実を。 
エックスが辛うじて倒したCFー1はジェノサイダー8の部下の中の
上位10名「キラー10」の一人でしかもキラー10最弱。

さらに強いのが9人もいる。 
ジェノサイダー8はそんな9人をも力で従えているのだ。 
加えてゼロが眠りに付いた今、雑魚ではない大物イレギュラーとまともに戦えるのはハンターにはエックスしかおらず、
外部で頼れそうな者は皆行方不明になっているかジェノサイダー8に殺されている。

エックス「それでも…俺…は…行く… 
こうして…いる間にも…世界が… 
だから…早く…メンテを…」
シグナス「落ち着け。今回ばかりは正攻法で行っても
無駄死にする可能性が高い。
何らかの手を打たない事には…」
ダグラス「…よっしゃ!
ここは俺が一肌脱ぐとすっか! 
とっておきのヤツを作ってやっからよ! 
まぁメンテが終わるまでには間に合わせるぜ!」 
エックス「ああ…頼む…」 

そしてエックスはメンテナンスに入り、 
同時にダグラスはアイテム開発に取りかかった。 

しばらく経ってエックスのメンテナンスが終わった頃… 
「ゼェ…ゼェ…」
ダグラスが疲労困憊の様子で開発室から出てきた。 

ダグラス「強化アイテム…バッチリ作ってやったぜ… 
これぐらいのアイテムは…お前にしか… 
使いこなせない… きっちり…役立ててくれよ…」
エックス「ダグラス…!こんなにアイテムを作ってくれたなんて…!」
エックスはダグラスの疲労ぶりと開発室にあったアイテムの数と内容に驚愕する。
アイテムの内容はは従来の8個を遥かに上回る数のライフアップ、
バスター関連ではチャージ時間のを短縮させるアイテム、速度を上げるアイテム、威力を上げるアイテム、
ダッシュ関連では速度と距離を上げるアイテム、ダッシュに攻撃力を追加するアイテム、
他にも動体視力を上げるアイテム、攻撃を受けた時バリアを発生出来るようになるアイテム、
敵を倒した時確実にアイテムを落とすようになるアイテム…などなどであった。 
しかも各々の性能は従来に比べ格段にアップしている。

ダグラス「後は…頼んだ…ぜ…」 
ガクッ! 

エックス「ダグラス!!」
シグナス「気を失っただけだ…」

そしてエックスはこれらのアイテムを装備した。
エックス「凄い…力が漲って来るのが分かる…!
ありがとうダグラス、俺は必ずこの力で奴等を食い止めて見せる!」
この頃ジェノサイダー8の勢力は一層拡大し世界に8ヶ所の巨大な拠点を構えるに至った。
エックスは彼等の野望を食い止めるべく、その内の1ヶ所に出撃した。
いよいよエックスとジェノサイダー8との死闘が始まる…

第5話「虚構の楽園」

エックスが出撃した最初のジェノサイダー8の拠点。 そこは辺り一面に綺麗な花が咲き乱れているという 一見平和そのものといった光景なのだが… エックス「これは…全部メカニロイドか立体映像だ!」 平和な風景は仮初めの物で、いずれも侵入者の目を欺く物でしかなかった。 他にもこのステージにはレプリロイドの心身の機能を麻痺させるウィルスで溢れ返っている。 エックスは対ウィルス性のアイテムを装備していた為影響を受けずに済んだのだが… そうしたステージを進んでいるとエックスはある時立体映像の壁をすり抜けた。 その先にはこれまでの戦いの際に幾度も出現してきたあのボディパーツカプセルがあった。 カプセルからはいつものようにDr.ライトの姿が現れた。 Dr.ライト「エックスよ…また戦いが始まってしまったようじゃのう。 しかもかつてない強敵のようじゃな。 こういう時だからこそ、今回もこの力を授けよう。 頼んだぞ、エックスよ…」 直後エックスはカプセルに入り、アルティメットアーマーを装備した。 エックス「またこの力を使う時が来たのか…凄まじい力だから気をつけて使おう」 更なる力を得たエックスはステージを一気に突き進んだ。 するとある地点で突如景色が暗くなり夜の星空のようになった。 エックス「!?」 エックスが警戒すると同時に上空から大柄で奇怪な姿をしたレプリロイド… このステージの前半を守るキラー10のプラネタルドが現れた。 プラネタルド「ワタシハコノ地ヲ守護スルキラー10ノ一人… 虚像ノ幻惑ニ狂イ死ニナサイ…! キキキ…ヒヒヒヒヒ!!!」 エックス「(こいつがCFー1より強いという残りのキラー10の一人か… しかし俺は今までの俺ではない!) いいだろう、かかって来い!」 プラネタルドの能力はホログラフで相手を撹乱させつつレーザーで攻撃するといったものであり、 彼の総合能力は確かにCFー1を上回っていた。 しかし大幅にパワーアップしたエックスは彼とかなりまともな勝負が出来、 さほど苦戦する事なく撃破出来た。 そしてエックスはその勢いでジェノサイダー8最初の一人の下を目指すのだった。

第6話「初対決」

五感を研ぎ澄ましステージを突き進みジェノサイダー8の待ち受ける場所を目指すエックス。 ステージの仕掛けは前半に輪をかけて難解でいやらしくなってきたが パワーアップと自身の経験で養われた直感のおかげでエックスは難なく進む事が出来た。 しばらく進むと開けた場所に出た。 そこは一際華やかで幻想的な光景が繰り広げられており、見れば大抵の者は心を奪われる事だろう。 しかしエックスはそこの中央から異様な気配を感じ取っていた。 そこにはボディが毛で覆われた羊のようなレプリロイドが眠っていた。 彼こそがジェノサイダー8の一角、スリーピー・シープロンだった。 エックス「(こいつが…ジェノサイダー8の一人…か… 殺気を全く感じないが、油断は禁物だ!)」そう思っていると、シープロンが起きた。 シープロン「あ〜来ちゃったか… おいらはシープロン。敵を眠り殺すのを得意としてるんだ。 聞くところによると君は戦いを苦痛に感じてるみたいだね… これまでずっと苦しい思いをしてきたんでしょ〜 だから最期ぐらいは楽に逝かせてあげるよ… 永遠に、お休みぃ〜」 シープロンは眠気を誘発するウィルスの使い手。 このウィルスはレプリロイドの体力を奪う性能も兼ね備えており、 しかも道中に蔓延していたウィルスより強力である。 そしてこの能力はより確実に相手を仕留める事を可能にしている。 何故なら苦痛を伴う攻撃なら相手は抗うのだが、この能力は逆に 相手にあらゆる苦痛を和らげ安らぎを与えるので喰らった者は大抵その心地よさに身を委ねてしまうからである。 そしてそのまま死んでしまうのだ。 怠け者でありわざわざ相手を苦しめる趣味がなく、 あくまで殺す事のみを目的としているシープロン自身にとってもこの能力は都合が良かった。 この他にもシープロンはボディの周囲に高電圧の電気を纏う技も持っており、 眠気で動きの鈍った相手に近寄って電気で痺れさせより確実に仕留めてきた。 エックスは最初シープロンのウィルスに曝され、対ウィルス性アイテムを装備しているにもかかわらず 眠気を覚えて動きが鈍ってしまった。 続いてシープロンはエックスに近付きボディをスパークさせ痺れさせた。 眠気と痺れで心身の機能が麻痺したエックスだったが 自らの信念と当初の目的を思い出した彼は何とバスターで自傷行為をした。 痛みで意識を鮮明に取り戻すとエックスは痺れた状態でありながら ダッシュで距離を取った。 シープロンは動きは遅いので痺れた状態でもエックスは充分な距離を取る事が出来た。 そして遠距離からプラズマチャージショットを喰らわせた。 しばらくすると痺れの効果も切れエックスはさらに距離を取って 地道にプラズマチャージショットを当てていった。 シープロンの毛は防御の役割を果たし、 またウィルスが遠くまで拡散する事もあって多少時間が掛かりはしたが、 エックスは何とか地道な努力でシープロンを撃破する事が出来た。 ジェノサイダー8に対しての初の勝利である。 この地域周辺の難民達はハンターと世界政府の指示に従い 世界政府総本部のある都市に匿われる事となった…

第7話「深淵」

シープロンが倒されたしばらく後の頃、 何処ぞとも分からぬ建物の中で3体のレプリロイドが会話をしていた。 一人は牙を剥いた化け物、もしくは骸骨のような顔をした巨大なレプリロイドで手には薙刀の形をしたビームセイバーを持っている。 名をカタルシスといった。 もう一人は彼よりさらに巨大なレプリロイドで全身の至る所を砲身で武装している。 名をデストロイといった。 最後の一人はこの中では一番小柄だが常人よりは明らかに大柄なレプリロイドで紳士的かつ不気味な雰囲気を放っている。 名をホロコーストといった。 どうやら彼がこの3体のリーダーのようだ。 ホロコースト「シープロンがやられたか…」 デストロイ「所詮奴はジェノサイダー8最弱… 今はまだ様子見の段階ですな」 カタルシス「それでもジェノサイダー8の一人を倒すだけの力があるって事だろ!? だったら俺は早くそいつと戦いてぇ!!ずっと戦ってなくてウズウズしてんだよ!」 ホロコースト「落ち着きたまえ。アレの完成までは我等が動く訳にはいかないのは承知だろう? 過去の大戦で強化形態の完成を待たずして事件を起こしたシグマと違って私の気は短くないのだよ」 カタルシス「畜生、もどかしいぜぇ!!」 ホロコースト「だから落ち着きたまえ」 一方エックスが次に向かった先は湖の底にある基地だった。 これまで数多くの挑戦者達がジェノサイダー8の一人が待ち受けるその湖へと向かっていったが 彼等は皆それっきり姿を消していったという。 最初にエックスの目の前に現れたのは巨大なマリモ型のメカニロイド達。 エックスはそれらを難なく撃破しつつ進んでいくと通路を塞ぐように沈没船があった。 先に進むには沈没船の中を通るのが一番の近道のようだ。 沈没船の中には敵が潜んでいた。 今ではジェノサイダー8の支配下に収まったレプリロイド達やメカニロイド達だった。 エックスは彼等も蹴散らして進んでいくと 奥の金銀財宝で溢れかえっている部屋に行き着いた。 部屋にはダイバー型のレプリロイドが待ち構えていた。 ダイバー型レプリロイド「来やがったか、エックス…! この宝は渡さねーし、テメーを『先生』の所にゃ行かせねーよ!!」 エックス「何を言っている!?…まさかお前は…」 ダイバー型レプリロイド「おっと、名乗るのが遅れたな! 俺はキラー10のヘルダイバー!! 俺がジェノサイダー8についている最大の理由は金! 海賊稼業やってた時よりずっと儲かるからなぁ! ケケケケケケケ!!!」 エックス「私利私欲の為にこんな事に加担してるのか!? 何て奴だ!」 ヘルダイバー「何とでも言えばいい、 いずれにせよテメーは邪魔だからそのまま沈めてやるよ!!」 ヘルダイバーは手から貫通力に優れる銛型の弾を連射してきた。 この攻撃はそれなりに威力はあったが 直線的に進むのですぐにエックスは要領を掴み確実に避けられるようになった。 そして避けるついでに反撃していった。 やがて追い詰められ激昂したヘルダイバーは 頭頂部の銛をくらわせるべくエックスに頭から突っ込んできた。 この攻撃の威力は空母を真っ二つにする程である。 しかし今のエックスのノヴァストライクには及ばず この真っ向勝負はエックスの勝利で幕を閉じた。 そしてそのままエックスは向かった。 ヘルダイバーが「先生」と呼んでいた、この地を支配するジェノサイダー8が待つ湖の底深くへ…

