晴嵐華さんよりロックマンX小説8
「心優しい悪魔と狂気の天使」
「・・・・・・。」
暗い建物の中を無言で歩く、少女レプリロイド、そう、ミラージュである。
カツッカツッカツッ。
「何の様?シグマ、あなたの心臓でもある私を外に出すなんて珍しいじゃない。」
「今回は貴様に世話を頼みたい奴が居る、繊細はお前のメモリーに入れてある。・・・。」
「分かったわ、やり方は私の好きにさせてもらうから。」
シュウウ・・・ガチャン。
無表情で言葉に感情を込めずに言うと、フードを被り、
顔を隠したシグマがミラージュに命令をすると、すばやく部屋を出る。
「・・・世話を頼みたい奴・・・・まともな奴じゃないわね。」
今までの命令が酷かったので溜息を付き、メモリーの中のデーターの場所に向かう。
「此処ね・・・レプリロイド生産工場・・・こんな所に何の用かしら・・・。」
データーの中の建物に付き、辺りを見回すが人影は無く、建物の中に入る。
「フゥ、・・・シグマの奴・・・何も無いじゃない・・・どう言うつもり・・・!」
フゥ、と息を吐き、瓦礫に座ると、何かを発見し、大急ぎで走る。
「これは・・・・・天使?」
コポコポコポ・・・。
あるレプリロイドの入っているケースを見て、驚きの声を上げる。
「いや・・・違う、これはレプリロイド・・・でも・・・何て綺麗な金色の髪・・・。」
冷静に物事を理解し、ケースに入っているレプリロイドを見つめる。
「・・・・だ・・・・れ・・・・?」
「!・・・あなた・・・喋れるの・・・・?」
「・・・シグマ・・の手下・・・・?」
「・・・・ええ、そう、だけどあなたに危害を加える気は無いわ。」
ミラージュがレプリロイドを見つめていると、いきなりそのレプリロイドが目を開き、言葉を発する。
「・・・あなたはどうして此処に居るの?」
「・・シグマに・・・作られたから・・・・。」
「・・・そうなの・・・そこから出られる?」
「其処の機械を操作して・・・そうすれば出られる・・・。」
「コレ?ええ、分かったわ。」
そのレプリロイドの緑と青のオッドアイの瞳の美しさに魅了されながらも、質問をし続け、機械を操作し、ケースを開く。
カタカタカタ・・・ピー・・・ロック解除します。
ガチャンッ!
「・・・気分はどう?」
「・・・良くは無い。」
「そう、なら私について来て、えーと・・・名前・・・何て言うの?」
「名前・・・って何・・・?」
「え・・・名前の事も知らないの・・・・。」
名前さえも知らないレプリロイドに頭を抱える。
「ん〜名前って言うのはその人の存在を表す物よ。」
「・・なら、僕は存在していないの?」
「そうじゃないけど・・・あ!なら私が名前を付けて上げる、それが良いわ!」
「僕の・・・名前?」
「うん!あなたの名前!」
うつろな目で見上げてくるレプリロイドを見て、ミラージュが笑顔で、言う。
「うーん・・・何て付けよう・・・コードナンバーってある?」
「コードナンバー・・・・存在しない・・。」
「うーん困ったわねー・・・・そうだ。」
必死にレプリロイドの名前を考えていると、突然メモリーにある言葉が入ってくる。
「あなたの名前は・・・。」
「名前は・・・・?」
「レノン!よく分からないけど・・・あなたにピッタリな名前でしょう??」
笑顔でレプリロイドに・・・いや・・・「レノン」にそう声を掛ける、
「レノン・・・それが僕の名前?」
「そう、さあレノン、こんな所に居ないで、速く行きましょう。」
「出会い」
「ねぇレノン、たまには何処かに行かない??」
ミラージュがハンターベースの機械をハッキングしているレノンに話しかける。
「まあ良いけどさ、何処に行くんだ??」
「本当!?じゃあ行きましょう!!」
「え!おいコラ!!ひっぱんな!俺の美しい金髪を!!」
「♪」
ハッキングが終わったらしく、ミラージュの方を向き、解答をすると、ミラージュが目を輝かせ、レノンを引っ張っていく。
「じゃあレノン!これ着てね!」
「んあ?何だコリャ?」
「良いから良いから!絶対着てよね!」
「え、おいミラージュ!!」
レノンに何かを渡すと、ミラージュが部屋を出て行き、複雑な顔をしたレノンが残される。
「レノン?もう良い??」
しばらくするとミラージュがレノンの居る部屋を訪ねる。
「ああ。」
「レノンど・・・・うわぁ、レノン格好いい!似合ってるよ!!」
「あ・・・ありがとう、えーとその・・・お前も可愛い・・・。」
「本当??ありがと!」