第8話「芸術」

沈没船を抜けるとすぐに基地が見えたので、エックスはそこに突入。 基地の中には配下のレプリロイドやメカニロイド達が待ち構えており、 彼等を倒しつつエックスはここのジェノサイダー8を目指して進んで行った。 雑魚達の攻撃をくぐり抜けた先の通路の両脇には奇妙な形のオブジェが並んでいた。 エックス「これは…」 よく見るとそれらはここに挑んできた挑戦者達であり、 苦しみの表情を浮かべながら滑稽な装飾が施されている。 エックス「狂っている…!」 そしてすぐにエックスは最後の部屋に辿り着いた。 そこには先程のオブジェにされた挑戦者達よりも更に強力な挑戦者達のオブジェが並んでいた。 エックス「う…」 倒されたレプリロイド達の面々とかつて彼等だったオブジェの悪趣味さに同時に驚愕するエックス。 すると部屋の壁の排水口からカモノハシのようなレプリロイド… この拠点を支配するジェノサイダー8のスプラッシュ・ダクビルドが現れた。 ダクビルド「ほう、お前がエックスか…なるほど、いい表情をしている…」 エックス「スプラッシュ・ダクビルドだな… 倒した相手を奇妙な置物に改造なんかして一体何のつもりだ!」 ダクビルド「やはりお前も分からぬか、この素晴らしき芸術が… 一応教えてやるが初めに私に向けられた自信や闘争心、憤りなどの感情が 戦いを経て次第に恐怖と絶望に変わっていく様はまさしく芸術的であり、私の創作意欲を掻き立てるのだ。 そうして倒れた者達に私は相応の施しをしているのだよ。 …お前はこれまでで最高の作品になりそうだ」 恍惚とした表情で語るダクビルド。 エックス「そうは行くか! ここで貴様を食い止め死んで辱めを受けた者達の無念を晴らしてやる!!」 最初ダクビルドは強烈な水飛沫を飛ばしてきた。 一発一発の威力も高い上攻撃が矢継ぎ早に放たれるので エックスは何とか応戦し続けた。 双方の体力が削られてくるとダクビルドはエックスの実力を認めたのか部屋を水で満たした。 この状態になったダクビルドは正に水を得た魚であり、 超高速でかつ力強い体当たりを喰らわせてきた。 エックスは大ダメージを受け続け次第に追い詰められていった。 このまま負ける訳には行かないと思ったエックスは 咄嗟に水中という状況からシープロンから得た特殊武器「エレキボディ」を発動し、 突っ込んでくるダクビルドにすれ違い様にぶつけた。 その結果ダクビルドに凄まじいダメージを与える事が出来た。 怒り狂ったダクビルドは再度突っ込むも またしてもエレキボディの返り討ちに遭う。 こうしてエックスはダクビルドをこのパターンにはめ、最終的に勝利を収めた。 エックスは哀れな犠牲者達に黙祷を捧げた後、湖を後にした。

第9話「監獄」

エックスが次に向かったのはレプリロイドの刑務所。 その刑務所がジェノサイダー8に制圧されてからは囚人だったレプリロイドの一部が外に出て一般人に危害を加えている。 彼等もジェノサイダー8と繋がっているようだ。 また刑務所内では何の罪も無く、戦闘力も無い弱者達が連れ攫われては収容され、殺されているという。 しかもそれは刑務所を支配下に置くジェノサイダー8の快楽の為だけに行われているのだ。 さらに彼は刑務所に拠点を置くまでに 標的とした強者はもちろん無抵抗の弱者達をも 言葉に現すにはあまりに残虐な方法で殺してきている、という情報もある。 もちろん彼自身の趣味の為だけに。 こうした情報を事前に得ていたエックスは強い憤りを胸に刑務所に向かった。 刑務所周辺で暴れている元囚人のレプリロイド達はハンター隊員に任せ、エックス自身は早々に刑務所に突入した。 刑務所に入るとそこにいたのは元看守及び元囚人のレプリロイド達で 彼等はエックスを確認するや否や一斉に襲い掛かってきた。 エックスは彼等を難なく撃破していきながら進んでくと途中で大きな牢屋に辿り着いた。 その直後エックスの前にハンマーを持ち鬼のような姿をした大型レプリロイド… この刑務所の元獄長であり今はキラー10の一人であるギガパニッシャーが出現した。 エックス「堕ちたものだな、元獄長! 罪人を罰する立場のお前がこんな無意味な殺人に加担するだなんて…!」 ギガパニッシャー「ここのルールはワシではなくジェノサイダー8が一人、デスゴーテス様だ。 かつてここで最強だったワシがあの方に敗れて以来そうなったのだ。故に今ここで最も力のあるあの方のやり方に従っているまでよ」 エックス「力が全てだとでも言うのか!? そんなのは間違っている!」 ギガパニッシャー「ワシやあの方に異議を唱えるならば、力で何とかしてみるがいい!」 ギガパニッシャーのハンマーは10tもあり、それが勢い良く振り下ろされるのだから 喰らえばかなりのダメージになるだろう。 しかしその分モーションも大きく、 エックスは割と簡単にかわす事が出来た。 そしてその都度反撃していった。 追い詰められたギガパニッシャーは遠心力を付けてハンマーを投げつけてきた。 エックスはそれを避け、ハンマーを拾いに行くギガパニッシャーを攻撃する。 ギガパニッシャーが再度拾ったハンマーを投げてきたので、エックスは同様に対処。 これを何度か繰り返す内にエックスが攻撃を喰らってしまう事も稀にあったが 攻撃を当てる回数はエックスの方が上回り、遂にはギガパニッシャーを撃破した。 戦いに勝ったエックスではあるが、彼は一つの疑念を覚えていた。それは結局自分は力で状況をどうにかしてしまった事である。 やはりどうしようも無い時は力を使うしか無いのか… エックスは心の内でそう考えかけたが ここを支配するジェノサイダー8の残虐性を思い出し、 一刻も早く彼を倒すべく奥へ進んだ。

第10話「外道」

刑務所の奥に突入したエックス。 そこでは拉致された刑務所周辺の住人達の惨殺死体が各々の檻の中に横たわっていた。 エックス「話には聞いていたがここまでとは…」 すると遠くから他の収容者達の凄まじい絶叫が響き渡ってきた。 しかもそれらの声は弱まっては消えていく。 エックス「まずい…!」 エックスは急いで先へ進み出した。 警備が一層厳しくなり、数を増した敵を倒しながら 今尚処刑される人々を救出するエックス。 そうしていると遂に最後の部屋に辿り着いた。 エックスは扉の奥から放たれる禍々しい気配に気圧される事無く部屋に入った。 そこにはボディに骨の装飾があり禍々しい雰囲気を放つヤギのような、そして悪魔のような姿をしたレプリロイド… この地域に君臨するジェノサイダー8のインフェルノ・デスゴーテスがいた。 またこの部屋にはレプリロイドのパーツらしき物体が飾られており、 他には処刑を待つ大勢の収容者を入れた檻があった。 デスゴーテス「待っていましたよ、エックスさん。 よくここまでやって来ましたね。 さて、私は貴方の…そうですね…ヘルメットでも貰いましょうかねぇ」 エックス「何を…そういう事か!」 エックスは部屋に飾られている物体が かつてデスゴーテスの標的にされ、 殺害されたレプリロイド達の成れの果てである事を察した。 顔に特徴のある者は顔のパーツを、手足の場合は手足を、 強力な組織に所属していた者はそのマークのある装甲が飾られている。 それらを除く彼等の体はデスゴーテスの能力によって既に焼き払われてしまっている。 エックス「貴様にやる物など何も無い!! 捕まっている人達の為にも一刻も早く貴様を倒す!」 デスゴーテスはまるで無視するかのように続けて言う。 デスゴーテス「まぁ貴方やこちらの方々(部屋に飾られているパーツの主)のように強くて名のある方は その存在の証をこの世に残して差し上げる価値はあるんですけど、 このような何の価値も無いクズにはその必要性は…ありませんね」 エックス「あ…!!」 それは一瞬の出来事だった。 デスゴーテスが話し終えた刹那檻の中に囚われている人々の体が突如として発火し、跡形も無く燃え尽きてしまった。 エックス「貴様…! …もう何も話す事など無いな。 いくら俺でも貴様のような外道は何のためらいも無く倒せるだろう。 それが…それだけがせめてもの救いだ!!」デスゴーテス「あらら、お怒りのようですね。 そんな顔されるとこっちも熱くなっちゃいますよ。 …さぁ、地獄の業火に焼かれなさい!」 デスゴーテスの炎の能力は狙いを定めた地点に発火させるもの、 すなわち技発動時にその地点から離れればかわす事が出来る。 しかしそのタイミングは非常にシビアである。 この技は精度があまりに高く、その例としてデスゴーテスの標的にされたレプリロイド達は 彼の定めた特定の部位だけきれいに残して焼き払われてしまっているのだ。 それでもエックスの容赦ない攻撃によりデスゴーテスも体力を奪われていった。 するとデスゴーテスは床に火を放ち その火は消えないのでエックスは壁につかまっての戦いを余儀なくされた。 そこでエックスはダクビルドの特殊武器「スプラッシュショットガンを放った。 この武器は強烈な飛沫を放つ水風船を5方向に発射するものであり、不安定な体勢と言えどどれか一つは当たる。 加えて弱点武器でもあった為デスゴーテスにかなりのダメージを与える事が出来た。 とはいえデスゴーテスはすぐに体勢を立て直し 攻撃を再開してくるので厳しい戦いには変わりない。 そんな中エックスは次に多少のダメージを覚悟でエネルギーをチャージしスプラッシュショットガンの溜め撃ちを繰り出す事にした。 これは自分を中心とした巨大な水竜巻を発生させ、その水竜巻を纏った状態で移動が可能となる技である。 エックスはこの技を用いて床の火を消しながらデスゴーテスに迫り、そして水竜巻に巻き込んだ。 デスゴーテスはさらなるダメージを受けながら天井にめり込んで死亡した。 決着はついたもののエックスの怒りはなおも冷めなかった。 同時に彼は目の前で多くの人々を見殺しにした事に対する罪悪感と無力感を覚えていた。 また一つ、エックスの心に大きな傷痕が残った…

第11話「拳法」

エックスが次に向かったジェノサイダー8の拠点は竹林。 そこのジェノサイダー8はイレギュラーだけに狙いを定めて殺すという情報を事前に得ていたエックスは 若干戸惑いを覚えながらも竹林に入っていった。 竹林に入るや否や拳法家風のレプリロイド達がエックスに襲いかかってきたのでエックスはこれを距離を取りつつ撃破していく。 そうして道中を進んでいくと… ???「我が弟子達をいとも容易く葬り去るとは流石だな…」 エックスが後ろからの声に振り向くとそこには拳法家風の外見で顔にお札のような物が張り付いているレプリロイドがいた。 エックス「貴方は…カンフーマスター!」 カンフーマスター「如何にも… そして私はこの地を担うキラー10が一人… 通りたくば参られよ」カンフーマスターは名の知れた拳法家レプリロイドだった。 エックス「まさか貴方とこのような形で戦う事になるなんて…戦う前に一つ確かめたい事があります。 ここの部隊はイレギュラーのみを標的とするはず。 ならば何故ハンターに敵対するのです!? 現に貴方の弟子達も…」 カンフーマスター「問答無用…」 そう言ってカンフーマスターはエックスに挑みかかってきたので エックスは仕方なく応戦する。 カンフーマスターは道中に出てきた彼の弟子達以上の拳法の使い手で接近戦は少々不利。 その為エックスは従来通り距離を置いて戦おうとしたが… 突如カンフーマスターの袖からスルチン(仕込み分銅)や小型の刃、鍵爪等の暗器が飛び出しエックスを襲う。 中・遠距離戦も手間取ると判断したエックスは次に地形を利用する事にした。 すなわちここにふんだんに生えている竹と竹の間を壁蹴りとダッシュジャンプで移動しつつ攻撃するという戦法である。 この戦法は強化されたダッシュジャンプに竹のしなる性質が加わりかなりの効果を生んだ。 エックスは驚異的な機動力で竹から竹に跳び回り、その都度カンフーマスターに攻撃を当てていった。 そしてカンフーマスターの残りの体力が少なくなってきたある時、エックスのバスターがカンフーマスターのお札のような物を打ち砕いた。 カンフーマスター「私と…した事が…こんな物で…奴等にいいように…利用されて…しまうとは… エックスよ…非礼を…詫びよう…」 エックス「正気に…戻った…?」 カンフーマスター「訳を話そう… この拠点の…ジェノサイダー8の…バンブー・パンドロスは… 当初は確かにイレギュラーを専門に狩っていた… だがしかし…この地に拠を構えるようになってからは… 自身がイレギュラーを倒す事に恩を着せて… 周辺の地域に対して 我がままを通し…暴利を貪るようになった…の…だ… それも…一般人がギリギリで黙認、妥協できる範囲でな…」 エックス「そ、そんな…!」 カンフーマスター「そして私は…奴を制止すべく戦いを挑んだのだが…奴の怪力には勝てず… このお札型カートリッジを貼られ… 以来奴の道具に成り下がってしまったのだ… しかしそれもここで終わりだ… 私を止めてくれた事に礼を言おう… そして…私の無念を…晴らして…欲しい…」 エックス「無念…?何を言って…」 エックスが言いかけると同時にカンフーマスターは息絶えた。 お札型カートリッジはカンフーマスターの頭脳の中枢と強く融合しており、確実に彼の体を蝕んでいた。 エックスとの戦いで受けたダメージも相まってお札型カートリッジを無理に破壊されたカンフーマスターは エックスに遺志を託して無念の死を遂げたのであった。 エックス「カンフーマスター…さん… うわあああああああ!!!!!!!待っていろ…待っていろパンドロス!!! 俺が息の根を止めてやる!!」 エックスは悲しみと怒りを胸にパンドロスの下に向かった…

第12話「偽善者」

竹林の後半。 勢い良く生えてくる竹型メカニロイドや突如飛び出す竹の棘の付いたトラップが襲い来る中、 それらを次々と突破しながらエックスはパンドロスを目指して進んでいった。 そしてエックスがある地点に辿り着くと、そこには何体ものレプリロイドが竹で串刺しにされている光景が広がっていた。 その様はドラキュラのモチーフになった人物、ヴラド・ツェペシュの残虐行為を彷彿とさせる。 エックス「今回も酷いな…」 その直後、周囲の竹を凪払い、竹の奥から丸い巨体でパンダのような姿をしたレプリロイドが出現した。 エックス「パンドロス…だな!?」 パンダ型レプリロイド「その通りよ。 エックス、お前が来たと言う事はカンフーマスターの奴はしくじりおったという事だな…?」 エックス「よくも… 貴様の所為でカンフーマスターさんは…!」 パンドロス「戦いに犠牲はつき物よ。奴はワシらの壮大な計画に命を捧げたに過ぎぬわ」 エックス「無理矢理操っておいて何を言う! イレギュラーだけを倒すと聞いていたのにとんだ奴だ!」 パンドロス「フン、ワシと仲間二人は当初この世の悪を根絶やしにすべく各地で奔走しておった。 だがある時それだけでは世界は変わらぬと悟った。 そこでこの偉大なる計画に参加したのよ」 エックス「何だと!?」 パンドロス「貴様はそれを知る必要はない。 何故なら貴様はカンフーマスターの後釜になるのだからなぁ!!」エックス「させるかーっ!!」 エックスは怒りのノヴァストライクをパンドロスにぶつけようとしたが… ジェノサイダー8で最もパワーのあるパンドロスはノヴァストライクを片手で封じてしまった。 そしてそのままエックスにお札カートリッジを貼り付けようとしてきた。 このままではまずいと判断したエックスは咄嗟にデスゴーテスの特殊武器「インフェルノフレイム」を放った。 するとパンドロスは勢いよく燃え上がり、大ダメージを受けてエックスを手放した。 大ダメージを受けたパンドロスだったがすぐさま体勢を立て直し、 今度は地面から竹を生やす技「バンブーゲイズ」を繰り出し再度インフェルノフレイムを放とうとするエックスにダメージを与える。 が、この時エックスは予備動作を見極めた。 それからしばらくは両者が互いに攻撃のタイミングを計る持久戦にもつれ込んだ。 パンドロスはエックスが竹から竹へ飛び移ろうとすると 腕を勢いよく振り払い 竹をまとめてなぎ倒し、 インフェルノフレイムを放とうとすると バンブーゲイズを繰り出したり 体を転がして体当たりを喰らわせて来る。 しかしパンドロスの攻撃はどちらかと言えば力押しで 巧みさや正確性でエックスに若干劣り、 だんだんと流れがエックスに傾いていき… 最終的にこの戦いはエックスの勝利に終わった。 エックス「カンフーマスターさん…敵は討ちました… どうか安らかに…お眠り下さい…」 エックスは帰還した。 これでジェノサイダー8の実に半分が倒された事になった。

第13話「時間稼ぎ」

エックスによってジェノサイダー8の半分が撃破された。 これを受けジェノサイダー8の残りの4人が緊急会議を開いた。 虫型レプリロイド「おいおいおいおい早過ぎだろ!! 俺達ジェノサイダー8がもう半分もやられちまうなんてよぉ!!」 首の長いレプリロイド「くううう…! エックスめ、よくもパンドロスを…!」 小柄なレプリロイド「エックスの野郎、絶対に許さないぜ!!」 小鳥型レプリロイド「しかしこのままだと例の計画に間に合わねーぞ…」 虫型レプリロイド「それだけはあってはならねー! 過去の連中と同じ失敗を繰り返す事になっちまうからよぉ!! こうなったら…奴を罠にはめて時間稼ぎだ! 方法はだな…」 それから数時間後、ジェノサイダー8がハンターベースに通信を入れた。 虫型レプリロイド「よぉエックス!! ジェノサイダー8を4人も倒しちまうなんてやるじゃねーか! そんなテメーの実力を見込んで特別に俺達のアジトに招待してやらあ! 今から場所を教えっからそこに来な! 待ってるぜ〜!!」 シグナス「これは罠かもしれんぞ…」 エックス「それでも、俺は行く… そこに何かが起こっている可能性があるなら…」 エイリア「そうね、確かにこのポイントからはイレギュラー反応は検出されているし 今残っているジェノサイダー8の部隊も大人しくなっているみたい。 行ってみる価値は十分にあるわ」 シグナス「罠でないならジェノサイダー8の4人がそこに待ち受けている事になるぞ。 出撃する際は慎重に行きたまえ」 エックス「了解。行って真相を確かめてやる!」 しばらくしてエックスは準備を整えた後、出撃した。 向かった先は格闘技場の跡地だった。 エックス「特に何も見当たらないな… しかしどこかに入り口があるかもしれない…」 エックスは場内の至る所を調べ始めた。 そしてリング上に上がった時… 突如リングの四方が高圧電流に覆われた。 同時にリングの中央の床が開いて下の床がせり上がり、 巨大なレプリロイドが出現した。 巨大レプリロイド「ガーハッハッハッハッ!!! 罠にはまったな!! 俺はキラー10最強のヘビーナックラー! テメーがのこのこやって来るのを待ってたぜ!!」 エックス「く…やはり罠か…!」 ヘビーナックラー「負けはしたが今までより強い奴等と思いっ切り戦えるようになったんであの人達には感謝してんだよ。 それはともかく、最高の死合をおっ始めようぜ!!」 エックス「こんな所で足止めを食らっている場合じゃない…行くぞ!」 かくして高圧電流のリングの上での戦いが始まった。 ヘビーナックラーはボクサーレプリロイドで パンチ攻撃が主流だがそれらのパンチは竜巻を伴うアッパー、爆風を伴うフック、 炎を伴うストレートといった特殊なものである。 しかも巨体故リーチも長く、一瞬で間合いを詰める技術も持ち合わせている。 エックスはこうしたパンチを避けつつバスターで応戦するが 時折攻撃を喰らう事もあり、特にストレートを喰らうと高圧電流が流れる場所まで吹っ飛ばされ二重のダメージを受けてしまう。 そうして戦っているエックスだったが 戦っている最中にある事に気付いた。 それは両者のあまりの身長差の為ヘビーナックラーがエックスにパンチを繰り出す際姿勢がかなり前のめりになる事であった。 これに気付いたエックスはヘビーナックラーがパンチを繰り出す時にバンブーゲイズやライジングファイア、昇竜拳などの 上方を攻撃する技で対応した。 間合いを開けられてかわされる事もあったが程なくしてエックスはヘビーナックラーを撃破した。 エックス「これで残るはジェノサイダー8の残り半分の部隊か… 気を引き締めて行くぞ!」 エックスがヘビーナックラーを倒してしばらく経った時の事… ジェノサイダー8はホロコーストらのいる「本当のアジト」に集結していた。 ホロコースト「今し方ヘビーナックラーがやられたようだ…」 虫型レプリロイド「うお!もうですか!?早過ぎでしょそれは!」 ホロコースト「案ずるな。 例の件は十分進行している。 今ので十分時間は稼げた。 そういう訳で君達は持ち場に戻りたまえ」 ジェノサイダー8残り4人「ハハッ!!」 彼等は従来の管轄地に戻り活動を再開した。 これよりエックス対ジェノサイダー8の後半戦が始まるのだが、 その後に本当の地獄が待ち受けている事をエックスはまだ知る由も無かった… 第14話「狙撃対決」 いよいよエックス対ジェノサイダー8戦も後半戦に突入した。 まずエックスが出撃した先は広大な草原だった。 そこは一面が視界を遮る背の高い草で覆われており、 起伏に富んだ地形ではないものの決して油断ならない。 そのような状況の中、道中の至る所に地雷やセンサー式トラップ、獣型メカニロイドなどが配置されているのだ。 注意力、集中力をフルに稼働させそれらを一つ一つ突破していくエックス。 するとある地点で一瞬だけ強い殺気を感じたので エックスは咄嗟に横に飛び跳ねた。 それとほぼ同時につい先程までエックスがいた場所に数発の弾が着弾した。 エックス「誰だ!?」 エックスが弾の放たれた方向を睨むとかなり遠くに 頭部と両腕、胴体に大砲の着いた迷彩柄のレプリロイドの姿が見えた。 迷彩柄のレプリロイド「今のを避けるとは流石だねぇ。俺はグレートスナイパー。 ここのキラー10だ。さて、早速だがお前には消えて貰おう。 主人からの依頼なんでねぇ」 エックス「消えるのはお前と…その主人の方だ!」 グレートスナイパー「おーおっかない。 だけど俺の攻撃はかわせるかな?」 そう言ってグレートスナイパーは瞬時に茂みの中に身を隠した。 しばらくするとエックスは背中に被弾した。グレートスナイパーが影に隠れて狙い撃ちしたのだ。 それからしばらくこうした事態が続いたが エックスはやがて弾道を見極め ダッシュで弾を潜りグレートスナイパーの元に到達した。 エックスはすかさずチャージショットを喰らわせようとしたがグレートスナイパーは後方に大ジャンプしてこれを避けてしまった。 彼は接近戦が苦手である事を自分で理解しており、 近づかれた時の対処法も備えていたのだった。 だがそれはエックスも同じ事。 彼もまた遠距離戦の方を得意としている為、 この戦いは自然に互いを遠くから狙い撃つ流れになった。 グレートスナイパーの攻撃の正確さは驚異的ではあったが 自身の装甲はそれほど厚くなく、 チャージショットを当てる度にかなりのダメージを与えられた。 いよいよグレートスナイパーの残り体力が少なくなってくると 彼は次に胴体の砲門から砲撃してきた。 この砲撃の威力はそれなりに高く1発目はエックスに当てる事が出来た。 しかしその後2発目を放とうとした時、 攻撃がエックスのチャージショットで相殺され そのチャージショットはそのままグレートスナイパーの元に到達した。 これによってグレートスナイパーは大破。 エックスは彼の主人、もといこの地を占拠するジェノサイダー8の元を目指して先へと進んだ。