照れながらも、ミラージュを褒めると、笑顔でミラージュがその場をクルリ、と回る。
「じゃあ行きましょうか!」
「え、何処に?」
「デートに決まってるでしょ!ホラ、行こう!」
「デ・・・デート・・・。」
笑顔でレノンの手を掴むと、天然ボケを見せるレノン、おとなしくミラージュにひきづられて行く。
「へー・・・此処が・・・人間の町かぁ・・・。」
「うん、レノンは来るの初めてだよね??」
「ああ!ありがとうミラージュ!!」
「どういたしまして、あっちょっと待ってて。」
レノンがキョロキョロしていると、ミラージュが何かを思い出し、何処かへ走り去る。
「何やってんだろ?」
「情人?甜的??、恋人達の甘い時間を過ごしているかね?少年よ。」
「うわっ!何だよあんた!!」
「これは失礼、ワタシの名前は趙 英鴻、以後ヨロシク少年よ、可以的少年」
「・・・何か俺訳の分からない奴にからまれちゃったなー・・。」
「失礼な!ワタシの何処が訳の分からない奴だ!!」
レノンが項垂れていると、後ろから中国系のレプリロイドが出てきて、名を名乗る。
「んで、あんたは何者だよ?」
胡散臭そうに趙 英鴻を見る。
「胡散臭そうな目をワタシに向けるな、フフフ・・・少年よ・・・特別にワタシの中国琵琶の音色を聞かせてあげよう!」
「断る、俺知らねーし。」
「これは貴重なんだぞ!それにワタシの様に完璧に弾きこなせる奴はそうは居ない・・・。」
「フーン、えいっ。」
そうすると趙 英鴻が琵琶を出し、レノンに聞かせようとするが、呆れ顔で琵琶を壊す。
「あーっ!何て事をする少年!これは貴重な物なんだぞ!・・・偽者だけど。」
「偽者ならゴチャゴチャ言ってんじゃねぇよ!」
「良し!気に入った今日から少年はワタシの部下になりなさい!」
「ハァ!?ふざけんなよこんの中国狂い野郎が!!」
壊されてショックの顔を見せる趙 英鴻だが、すぐに服の中から本物を出す、そして何故かレノンをスカウトする。
「少年よ!大志を抱け!!抱着少年夜大志!」
「誰が抱くか!!それと肩を抱くな!」
「ワタシと一緒に天下を掴もうでは無いか少年よ。」
「少年じゃねーっつうの!俺の名前はレノン!!」
ウガー!と叫ぶが、もう手遅れ、趙 英鴻のペースにどんどん載せられ、おちょくられていく。
「と、言うのがワタシとレノンの出会いである。」
「・・・・何でこんな奴と会っちまったんだろ・・。」
「へ〜そうなんだ!すごいね〜お兄ちゃん。」
「・・・・ある意味ソニアが羨ましい・・・。」
過去の話を楽しそうにする趙 英鴻とは正反対に負のオーラー全開のレノン。
「フフフ〜ソニアちゃんは見る目がありますな〜、よろしい!」
「そう??ありがとう〜vソニア嬉しい!」
「・・・・勝手にやってくれ。」
趙 英鴻とソニアが楽しそうに会話をすると、レノンがソファに寝転がり寝始めると、趙
英鴻とソニアがコッソリ外に出る。
「ねぇ、趙 英鴻さん、ソニアに何か様??」
「うん、それはね・・・。」
首をかしげるソニアに笑顔で語りかける、趙 英鴻。
「ソニアちゃんは見る目があるから、ワタシのお嫁さんにしてあげるよ〜v」
「え?本当??うん!良いよvソニアも趙 英鴻さんのお嫁さんになるよ〜v」
ニコニコ顔で手をつなぎ、ハンターベース内を歩いていく、ソニアと趙 英鴻、
ゼロとカーネルの鉄拳をくらうまで・・・後10秒。
「肩車」
「なあカーネル。」
射撃訓練所で伯父(笑)のカーネルに話しかけるレノン。
「何だ?レノン。」
いちおうカーネルは剣術が主な攻撃パターンなので訓練をせず、レノンの事を見ていて、すぐさま反応する。
「何かこのごろ俺さ、カーネルの事伯父って言うよりも兄って言う感じに感じるんだよな。」
「フフ、兄か・・・それも良いな。」
「何―か俺の伯父のイメージってもっと歳を取った様な感じなんだよなー。」
カーネルに伯父よりも兄に感じる、とレノンが言うとカーネルがクスクス笑う。
「レプリロイドは歳をとらないからな、アーマーを交換しない限り。」
「そうそう、だからあんま年齢は変わらないんだよな。」
晴嵐華の予想ではカーネルは25歳くらいでレノンが14歳くらいの設定年齢。
「あ、でもソニアと遊んでいるのを見ると爺ちゃんって感じがするんだよな。」
「じ・・爺ちゃん?」
「うん、爺ちゃん、だってさ、ソニアの事を可愛がってるのを見ると、孫を可愛がる爺ちゃんみたいなんだよな。」
正直にカーネルの様子を述べる。