第15話「怨恨」

グレートスナイパーを撃破し草原の更に奥深くへと潜入したエックス。 そこでは今までより一層見えにくい仕掛けや敵がエックスの行く手を阻む。 それらは例えばそこら中に仕掛けられた落とし穴、強力な虎ばさみ、葉で覆われたメカニロイド、 ゲリラ戦を得意とする兵士風のレプリロイド等であった。 エックスはそうした敵や仕掛けを次々と対処していくと 途中で何かが草の中から飛び出ているのを見つけた。 その正体はここに生育している背の高い草を 遥かに高い所から見下ろす事の出来る 長身で尚且つ首の長いレプリロイドだった。 キリンのような姿をした彼こそがここのジェノサイダー8ガトリング・キリニクスであった。 程なくしてエックスはキリニクスの元に辿り着き、彼と対峙した。 キリニクス「君がエックスかい。 待っていたよ…パンドロスの仇を討つ時をね!」 エックス「俺が倒したジェノサイダー8はパンドロスだけではない。 まさかお前はパンドロスが言っていた奴の仲間の一人か!?」 キリニクス「その通り。 私とパンドロス、それからフロッガーと言うメンバーはかつて この世の悪を倒す為賞金稼ぎをしていたんだ。 我々3人がこのままでは切りがないと思い始めていた時 我々の実力が認められてこの活動に参加したんだけど 君に邪魔されパンドロスも失った。 我々の理想の為、パンドロスの仇を討つ為、速やかに君を処理する!!」 エックス「(く…またか… 俺が敵を倒す事で誰かが傷ついてしまう…!) 確かに俺はパンドロスを倒した。 それは奴が、お前達がイレギュラーで俺がハンターだからだ。 そして今ハンターでお前達と戦えるのは俺しかいない… 俺がやるしかないんだ!!」 キリニクスは体の各部のハッチを開け、中から出てきたマシンガンを一斉に連射してきた。 この攻撃は攻撃範囲が広くて連射速度も速く、 避けるのは至難の業である。 それに加えて一発一発の威力もそれなりにあるときている。 通常の敵なら一瞬にして穴だらけになり、その直後跡形も無く消し飛ぶところをエックスは果敢に応戦した。 それでもこちらが動き回りながら攻撃するのに対し相手がほぼ動かず余裕の体勢で攻撃を続けるのは芳しい状況とは言えない。 何とかして相手の体勢を突き崩す方法は無いかと考えたエックスは パンドロスの特殊武器「バンブーゲイズ」を放ってみた。 すると死角である足元からの攻撃を喰らったキリニクスはバランスを崩し弾の軌道が大幅にそれた。 そこをエックスがノヴァストライクを喰らわせてダウンさせた。 しかし以降はキリニクスも動き回るようになり、 弾もより強力なものを使用し始めたので戦いは一層激化。 さらにキリニクスは体力が少なくなってくると巨大でゆっくりと迫ってくるエネルギー弾を放ってきた。 弾丸の雨と同時にじりじりと迫ってくるエネルギー弾。 しかしこの時エックスは武器のエネルギーをチャージしていた。 そしてバンブーゲイズのチャージショットを放った。 これは巨大な一本の竹槍を地中より発生させる技である。 竹槍はキリニクスのボディを貫き天高くまで突き上げた。 キリニクスは苦痛と怨みの表情を残したまま息絶えた。 エックス「これは初めてではない… 何度も何度もあった事だ… なのに…やっぱり… 辛いものは辛いよ…」 自分が倒したイレギュラーに近しい者が自分を怨み、 そうした者が仇を討たんと自分に戦いを挑んでくる。 これまでエックスが幾度となく通った道だ。 エックスはその都度やるせない想いに苛まれ、今回も然りである。 同時に彼は確信していた。 パンドロスとキリニクスの仲間だったフロッガーなるジェノサイダー8から更なる怨みが己に向けられる事を。 その事を考えながらエックスは串刺しになったキリニクスを背に草原を後にした。

第16話「副番」

エックスが次に向かった拠点はスラム街。 そこは治安面において不透明であり、あらゆる犯罪がまかり通る暗黒地帯であった。 エックスが街に入るや否や凶暴なチンピラレプリロイドや カラス型、猫型、ネズミ型、ゴキブリ型といったメカニロイド達が襲いかかってきた。 彼等の攻撃は凶暴極まりなかったがエックスは問題なく対処。 ある地点まで進むとエックスの前方の壁に突如環状の切れ込みが入り、直後壁が奥の方から音を立てて砕け散った。 そして中から巨大な鎖鎌を持った不良風のレプリロイドが現れた。 不良風レプリロイド「サブヘッド…参上」 不良風レプリロイドはサブヘッドと名乗った。 サブヘッド「俺はキラー10の一人にしてここの副番を張っているサブヘッドっつうもんだ。 俺らのシマに単身で殴り込みとかいい度胸してんじゃねーか… だけど副番の面子にかけて番長の所にゃ行かせねーぜ! かかって来いやオラァ!!」 エックス「道を開けろ… 俺はお前達の番長…もといジェノサイダー8に用がある…」 戦闘が始まるとサブヘッドは早速鎖鎌を勢い良く振り回してきた。この鎖鎌の鎖は鎌と対になる部分に巨大なトゲ付き鉄球が繋がれていた。 サブヘッドがこうした鎖鎌を高速で振り回す事によって鉄球は壁や地面に縦横無尽に跳ね返り、 鎌自体は攻撃と防御の両方の役割を担う。 この状態でサブヘッドは壁を背にしたエックスにじりじりと迫っていく。 そしていよいよ鎌が当たる所までサブヘッドが近づいてきた時… エックスは唐突に鎖を掴み、その状態でダッシュした! その結果、サブヘッドはそれまで鎖鎌を振り回していた勢いも相まって 壁に激しく衝突したのであった。 だがしばらくしてサブヘッドは根性で立ち上がった。 より強い殺気をこちらに向けている。 が、何故かエックスはそんなサブヘッドを背にこの場を去り始めた。 その直後、鎖鎌の鉄球がサブヘッドの頭上に落下してきた。 実はサブヘッドが壁にぶつかった時、鉄球はかなり高い位置まで到達した後、落下し始めていた。 そして鉄球が落下している最中、エックスはバスターで鉄球の落ちる軌道をサブヘッドの頭上へと変えていたのだった。 サブヘッドは自らの武器に押し潰されて死亡した。 エックスはそのままサブヘッドらの「番長」であるジェノサイダー8の下へと進んだ。 そしてこのジェノサイダー8こそ パンドロスとキリニクスの仲間のレプリロイド、ポイズナス・フロッガーなのである。

第17話「番長」

サブヘッドを撃破し、スラム街の更に奥深くに突入したエックスにはより激しい攻撃が待ち構えていた。 道中のチンピラレプリロイド達は徒等を組んで出現する事が多くなり、 使う武器も強力かつ凶悪なものになっていった。 エックスは彼等を片っ端から倒しながら進んでいくと やがて四方を建物に囲まれた広場に辿り着いた。 エックス「!?」 上空から強烈な殺意と視線を感じたエックスだったが その矢先に何かが壁から壁へ飛び移りながら降りてきた。 その正体は小柄なカエルの姿をしたレプリロイドだった。 カエル型レプリロイド「おう、待ってたぜ。テメーがエックスか… 俺はここの番を張るポイズナス・フロッガー。 早速だがテメーにゃ深い恨みがあってよ… テメーが殺したパンドロスとキリニクス… そいつ等は俺にとって義兄弟…いや、俺とそいつ等は3人で1つと言うべき存在だった… 俺からその2人を奪いやがったテメーだきゃ許しちゃおけねぇなぁ!」 フロッガーの口調からは深い悲しみと激しい怒りが現れていた。 対してこれを覚悟していたエックスは冷静に返す。 エックス「弁解するつもりはないが、 お前達はお前が今感じている想いをより多くの人達にさせている事だけは言っておこう。 俺はハンターとしてそんなお前達を倒す、それだけだ!!」 フロッガー「ケッ、上等じゃねーか。 これ以上言葉はいらねぇ… タイマンだ、かかって来い!!」 モチーフにふさわしくフロッガーは驚異的なジャンプ力の持ち主だった。 壁から壁へ高速で飛び移りエックスを翻弄させる。 そしてある時フロッガーはエックスの間近に迫るや否や口から毒ガスを吐き出してきた。 これを喰らったエックスは苦しみを覚えると共に動きが鈍くなった。 そしてその隙を付きフロッガーは体当たりや舌でエックスを攻撃し始めたが エックスはすぐに回復し距離を取った。 エックスの毒の効果が切れるまでの時間は他のレプリロイドより遥かに早く フロッガーはこれに若干驚いたもののすぐさま戦闘体勢を整えた。 それからしばらく両者は壁から壁へ飛び移りながら互いに隙を見つけては攻撃を繰り出続けた。 フロッガーは毒を吐き出す寸前に息を吸い込むような予備動作があり、 エックスはそこを狙って攻撃するのだが 通常攻撃ではフロッガーは攻撃に耐え切るので毒を吐くのを食い止められない。 ならヒット数の多い攻撃を、と考えたエックスは キリニクスの特殊武器「ガトリングマシンガン」を使用した。 その結果攻撃が多段ヒットし、 フロッガーの毒を吐く技を途中でキャンセルさせた上に大ダメージも与えるに至った。 だがよりにもよって盟友の特殊武器で攻撃されたフロッガーは激昂し、 戦いは一層激しいものになった。 そしてある時の事… フロッガーは舌でエックスを巻き取り そのまま引き寄せて至近距離から毒を放とうとしてきた。 が、この時エックスは既に武器エネルギーをチャージしており ガトリングマシンガンのチャージ攻撃を繰り出した。 これは何体もの攻撃支援メカを呼び出し それらと共に一斉に射撃する技である。 フロッガーの周囲にそれらが出現し、直後彼は体中を一斉に撃ち抜かれて死亡した。 エックス「悪人退治ごっこの続きは3人仲良く地獄でやるんだな。 そこには悪人などいくらでもいるだろう…」 そう言い残し、エックスは帰還した。 ちなみに今まで通りスラム街の住人達は世界政府の指示の下、 世界政府総本部を擁する都市に避難し、そこに匿われた。

第18話「侵攻阻止」

エックスが次に戦う事になるジェノサイダー8の部隊は巨大な空中戦艦で移動しながら 至る所で侵略行為を展開している。 この空中戦艦には何機もの戦闘機が護衛についており、 エックスはまずこれらの戦闘機を足場にして 空中戦艦を目指す事にした。 戦闘機から戦闘機に飛び移り、 周辺の戦闘機を撃墜していると 途中から戦闘機とそのパイロットを合わせたような 飛行タイプのレプリロイドが多数出現し、 エックスを攻撃しだした。 エックスは彼等を軽く撃破しながら進んで行き、 やがて空中戦艦が近くに見える所にまで来た。 そんな時上空に今まで倒した飛行タイプのレプリロイドの上級版と思しきレプリロイドが現れた。 飛行タイプのレプリロイド「あーあー、やっぱコピーじゃこんなもんかぁ」 エックス「コピーだと!?」 飛行タイプのレプリロイド「あ、俺はキラー10のバッドバーディー。 今まで出てきた奴らは俺を元に作られたってワケさ」 エックス「そうか、俺はこれからこの戦艦に突入する。 邪魔をするなら相手になるぞ!」 バッドバーディー「テメーの話は聞いてるけどよ、 地の利はこっちにあんだよ。 面倒な仕事はさっさと片付けてもっぺんサボるとすっぜ!」 バッドバーディーは空中戦を得意とし、 高速連射可能なマシンガンと追尾性の高いミサイルを備えていた。 しかしエックスにとって大した敵ではなかった。 何故ならバッドバーディーのマシンガンは連射性能は高いものの一発一発の威力は控えめであり 今のエックスにはほとんどダメージを与えられず、 ミサイルも空中で撃ち落とされてしまうからだ。 加えて空中を飛び回りながら攻撃するバッドバーディーに対して エックスは無駄な動きをせず正確に攻撃を当てる事が可能で その都度大ダメージを与えていった。 そしてある時エックスのバスターがバッドバーディーの翼を破壊し、 それによりバッドバーディーは墜落して死亡した。 エックスは改めて眼前の空中戦艦を睨んだ。 そこには最後から2番目のジェノサイダー8が待ち構えているのだ…

第19話「旋風」

エックスはジェノサイダー8の空中戦艦に突入した。 中には敵兵やメカニロイドが待ち構えていたが エックスの敵ではなく次々と撃破されていった。 程なくしてエックスは奥の指令室にたどり着いた。 そこにも雑魚しかいなかったのでエックスはあっけなく制圧。 …とその時。 突如としてエックスの足元の床がせり上がり甲板まで押し上げた。 エックスの視界には再び大空が広がる。 しかしこの時エックスには大空の中に黒い点のような物が見えていた。 エックス「…!来るぞ!」 エックスが警戒すると同時に遥か遠くに浮かぶ点に見えていた物は凄まじい速度でエックスに迫っていき、 エックスの近くで留まった。 その正体は雀のような姿をしたレプリロイドで特筆すべ体は小さな体だった。 その小ささは今までのジェノサイダー8で一番小さく、エックスよりも明らかに小さかった。 エックス「お前がこの部隊を率いるジェノサイダー8、サイクロン・スパロイド…なのか!?」 雀型レプリロイド「ああ、そーだ。 っつーか何だ今の『間』はよ!? テメーも俺がチビだからって馬鹿にしやがったな! カーッ、トサカに来たぜ!!」 エックス「俺は何も言ってないぞ…」 スパロイド「ケッ、そうやって調子こいてんのも今の内だ! テメーも今までの奴らみてーに八つ裂きにしてくれるぜぇーっ!!」 スパロイドはジェノサイダー8最速のスピードを誇るレプリロイド。 足場となる空中戦艦はバッドバーディー戦の時に足場にした戦闘機よりも遥かに大きかったが スパロイドがバッドバーディーとは比べ物にならない速さで飛び回る為攻撃のチャンスは少なかった。 またスパロイドは腕を振りその風圧より生じる衝撃波を飛ばす事が可能で しかもこれを高速連発してくる。 その切れ味は半端でなく喰らえば大ダメージは免れない。 敵の機動力を何とか削ごうと考えたエックスは フロッガーの特殊武器「ポイズンスモッグ」をスパロイドにすれ違いざまに喰らわせた。 するとスパロイドは甲板の上に落下して苦しみ悶えたので エックスはそこに追撃した。 しかしスパロイドを地に叩き落とした事が彼の逆鱗に触れた。 元よりスパロイドは自身の背の低さにコンプレックスを抱いており それ故空中に留まる事で 相手より目線の高い位地をキープしていた。それが今地べたに降ろされたどころか 地に伏せる体勢を取らされ 目線の高さを直立状態よりもさらに低い位地にまで下げられた為 彼の怒りは頂点に達した。 そして痺れの効果が切れ体勢を立て直したスパロイドは後ろ向きに飛行して遠ざかったかと思うと エックス目掛けて超高速の体当たりを繰り出してきた。 これに対してエックスはノヴァストライクで迎え撃った。 空中で激しい衝撃音が響き渡った。 そしてその刹那、スパロイドがパワー負けして体が砕け散り大爆発を起こした。 エックス「これで…あと一人!」 エックスはジェノサイダー8との戦いを終わらせるべく改めて気を引き締めた。 スパロイドの部隊によって壊滅させられた地域で辛くも生き延びた住民は 従来通り世界政府の指示に従って避難させられた。

第20話「処刑番組」

エックスが今回向かったのはテレビ局。 そこを占拠するジェノサイダー8は自分に勝負を挑んで来る者を返り討ちにして殺す様子を バラエティー番組風に中継している。 エックス「こんな事を面白おかしく盛り立てようだなんて、ふざけてる!」 エックスの行く手には突撃取材の如く押し寄せる敵兵達や 戦闘用に改造されたカメラが待ち構えていた。 が、やはりエックスの敵でなく瞬く間に撃破されていく。 程なくしてエックスが辿り着いたのは大きなスタジオのような場所だった。 エックスがそこに着いた直後突然エックスの目の前の床の数ヶ所からスモークが噴き出し、 同時に床の中から背中にパラボラ砲を付けた奇っ怪な姿をしたレプリロイドが出現した。 最後のキラー10、パラボラスである。 パラボラス「よくここまでやってきただな… おめさ倒じで他の部隊の皆の仇、取ってやるだ! そしてこの番組さ今までで一番盛り上げてやるだよ!」 エックス「自分達が何をやってきたのか、分からないのか!? この番組もお前達の計画もここで終わらせてやる!!」 パラボラスの攻撃は破壊音波を主体としたもの。 威力はそれなりに高く、レプリロイドの心身を破壊する効果がある。 しかしそれ以外の能力はキラー10の中でもそれ程高くなく、 それを部屋中に設置された様々な仕掛けで補っている。 これらはスモーク、爆薬、レーザー砲などでエックスの手を多少ではあるが煩わせた。 そこでエックスは注意力をフル稼働させ これらのトラップを一つ一つ破壊していった。 結果トラップが壊される度に 戦闘が楽になっていき、 最終的にパラボラスはあっけなく撃破された。 そしてエックスは向かう。 最後のジェノサイダー8の下へ… エックス「待っていろ… 今度こそ、全てを終わらせてやる…!」

第二十一話「第21話「ジェノサイダー8最終戦」 」

エックスは最後のジェノサイダー8を目指して進む。 彼は建物の最上階にいるというので 上へ上へと進んで行ったが 階が上がるにつれて攻撃は激しくなっていった。 それらを潜り抜けエックスはついに最上階に突入した。 そこは静かで暗い部屋だったが エックスは部屋に潜む禍々しい気配を確かに感じ取っていた。 すると部屋に音楽が鳴り響き、 派手な演出と共に冒頭でジェノサイダー8を仕切っていた虫、 もといセミのようなレプリロイドが出現した。 セミ型レプリロイド「ヘェ〜イ、よくここまで辿り着いたなぁ!! 俺は最後のジェノサイダー8、ラウディ・セミノイドだぜぇ〜い!!」 エックス「そうだ、貴様で最後だ。 貴様を倒して平和を取り戻す!!」 セミノイド「OKOK、威勢がいいねぇ! そうでなくちゃあつまんねえ!! テメーは俺らの内7人を倒した男、 そんなテメーを倒して俺の名をもっとビッグにしてやらあ!! ってなワケで〜、ファイナルバトル、スタートォーーーッッ!!!」 口やかましい能書きを終え、セミノイドは勝負を挑んできた。 セミノイドの技はやはり破壊音波を放つものだったが 威力はパラボラスの比ではなかった。 喰らえば肉体・精神共に大きなダメージを受けるし、喰らった瞬間隙が出来る。 隙が出来れば追撃されてしまう。 しかもこの音波は壁に反響する性質を持ち、セミノイドはそれを一度に様々な方向に向けて発射してくるので 何発分もの破壊音波が部屋中を縦横無尽に飛び交っては跳ね返る。 しかもセミノイド自身は音波を喰らってもダメージ無しどころか受けた音波を増幅させて放って来る。 こうした状況で音が空気の振動である事を思い出したエックスは真空波を発射するスパロイドの特殊武器 「ロットスラッシャー」をセミノイドに放った。 結果真空波が音波を切り裂きセミノイドに斬撃ダメージを与えた。 大ダメージを受けたセミノイド。 次に彼は手をドリルに変形させてそれをエックスに突き立ててきた。 ロットスラッシャーを喰らわせても根性で耐えてドリルを突き立てて来るので エックスは一気に勝負を付けるべくノヴァストライクを繰り出した。 だがしかしセミノイドはノヴァストライクで吹っ飛ばされながらも尚エックスにしがみついて放さない。 セミノイドはそのまま背面から壁に激突し、 壁にめり込み始めた。 エックスのノヴァストライクの勢いは未だおさまらず、 壁を壊つつセミノイドごと突っ込んでいった。 そしてセミノイドも何が何でもドリルをエックスのボディに突き立てる。 熾烈な根比べの末、セミノイドが先に力尽きた。 この時エックスは確信した。 ジェノサイダー8の全滅を。 事件の解決を。