「まあ可愛いには変わりないがな、アイリス似の緑の瞳に愛くるしい笑顔、何処をとっても完璧だからな。」
「うわ、こう言うの何て言うんだっけ?孫は目の中に入れても痛くないだっけ?」
「ああ、古い言葉を知ってるな。」
どんどんソニア自慢をしていくカーネルをツッコム。
「英鴻に教えてもらった、カーネルにはこの言葉が合ってるってな。」
「・・・的を射ている。」
「だろ?あいつこういう事に関しては鋭いから。」
ニヤリ、とレノンが微笑むと、カーネルが苦笑を浮かべる。
「でもさ、こうして居る時間は俺好きだよ、シグマの所に居た時からあこがれてたし。」
「そうか。さて、そろそろゼロが始末書を書き終わる頃だろう、行くぞ。」
「ん?ありがと。」
キラキラした瞳で楽しそうに話すレノンにカーネルが手を差し出すと、レノンがカーネルの手を掴み、立ち上がる。
「そういやこのごろ親父、真面目に始末書書いてるけど・・・何したんだ?英鴻の奴。」
「ソニアを利用したらしいぞ、さすがに破壊神と言われる男でも愛娘と英鴻には勝てなかったらしい。」
「フーン、ま親父が悪いから良いんだ!」
「まあ英鴻もゼロの事を想ってやっている事だし・・・・・たぶん。」
二人で優しい笑顔を浮かべながら、英鴻の部屋に向かう。
「そういやさ、母さんは?」
「ああ、アイリスなら英鴻に呼ばれてさっき、英鴻の部屋に行ったが・・・。」
「なーんか嫌な予感がするんですけど・・・。」
「私も同感だ。」
そう言うと英鴻の部屋に向かうが、カーネルとレノンでは体の大きさが違う為、歩幅が違い、徐々に差が出来る。
「うわっやっぱり歩幅が違う・・・。」
「しょうがない、ほら、乗れ、レノン。」
「え・・・良いのか?」
「別に良いじゃないか、伯父が姪子を肩車して何が悪い?」
カーネルが屈み、レノンを肩車しようとすると、レノンが恥ずかしそうにするが、カーネルが理論を述べる。
「んじゃ、お言葉に甘えて・・・・うわっやっぱ高ぇー・・。」
「それにしても、ゼロはこう言う事はやらないのか?」
「うん、親父仕事で忙しいし。」
「そうか・・・。」
無邪気にはしゃぐレノンを見て、カーネルも楽しそうに微笑む。
「私で良ければいつでもやってやる。」
「本当か?」
「ああ、本当だ。」
「ヨッシャ!約束だぞ!カーネル!」
「ああ。(やはり子供だな。)」
レノンとカーネルが約束をするとレノンがガッツポーズをして、カーネルもレノンの様子を見て微笑みながら
英鴻の部屋に向かう・・・。
「あ。英鴻の部屋が見えてきた、ありがとカーネル。」
そう言うと素早くカーネルの肩から降りる。
「礼には及ばない、英鴻、私だ入るぞ。」
「俺も入るぞ。」
そう言い、英鴻の部屋のドアを開けると・・・・。
「あら、二人とも、いらっしゃい。」
「アアアアアアイリス!何だその格好は!!」
「かかかかか母さん!何その服!?」
「ハハハ、来たな青年共よ!見よ!これが100年以上前に流行ったメイド服と言う物だ!
面白そうだからアイリスさんに着させて見た!どうだ青年共!その感想は??」
メイド服姿のアイリスが居て、それを見たカーネルとレノンが一斉にズッコケ、
英鴻が自慢げにメイド服の説明をする。
「ね、どう?結構気に入ってるんだけど??」
「あ、ああ・・・可愛いと思う・・・。」
「う、うん。似合ってる・・・。」
「本当?ありがとう!」
「大成功ナリ、じゃあアイリスさん、町に出て一稼ぎしましょう!!」
ガチャッ。
「アイリス、ソニアが呼んで・・・・何だその格好!?」
アイリスがレノンとカーネルの前で一回クルリと回ると、照れながらも感想を言うと、
英鴻が何やら準備をして、町に繰り出そうとするが。
英鴻の部屋の扉が開き、アイリスを呼びに来たゼロが立っていて、アイリスの
格好に目を見開く
「・・・こう言う場合は・・・逃げるがヨロシ!!」
「あっ英鴻!ちょっと待ちやがれ!!」
「ダーメ、ゼロは始末書がまだ残ってるでしょ。」
「だ・・・だけど・・・アイリス・・。」
ゼロが追いかけようとするが、アイリスに止められる。
「だげどじゃないわ、ほら私も手伝うから。」
「ああ、分かった・・・。」
「・・・親父はもうダメだ!行くぞカーネル!」
「ああ、行くぞ!」
アイリスとゼロの甘い空気を感じ、もう追うのは自分達しかいないと感じたのか、
レノンがカーネルの肩に乗り、追い始める。
こんな光景がいつもハンターベースでは見られたらしい。
ELITE HUNTER ZERO