第22話「黒幕」

セミノイド「バカな…!バカな…!! 俺達が…ジェノサイダー8が全滅させられるとは…!! ホ、ホロコースト様ぁぁぁあーっ!!!!!」 エックス「ホロ…コースト?」 セミノイドが最期に残した言葉に疑問を抱きつつもエックスはハンターベースに帰還した。 シグナス「今回はゼロがいない分苦しい戦いだったな。 今はゆっくりと休むがいい」 エイリア「やったわねエックス!」 ダグラス「お前ならやってくれると信じてたぜ!」 エックス「いや…一つ気掛かりがあるんだ。 先程倒したセミノイドは死ぬ間際に『ホロコースト様』なる言葉を残した。 それに、パンドロスも裏に計画があるような事をほのめかしていた事を思い出した。 つまり、この事件には何か裏があるような気がするんだ…」 シグナス「そうか、気を緩めるのはまだ早い、という事だな… む、世界政府から通信が入ったぞ」 モニターには世界政府の首脳陣が映し出された。 ハンターはジェノサイダー8討伐戦の際彼等としばしば連絡を取り合っており、 ここまでは今までと同じだった。 しかし… 世界政府総統「流石はエックス… まさかジェノサイダー8を全員倒してしまうとは… 今私は君に対して計画を妨害された事による苛立ちと 君自身への興味を同時に感じているよ」 世界政府幹部1「奴等はよくやってくれた。おかげで邪魔者がかなり消えたからな」 世界政府幹部2「オメージェノサイダー8を倒すとか腕が立つじゃねーか! ならとっとと俺と戦いやがれ! その実力見せてみろぉ!!」 エックス「な、何を言っているのです!?」 エックスが動揺しているとモニターの画面と音声がノイズで乱れ出し、 次の瞬間ホロコースト、カタルシス、デストロイの映像と音声に切り替わった! エックス「誰だお前達は!?」 ホロコースト「正真正銘の政府首脳陣だよ。 今までは仮の姿で失礼したね。 私の本当の名は…ホロコースト」 デストロイ「同じくデストロイ」 カタルシス「俺はカタルシスだぜぇ! 」 エックス「ホロコーストだと!? お前が…セミノイドの言っていたホロコーストなのか!? ならばジェノサイダー8を操っていたのも…」 ホロコースト「お察しの通り。ジェノサイダー8は我々ルーラー3の手駒に過ぎなかったのだよ」 デストロイ「我々の都合のいいように動いてくれたという点では 貴様等ハンターも一般人共も同様なのだがな」 エイリア「何て事…!」 シグナス「何故我々や民間人を騙しこのような行為に及んだのか答えて貰おうか」 ホロコースト「それはだ、この世界から争いを無くす為だよ」 エックス「自分から事件を起こしておいて 何が争いを無くす、だ! ふざけるな!!」 ホロコースト「下らない争いを無くす為には必要な過程だよ。 我々は気付いていた… いや、他の多くの者も薄々気付いてはいたのだろう。 争いの無い世界の実現に必要なのは絶対的支配、即ち独裁という事に!」 エックス「そんな筈は無い! 俺は認めないぞ!!」 ホロコースト「君がこれまで倒してきた敵も 自分の考えを持ち、自分の力を信じて戦いを挑んできた者も多かったであろう。 その結果力のぶつかり合いが生じて事態を悪化させたではないか。 まぁ、君達ハンターや今までの大戦を起こしたイレギュラー共のおかげで我々の計画は着実に進んだのだがね」 エックス「何だと!?」 ホロコースト「計画は第一次シグマ大戦の時から始まっていたのだよ。 君達も関わった数々の大戦による混乱に乗じて 私が世論を操作し、同時に大戦に関する情報を収集する事も…」 デストロイ「私が諸国の軍隊を傘下に収める事も…」 カタルシス「俺が裏の奴等をまとめ上げる事も…」 ホロコースト「そして我々が何者にも勝る戦闘力を獲得する事も、時間は掛かりこそしたがスムーズに遂行出来たよ。 シグナス「秘密裏にこのような事をしていたとは…!」 ホロコースト「しかし…我々が絶対的支配者になるには自分達が強くなるだけでは足りない。 周りを弱くする必要もあったのだよ」 エックス「その為にジェノサイダー8を使って 力のある者を排除したというのか!?」 ホロコースト「いかにも。 考えてもみたまえ。 純粋な力は勿論の事、信念、知性、才能、権力、財力… 争いを起こすのはいつだってそうした要素を持つ者ばかりだった。こうした強者共を排除し、 残った弱者共を我々の管理下に置く事で下らない争いは無くなる、という事だ。 大戦時にもしばしば強者共を消してきたが 今回ジェノサイダー8をけしかけたのはその総仕上げなのだよ」 デストロイ「かつてジェノサイダー8が占拠していた地域では 今は私が派遣した部下共が新たな都市開発を進めている。 我々の体制の下秩序ある世界が始まるのだ」カタルシス「凡人の奴等は俺達が公式の立場の者だからよ、 文句の一つも言えねーんだぜ。 仮に俺達がイレギュラーだとしても 立ち向かう力と頭と度胸がある奴なんざもういねーがな!」 ホロコースト「…というわけだ。 後は君達次第だよ。 エックスよ…我々に立ち向かうつもりはあるかね? 我々ルーラー3の戦闘力は言わずもがなジェノサイダー8の比ではないぞ。 奴等は我々の力に従っていたに過ぎんのだ。 ハンターよ、君達より立場が上の我々に刃向かうつもりはあるかね? そうすればイレギュラーは君達の方だ。 ではハンター諸君、返答を待っているよ」 デストロイ「素直に従うのならば歓迎しよう。 エックスは我が軍につけばジェノサイダー8以上の戦力になりうるからな」 カタルシス「刃向かうなら刃向かうで構わねーぜ!! こちとらずっと暴れてなくて欲求不満なんでよぉ!!」 通信はここで切れた。 シグナス「全ては…政府の陰謀だったのか…」 ベース内はしばし沈黙が支配した。 しかしその時… エックス「行かせてくれ…」 シグナス「エックス…」 エックス「自分から事件を起こしておいて、 自分達の勝手な都合で他者を弄んでおいて… 何の為の政府だ! 何の為の政治だ!! ジェノサイダー8を倒したって元凶である奴等を倒さなければ何の意味もないじゃないか! かつての上官と何度も戦ってきた身、 今更政府の者と戦う事は何も怖くない! だから頼む、出撃命令を出してくれ」 シグナス「…」 しばし沈黙するシグナスだったが決断すると同時に答えた。 シグナス「…よく言ってくれた! 上の立場の者にただ黙って従うだけでは 我々レプリロイドが心を持って生まれた意味が無いからな。 加えて暴君はいつでも倒されてきた。 故に私がお前でも同じ考えを持つであろう。 お前の力にすがるしかない我々を許してくれ。 こちらこそ頼んだぞ」エックス「ああ…!」 ダグラス「行く前にこれを持って行ってくれ。 俺だってお前がジェノサイダー8と戦ってる間にお祈りしていた訳じゃねーんだぜ!」 ダグラスがエックスに差し出したのは 今回の戦いのデータを元に製作していた強化アイテムの数々だった。 これらは序盤でエックスが装備した強化アイテムの強化版で 万一の事態に備えて開発されたばかりの代物である。 つい先程まではとうとう日の目を見る事はなかったと思われていたらしい。 エックス「有り難く貰っておくよ、ダグラス」 エイリア「本当に出ているわね、世界政府総本部から極めて強力な反応が3つも…! エックス、くれぐれも無茶はしないでね。 あなただけが頼りなんだから」 エックス「分かっているよ。 …それでは俺は行ってくる。 今度こそ本当に全てを終わらせる為に!!」 そしてエックスは真の敵が待つ世界政府総本部へと出撃した。 そこに今まで経験した事の無い恐怖と絶望が待ち受けている事を、この時彼は知る由もなかった…

第23話「暴力」

エックスは世界政府総本部に突入した。 突入するや否や彼は強大で禍々しい3つの気配を感じ取った。 最初にエックスの前に立ちはだかったのは柄の悪いレプリロイド達だった。 彼等はカタルシスの傘下に収まっていた悪党共で、 政府と裏で繋がっており 秘密裏に様々な悪事に手を染めてきた。 当然血の気の多い者が多く その凶暴性を露わにしてエックスに襲い掛かる彼等であったが所詮ザコはザコ。 あっけなくエックスに蹴散らされてしまった。 エックス「こんな輩と繋がっているだなんて、どこまで腐っているんだ!」 やがてエックスは大きなシャッターの前に辿り着いた。 エックス「この向こうにいるな、奴等の一人が…!」 シャッターの奥からの殺気に若干圧されつつもエックスは開いたシャッターをくぐる。 シャッターの向こう側は天井、壁、床が必要以上に頑丈そうな大部屋だった。 エックス「!」 エックスが何かを感じ咄嗟に横に飛び跳ねると それまで彼がいた場所に大きな裂け目が生じた。 直後エックスが上に目をやると天井近くの壁に薙刀を構えた状態で張り付いているカタルシスがいた。 カタルシス「ゲヒャーヒャッヒャッヒャッ!!やっぱり来やがったな、そう来ると思ってたぜ!」 エックス「お前等には失望した… 共に人々を守る為に、平和の為に歩んで来たと信じていたのに…!」 カタルシス「偉いだけじゃなぁ、駄目なんだよ」 エックス「何だと!?」 カタルシス「権力だけ持っていてもテメーみてーに逆らう奴は逆らうし 状況次第じゃそんな「力」糞の役にも立たねーだろうが。 だけどよ、この体を手にして以来今まで楯突く奴等も簡単に媚びへつらうようになったし どんな状況下でも簡単にくたばる事はなくなった。最後に物を言うのは純粋な強さなのさ」 エックス「途中で会ったヤクザみたいな連中も貴様がそうやって手懐けた、という事か!」 カタルシス「その通り。奴等単純だからよ、あっさり従いやがった! …ともあれ腕に覚えがある奴を自分の力でブチのめすのは権力を振りかざすよりもよっぽど充実したものだった。 けどこの作戦は慎重さを要する為俺の出番が中々回ってこなくてよ…ずっとイラついてたんだ。 そこでテメーがジェノサイダー8倒したっつー事でやっと俺にも出番が回ってきたって訳だ! 久々に思いっきり暴れるぜぇ!!!!」 エックス「力に溺れた外道め!貴様は今までのイレギュラーと何も変わらない! そして俺は…そんな力には屈しない!!!」 カタルシスの攻撃は凶暴そのものだった。 彼の繰り出す攻撃は薙刀を振るい斬撃波を飛ばしたり、あらゆる格闘技の技を使ったり、 牙や爪を武器として使ってきたりするものだったが攻撃の感覚が極めて短かった。 巨体にも関わらず壁から壁へ高速で跳ね回りつつ攻撃もするカタルシスにエックスは若干翻弄された。 そして防御力が上がったにも関わらずその攻撃を喰らえば結構なダメージを受ける。 この凶暴性を何とかしようと考えたエックスはシープロンの特殊武器「エレキボディ」のチャージ攻撃を放った。 これは敵に眠気を誘発し、かつ体力も徐々に奪うウィルスを広範囲に放つ技である。 結果カタルシスの攻撃はやや鈍ったがそれでも十分激しさを残したままだった。 対してエックスは次にフロッガーの特殊武器「ポイズンスモッグ」のチャージ攻撃を放った。 これは痺れ効果があり敵の体力も徐々に奪う毒ガスを床に噴射するものでノーマル攻撃よりも威力、範囲共に優れる。 カタルシスの攻撃はさらに鈍り、エックスは本格的に反撃を開始する。 それは本当に地道な作業だった。 2つの特殊武器を併用しつつチャージショットやノヴァストライクも使用するエックスではあったが 相手は耐久力もかなりのもので中々勝負はつかない。 やがてついにカタルシスが倒れた頃、エックスのボディも傷だらけになっていた。 エックスは体力の回復を待ち、その後でさらに奥へと進んだ…

第24話「兵力」

カタルシスとの死闘によるダメージから回復したエックスは さらに奥へと進み出した。 そんな彼を次に待ち受けていたのは 様々な兵器で武装した大規模な軍隊だった。 エックス「これは…レプリフォースのマーク!?」 彼等は世界各地の軍隊を寄せ集めた集団で、 解体したレプリフォースの残党もその中にいた。 エックスは辛い過去を思い出しながらも敵兵を倒しつつ進んで行く。 この敵部隊は圧倒的な火力の兵器はもちろん 巧みな戦術も自慢だったのだが 雑兵は例によってエックスの敵でなく 次から次へとエックスに倒されていった。 しばらくしてエックスは一際大きなシャッターの前に辿り着く。 そしてカタルシス戦の直前と同様の凄まじい重圧を全身に感じながらもその向こうへと進んだ。 シャッターの先には先程カタルシスと戦った部屋以上に広大な空間が広がっていた。 同時にエックスは前方に巨大なレプリロイドの脚と思しき物を確認したので 見上げて見るとそこにはデストロイが佇んでおり、エックスを見下ろしていた。 巨大で至る所を重厚な兵器で武装したデストロイの全身を初めて目の当たりにしたエックスは 一瞬圧倒されたがすぐに持ち直した。 エックス「デストロイ…か!」 デストロイ「うむ。 時にエックスよ、ジェノサイダー8にカタルシス、 そして世界中の軍隊さえも倒す実力、実に見事であるぞ」 エックス「世界中の軍隊だと!? 道理で色々な国の軍隊が出てきた訳だな」 デストロイ「左様。 昔から国家間の戦争というものは 各々の国が所有する軍隊同士が衝突する事で成り立っていた。 ならばそれらの軍隊を一つにまとめれば皆戦う相手がいなくなる… というのが我々の作戦の一環だった。 今し方貴様が倒した兵共は 地方に飛ばしている下っ端共よりも遥かに強大な兵力を有していた。 それだけの力がある貴様が我々の軍に加われば 今まで以上の兵力になるのだが… その目をみる限りその意志は無いようだな」 エックス「当たり前だ! お前達はジェノサイダー8の事件の時その軍隊を使って何をしていた!? 必死で対応していると見せかけて、実際にやっていたのは自作自演じゃないか! 俺はお前達の協力に誠心誠意応えようと戦って来たのに… 信頼していたのに… よくも騙してくれたな!! これ以上お前達の好きにはさせないぞ!!」 デストロイ「我々の計画の意義はそうやって楯突く者を排除する事にあるのだ。 この体こそ我が軍の兵力の集大成! その身でしかと思い知るがいい!」 デストロイは全身を覆う砲身から一斉に砲撃を開始した。 それらの攻撃は威力、精度、連射速度のいずれにおいても それまでの敵を大きく凌駕しエックスを大いに苦しめた。 またそれだけでなく背中のロケットブースターを利用した体当たりの威力も強烈極まりなかった。 せめてこの厚い弾幕を何とかしようと考えたエックスは 各砲身に狙いを定めデスゴーテスのインフェルノフレイムと プラズマチャージショットで反撃した。 結果プラズマの追加ダメージと炎の誘爆によって砲身が壊れていき、 弾幕も薄くなっていった。 しかしだからといって戦いが楽になっていくわけではなかった。 デストロイは兵器の扱いや戦術にも長け、 砲身が壊されれば壊されるほど 手を変え品を変え攻撃パターンを複雑にしていった。 それでもエックスは懸命に応戦し、 砲身を一つ一つ確実に潰していった。 やがてデストロイのボディの砲身は全て破壊された。 …今まで使われていなかった胸部の大砲を除いて。 追い詰められたデストロイはエネルギーをチャージしたかと思うと 胸部から超極太のレーザーを放ってきた。 エックスは咄嗟に回避。 すかさずデストロイの胸部に攻撃を加える。 しかしすぐにエネルギーのチャージが完了し次の砲撃が放たれ今度はエックスは喰らってしまう。 このレーザーはかのギガ粒子砲「エニグマ」をも上回る破壊力だったが パワーアップで何とスペースコロニー「ユーラシア」よりも頑丈になっていたエックスは何とか耐えきった。 しかし何発も喰らう訳にはいかない事も悟り、 必死でデストロイの胸部を攻撃するエックス。 そしてデストロイの胸部の大砲の損傷が目に見えて明らかになってきた時… デストロイは再度エネルギーをチャージし始めた。 対してエックスはデストロイの胸部にプラズマチャージショットを繰り出す。 プラズマチャージショットのプラズマが大砲を更に破壊していく中、 エックスはそこにノヴァストライクで突っ込んだ。 レーザーが放たれる直前にエックスの体が大砲を破壊していき、 そしてデストロイのボディを突き抜けた。 デストロイは大爆発して死亡した。 今回も心身共に苦しい長期戦であった。 エックス「待っていろホロコースト… 次はお前だ!」

第25話「権力」

デストロイを撃破したエックスはダメージが回復した後最後のルーラー3、ホロコーストの下を目指して前進する。 そして当然の如く敵の軍勢が出現し彼の前に立ちはだかる。 彼等は政界の中心を担う権力者達であり、レプリロイドもいれば人間もいた。 この中でレプリロイドはボディを戦闘用に改造しただけであったが 人間の場合ある者は戦闘メカに搭乗し、ある者はパワードスーツを身に纏っていた。 この為エックスがレプリロイドと思ったのがパワードスーツを纏った人間だったり 大型メカニロイドだと思ったのが人間が操縦する戦闘メカだったりする場合があり、 そうした敵を倒すと中から黒こげの人間の死体が出てくるのである。 その度にエックスはより強い怒りと悲しみを覚えていった。 また道中の至る所には大きな部屋があり、各部屋でジェノサイダー8のコピーが出現したが エックスは各々の弱点を突いて難なく対処。 やがてエックスは荘厳な雰囲気の漂う通路に辿り着いた。 エックス「くぅ…! 覚悟は決めた筈なのに、これ程とは…!!」 ルーラー3の他の2人をも凌ぐ強大で禍々しい気配にエックスは戦慄する。 エックス「それでも、行かなければいけないんだ! 未来の為に、平和の為に…!!」 そしてエックスは全てを終わらせるべく目の前の巨大な扉を開けた。 扉の向こうは暗く大きな部屋でその奥にはこの事件の全ての元凶であるホロコーストが 不気味で邪悪なオーラを発しつつ待ち構えていた。 エックス「遂に会えたなホロコースト…お前の野望を阻止しに来た!」 ホロコースト「待っていたよエックス… ジェノサイダー8に加えあの2人まで倒してしまうとは君の実力は流石だよ。 ところでエックス、君は戦いが嫌いなんだってねぇ。 今まで散々辛い想いをしてきた事だろう。 でも君が戦う事はこれからはもう無くなるんだよ?」 エックス「当たり前だ!何故なら俺はこの場でお前を倒すからだ!」 ホロコースト「おや、平和を望む割りには随分と破壊的な発想だね。 私は何もいきなり君と戦うつもりは無いんだ。 むしろ一つ提案があるのだが… 君、本当は戦いの運命から解放されたくはないのかね? 望みもしない戦いを押し付けられ数え切れない同胞を葬ってきた 君の悩みや悲しみ、葛藤は想像に難しくないよ」 エックス「………」 ホロコースト「そこで、だ。 君がそんな苦しみから解放される手段の一つとして… 私の仲間にならないかね?」 エックス「…正気か!?」 ホロコースト「勿論さ。やはり君の力が惜しくなってね、最後のチャンスを与える事にしたのだよ。 考えても見たまえ、今この星には 世界をどうこう出来る力と精神を兼ね備えているのは君と私しかいないのだよ。 戦いを起こすような連中は君達や過去のイレギュラー共、 そして我々の手によって死に絶えた。 今残っているのは非力で無知で臆病な輩だけだ。 今地方にいる我が軍の兵士達は上からの命令に従う事しか知らないメカニロイドと差して変わらない存在、 君を戦地に送り込んだ指揮官共は戦力として見れば虫けら同然… 君に対して牙を剥く事など出来はしないさ。 そんな中この世界で最後に残った『強者』である君と私が組めば 今までのような下らない戦いなど確実に無くなるよ。 君が私に付くなら君に専用の領土や法律に干渉する権限などを与えよう。 戦場から離れた地でふんぞり返って君に戦いを押し付けている ハンターの指揮官共は君が飼うなり処分するなり好きにすればいい。 今ここでわざわざ君が嫌っている戦いをするよりも 私と手を結ぶ方がよっぽど有意義だと思うが如何かな? 君と私で新しい世界を始めようではないか」 エックス「…断る!!!何が飼うだ!何が処分するだ! 確かに戦いは嫌いだが今回出撃したのは俺の意志によるものでシグナスはそんな俺の意志を尊重してくれた! 彼だけではない! エイリア、ダグラス、そしてライフセイバー達… 彼等の助力がなかったら俺はここまで来れなかった! 戦う『力』が無くても彼等は大事な仲間だ! 彼等の為にも俺は必ずここでお前を食い止める!!」 ホロコースト「つまり身内が大事だから、 そして私が君にとって気に食わない存在だから 力で排除する、と? 邪魔者を力ずくで排除しようとする点では君も私も似たもの同士だと思うのだが…?」 エックス「違う!そんな筈は無い! 力だけで全てを支配する事など俺は望んでいない! 強者が弱者をただ力任せにどうにかする事が平和なものか! お前達は…間違っている!!」 ホロコースト「感心すると同時に呆れるよ。 そんな甘い幻想を捨てきれないなんてね… せっかく君の為を思ってわざわざ話し合いで解決してあげようとしたのに それが叶わないのが実に残念だ… では君が戦いから解放されるもう一つの方法を教えよう。 それはここで私に排除されて死ぬ事だよ!」 こうして世界に残った最後の強者同士の死闘が始まった。 最初ホロコーストはボディの各パーツを変形させ、 それに伴い今までエックスが戦ってきた敵達の技を繰り出してきた。 エックスはそれぞれの技への対策を知っていた為 相応の対処をしたがホロコーストが放つ技の威力は オリジナルのそれを遥かに超えておりエックスに大ダメージを与えていった。 それでもエックスは果敢に立ち向かってくるので 次にホロコーストは謎のオーラを身にまとった。 このオーラは攻防一体で弾状にして飛ばす事や 腕先に集中させて剣状にして対象を斬る事、 バリア状にして攻撃を防ぐ事などが可能である。 これに対しエックスはノヴァストライク、波動拳、昇竜拳などといった強大なエネルギーの攻撃で迎え撃つも 相手の攻撃力と防御力はあまりに高く自身は大ダメージを受け続ける一方で 相手には攻撃を防がれてしまう。 防御力がかなり強化されたはずのアルティメットアーマーとその下の本体が 見る見るうちにボロボロになっていく。 それでもエックスは倒れなかった。 何度傷つけられようとも何度でも立ち上がって向かっていく。 ホロコーストは気付き始めていた。 エックスが勝ち続けてきたのは元々の力や強化改造によるものだけでなく その強い想いからである事に。 今は眠るゼロ、現在のハンターの仲間達、 今まで倒れていった仲間達、今まで自分が手にかけた敵達、 そして人間とレプリロイドが共存するような平和への想いが 彼の体を突き動かし、攻撃の威力を上乗せしていく。 だがそれはホロコーストも同じ事。 彼の底無しとも言える支配欲が彼自身の攻撃力に反映されるが如く 攻撃の威力が上がっていく。 こうして両者の戦いは次第に苛烈さを増していった。 そしてある時の事… エックスのノヴァストライクとホロコーストのオーラを纏ったタックルが激しく正面衝突した。 結果ホロコーストが力尽き、エックスはそれを見届ける。 これでこの戦いが今度こそ終結する事を、エックスは切望した… …そして…

第26話「最強」

エックス「ハァ…ハァ…」 ホロコースト「ぐ…くく…まさか…私までやられるとは… だが…これで終わりではないぞ… 我々は…我々の支配をより磐石にする為…そして…『次の計画』の為に… 最終兵器を…開発して…いたのだよ… 私の命令で…それは…起動する… 残念だった…ね…束の間の…勝利で… …行け、ストロンゲスト!エックスを…始末せよ…!」 そう言い残してホロコーストは爆発した。 その直後基地内は静まり返ったがしばらくすると地下深くから振動音がすると共に床が揺れ始めた。 同時に様々な機械が作動する音や警報が響き渡り始める。 エックス「何かが…来るな…」 エックスが警戒していると揺れは一層激しくなり、その次の瞬間下から突き上げてくる「何か」によって 基地全体が音を立てて崩壊した。 今の今まで激しい戦いに耐え続けたこの基地が一瞬で崩壊するのだから、 その衝撃力はそれ程凄まじいものである。 崩壊に巻き込まれたエックスは無事脱出が成功していたのだが、視界を基地を壊した「何か」に遮られていた。 状況を確認する為その場から遠ざかったエックスの目に映っていたのは途方もなく巨大な人型兵器だった。 その名もストロンゲスト。 ジェノサイダー8が事件を起こす前から開発が進められていたが 巨大すぎて開発に時間がかかり、エックスとジェノサイダー8が戦っている当時では未完成だった。 ジェノサイダー8が半分撃破されるのが予想外に早かった為 ホロコースト率いる政府はかつてのシグマ第2形態が複数回に渡って未完成のまま戦う羽目になったという失敗と 同じ道を辿らないように大急ぎで完成させた。 それでも強力すぎる為地下深くに格納されていたのだが ホロコーストが撃破された今、その禁断の封印が解かれる… ストロンゲスト「オマエ…テキ…タオス…」 エックス「何というデカさだ!! こんな物まで用意していたとは… ホロコーストの忘れ形見め、差し違えても始末してやる!!」 最強の名に相応しくストロンゲストの能力値はパワー、スピード、防御力、装備の破壊力、攻撃範囲の何れにおいても桁外れに高かった。 パンチや踏みつけ、飛行しながらの体当たり、手からの火炎、冷気、雷の放射、肩からのミサイルはどれも強力な攻撃ばかりだったが 特に胸部からのレーザー砲の威力が凄まじくさらにそれはチャージ時間がデストロイの主砲よりも短いという始末である。 こうした強烈極まりない攻撃の数々は辺り一辺を瞬時に焦土と化してしまい、 当然そこの住人やジェノサイダー8に追われて避難してきた難民達も塵となって死亡した。 エックスは一瞬唖然とし、直後かつてない怒りと悲しみを覚えたがそんな暇もない。 彼とてストロンゲストの攻撃をまともにくらえば大ダメージは免れない。 守ろうとした力無き者達を一瞬の内に葬り去られた事による精神的ダージに加え ストロンゲスト自身の攻撃による肉体的ダメージも積み重っていったエックスだったが彼はただ茫然自失としていたわけではなかった。 その闘志はホロコースト戦にも増して依然高ぶり、尚且つこの手の敵に共通する弱点であろう目に的を絞って攻撃をし続けた。 1発攻撃を食らうごとにエックスの体は限りなく死に近づいていったが それでもエックスはただひたすらストロンゲストの目を攻撃し続けた。 そしてある時… そんなエックスの願いが通じたのか… 遂にストロンゲストは煙を噴き、膝を着いた…

第27話「最悪」

エックス「やったか!?」 その時、どこからか声がする。 ???「やはり君は強い。ストロンゲスト『だけ』では勝てなかったみたいだね」 何とそこには首だけになって宙に浮いているホロコーストがいた! エックス「ホロコースト!!生きていたのか!?」 ホロコースト「支配者たる者が死ぬ訳にはいかないだろう。 そしてもう一つ、ストロンゲストを開発した本当の目的…それはこの私を更に強化させる事だったのだよ。 さあ、ストロンゲスト。私と一つになるのだ。 その力、今こそ私に提供してくれたまえ」 ストロンゲスト「オオセノママニ…」 言い終わるや否やホロコーストの頭部はストロンゲストに吸収されるように取り込まれた。 直後ストロンゲストの姿形が変貌していく。 只でさえ巨大な体はより巨大になり、翼は2枚から6枚になり、 側頭部には大きな角が生え、ボディカラーはホロコーストと同様に黒を基調としたものに変わった。 ホロコースト「これが私とストロンゲストが一体化した姿、ワーストだ。 私をこの姿にさせた黄身の実力は認めよう。そしてそれに相応しい死に場所を与えよう…」 そう言ってワーストは次に自身の周囲に特殊なエネルギーのフィールドを展開し、 エックスがいる位置まで広げるとエックスごと空へと上昇していった。 両者はどこまでも天高く上昇していき、遂には宇宙空間に到達した。 エックス「感じる…巨大な悪を…だが負けるわけには行かない!!」 ストロンゲストとホロコーストが一体化したワースト。 「それ」は正しく全ての悪やレプリロイドを超越した存在だった。 ストロンゲストの力とホロコーストの知性や技術が合わさっただけでなく能力値も大幅に向上している。 その攻撃力は他の全てを粉砕し防御力は他の全ての攻撃を無効にする。 エックスは今まで以上の力を振り絞ったもののワーストには全く攻撃が効かない。 とうとうサブタンクと特殊武器のエネルギーが尽きた。 エックス「何て奴だ…!」 ワースト「今度はこちらから行くぞ。死ね!」 ワーストは強大な負のエネルギー波をエックスに放ってきた。 エックス「ぐあああああああああ!!!!!!すまない…皆…俺は…ここ…まde…da…」 エックスはバラバラに消し飛んでしまった… ワースト「これで地球は支配できた!だがまだだ!今度は宇宙を支配してやる!! 既に知的生命体が存在する惑星はいくつか確認済み… さて、近い星から侵略していくか…」 ホロコーストの次の計画とは地球外までもを支配することだったのだ。 その支配欲は本当に底無しである。 地球の、未来への希望は本当に絶たれてしまったのか…!?

第28話「復活」

その頃地球では… 先程のワーストの攻撃でバラバラに吹き飛んだエックスだったがまだ完全に死んではおらず、ぎりぎりで生きていた。 しかし最早ほとんど死に体で今正にその命が尽きようとした時… エックスの前に一人の老人の幻が出現した。 そう、戦いの度にエックスにパワーアップパーツを授けてきたDr.ライトの映像である。 Dr.ライト「エックスよ… 今回ばかりは敵があまりにも強い。強すぎる… そこで今回は強力過ぎて使用を控えてきたこの力を授けよう。 かつての戦いで授けたハイパーチップ… その技術をアルティメットアーマーに応用したアルティメットチップじゃ。 この力を正しく使って世界に平和をもたらしておくれ。 頼んだぞ、エックスよ…」 そう言い残したDr.ライトの映像が消えると共にエックスの体が眩しい光に包まれた。 その光はエックスに吸収されるように収まっていった。 光が収まりきるとそこにはダメージが完全に回復し、ハイパーチップを装着した時のような 黄金色に輝くアルティメットアーマーを身に纏ったエックスが姿を表した。 エックス「ありがとう…ございます…」 この時、エックスは今までとは比較にならない程の強大な力を得た事を全身で感じ取った。 そして… エックス「おおおおおおおお!!!!!!」 エックスは今度は自分の力で宇宙へと、飛び立った。 そのスピードは正に驚異でワーストの下に到達するまでそれ程時間が掛からなかった。 しばらくして両者は再度、合間見えた。 エックス「ホロコースト!!もといワースト!! 今度こそ決着を…付ける!!」 ワースト「…本当にしつこいねえ君も。 だけど無駄だよ。 何度来ようともその度にこの私が闇に葬ってあげよう…」

第29話(最終回)「真の支配者」

宇宙の命運をも掛けた壮絶な戦いが始まった。 両者共あまりに高速で動き回り、かつあまりに強大なエネルギーをぶつけ合う為 並の者が見れば爆発があちこちで起こっているようにしか見えなかっただろう。 この熾烈な戦いは際限なく続くかのように思えたが、ある時転機が訪れた。 エックスのノヴァストライクがワーストの腹部を貫通し、穴を開けた。 ワースト「がほっ!?己…!!」 エックスはすかさずワーストの穴の開いた部分目掛けてプラズマチャージショットを超高速連射で放ち始めた。 ワースト「ぬおおおおおおお!!!調子に乗るなあぁぁあ!!! 我が最強の技、受けて見よ!!!!」 そう言ってワーストは胸部と両腕から放たれるそれぞれの負のエネルギー波を 一つに合体させ、より巨大なものにして撃ち出してきた。 これに対してエックスはより強大なエネルギー波を無意識に放ってワーストのエネルギー波に真正面からぶつけた。 それはあらゆる悪を滅殺する「正のエネルギー波」と言うべきものだった。 そしてそれはワーストの技を打ち負かし、ワーストを飲み込んで破壊していき、 遂にはその内部に接続されているホロコーストの頭部に達した。 ワーストは大爆発を起こして崩壊し始めた。 ワースト「私の…負け…だ… 君こそが…真の…『支配者』だ…」 エックス「俺はお前らとは違う!! 『支配者』なんかにはならない!!俺は…!」 ワースト「まだ…そんな…愚かな…事を… 絶対的な…『統治』があれば… 君が…あれほど忌み嫌っている…下らない争いが…無くなると…いう…の…に…」 エックス「黙れ!!黙れぇぇぇえ!!!!」 ワースト「君もその内気付くだろう…それまで…地獄で見ているぞ… さら…ば…だ…」 ワーストは、ホロコーストは今度こそ完全に消滅した。 エックス「長かった…」 戦いを終えたエックスは地球へと帰還し、 ストロンゲストと激闘を繰り広げた世界政府総本部跡地に降り立った。 そして焦土と化した景色を目の当たりにして改めて愕然とする。 そこにはエックスしかいなかった。 かつてそこに世界の政治の中枢を担う大都市があったとは、 今のその光景を見た者は誰も信じないだろう。 エックスは暫し立ち尽くした後、アーマーを解除して歩き始めた。、と同時に今回の事件を振り返ってみる。 ジェノサイダー8によって世界中の「力」のある者達が殺された。 しかもそれは腐り果てた政府が裏で糸を引いていたものだった。 そんな腐り果てた、自分の意に反した政府は自分の手で壊滅させた。 だがこの後のストロンゲストとの戦いで街が消し飛び数え切れない程の罪無き人々が死んだ。 どこまで歩いても荒野が広がっている。 悲しみ、怒り、絶望、悩み、虚しさなどが入り混じった強烈な感情にただただ打ちひしがれるエックス。 「下らない争いを無くすには自らが支配者になるしかないのか?」 そんな考えが一瞬エックスの脳裏によぎった。 エックス「違う!違う…!!」 やがてエックスはベースに帰還して、休んだ。 その後もエックスはこの戦いの事を引きずり続けた。 世界各地で活動していた政府軍の兵士達はというと、 事実を知るや否やあっさりとエックスに従ったという。 こうしてエックスは自らの力を自覚していき、周囲もエックスを頼り始めて従い始め… エックスがネオ・アルカディアを健造し、「支配者」になったのはこの暫く後の事だった… ジェノサイダー8編・完
ELITE HUNTER ZERO