晴嵐華さんよりロックマンX小説13「Affability tune of the moon 〜月の愛想曲〜」



第一話

        「うわあああああ!!!!!!!!」 ザシュッッ!! 1人のレプリロイドが何かによって切り裂かれ、断末魔を上げ、機能を停止させる。 「ケェケケケ!俺様から逃げようなんざ考えるからこんな事になったんだぜぃ?」 「哀れなり、力無き者よ。」 「だけどそれも時の定め・・・。」 そしてレプリロイドを斬ったであろうレプリロイドが血の付いた鎌を持っているレプリロイドが歩み出てくると。 それに続き、全身を鎧で包んだレプリロイドに、無表情な少女レプリロイドも影から出てくる。 「そーいえば!サタンちゃんからの連絡は来たのかー??」 「サタンなら死んだ、レノンのアーマーを奪うことに失敗した。」 「・・・哀れね、自分の力を過信したから。」 3人がサタンの事を無関心そうに話す。 「もうお遊びは終わりだ、行くぞ・・世界を滅ぼす為に。」 「何者でも・・・時の定めからは逃れられない・・・絶対に。」 「ケケケケ!!!殺戮と戦慄のパーティーの始まりだぁ!!」 全身を鎧に包んだレプリロイドが歩き出すと、他の2人のレプリロイドもそれに従い、歩き出す。 そのレプリロイド達が居た場所・・・それは月。 「何て事だ!月に派遣したレプリロイドが全滅だと・・・・!?」 「そんな強力なレプリロイドが反乱を起こしたと言うのか!」 「この始末どう付けるんですか!!ジルバさん!」 月で起こった破壊活動に、動揺を覚え声を荒げる人間が1人のレプリロイドの名を叫ぶ。 「・・・何時もの通りにイレギュラーハンターを出動させ、処分させます。」 「だがあの月には特A級ハンターを100人配置させておいた!だが全滅だぞ!!」 「そんな恐ろしい強さを誇るイレギュラーを仕留められるのか!?」 冷静な声でジルバが言うが、言いしれぬ不安に襲われ、人間達が騒ぐ。 「絶対に仕留めます、その為、我がハンターの選りすぐりの精鋭部隊を送ります。」 「精鋭部隊だと?」 「はい、S級ハンターを全員派遣します。」 「S級ハンターと言えば・・・あのロックマンが居る!」 「だが・・・その様な事は出来るのか?」 「私を誰だと思って居るんですか?私はハンター総司令官、             ハンター内部で最高の権力を持つ者です。」 バタンッッ!! ジルバが最後に人間達に冷たい視線を浴びせ、退室する。 「でも・・・厄介な事になったわ・・・早々に対策を取らなくちゃ・・。」 部屋から出て、少し考え込むと、まっすぐに車に向かって走り出す。 「ケケケ・・・あれが次のターゲットだぁ・・・ぬかんなよてめぇら?」 「分かっているわ・・・あなたじゃ無いもの。」 「・・・行くぞ、目的を果たすために・・・。」 そうして車に乗り込むジルバを鋭い視線で見ている人物達もハンターベースに向かう。 「と、言うわけで、あんた達には月に行って欲しい訳。」 「相当な実力者みたいだな・・そいつらは。」 「へーん、イレギュラーハンターに喧嘩売るなんて度胸あるじゃんv」 「アクセル、これは重大な事件なんだぞ。」 「ええ、ワタシもそう思いマス。」 ジルバがハンターベースに戻って、即S級ハンターを集めて会議を行う。 「すんごい重大な事件よ、何しろ月に派遣した特A級ハンター100人が全滅だもの。」 「何か敵の情報は無いのか?」 「必要ないよ!僕が皆倒しちゃうからね!」 「たしかに・・情報はあっても損はしないからな・・。」 「それに関してですが、破壊された特A級ハンターのアーマーを見たところ、             3つの傷跡がありましタ。」 そう言うと英鴻が分析した、データを見せる。 「うえっ酷いっ・・・英鴻・・・あんたよくこんなの見られるわね・・・。」 「たしかに・・・。」 「同感だ。」 「てかどうやってデータ持ってきたのさ?」 「まあそれは置いといて、3つの傷跡とは、凄まじい切り傷、             光線で焼けこげた傷、そして何かに貫かれた傷。」 英鴻が冷静にデータを分析し、結論を述べていく。 「特A級ハンターが為す術もなくやられるんだから相当強いのねぇ。」 「俺の前に敵が現れたら・・斬るまでだ。」 「同感!悪者は倒せば良いんだよ!」 「でも・・・そう簡単にいくものか・・・。」 「だけどエックス隊長、あなた達は幾千の死線を繰り広げて来たじゃないですか、             今回もたぶん大丈夫だと思いますよ。」 「たぶんは余計だ、英鴻。」 「そーれが余計じゃ無ぇんだよー♪」 皆が不安そうに言うが、英鴻の言葉にいくらか気分が良くなるが、             最後に此処にはいない筈の人物の声が響く。 「!お前何時の間に!」 「噂をすればって奴?」 「月に行く手間が省けたな。」 「敵の襲来デスね。」 「戦闘はあんた達の専門だからファイト!」 エックスにアクセルにゼロが戦闘態勢を取る中、英鴻とジルバは物の影に隠れる。 「まーまぁ、落ち着けよ♪英雄様達ー今日は挨拶に来ただけだっつうの。」 「お前達は何が目的だ!」 「親父!こっちに変な奴来なかったか!?」 「あー来てるよレノン、変な奴。」 「ああ、最高に変な奴がな。」 「俺の名前はトラヴェル、まあこれからあんた達と闘うんでー♪よろしく頼むわ。」 謎の男、トラヴェルが名を名乗り、エックス達に向かって一礼する。 「あー、あんたがレノンちゃんかー、今日はあんたに用があるんだよねー。」 「ちゃん付けるなキモイ!んで、俺に何の用だよ、トラヴェルさんよう。」 「・・・レノン、こいつに何かしたのか?」 「してねーよ!こんな気違い野郎は知り合いに居ねぇ!」 「お喋りはここまでー♪お前に会わせたい奴がいるんだvおーい、出てこい。」 「?何さ、その女の子、そんな子知らないよ、ねえエックス・・・エックス?」 「あ・・・あれは・・・。」 「ミッミラージュ!!!!!!!」 「な・・・何であの子が此処に・・・。」 「ワタシの情報ですと・・彼女は死んだはずでは・・・?」 「・・・・。」 トラヴェルが物陰に向かって声を掛けると、水色の腰まである長髪に青い瞳の少女、             ミラージュが歩いてくると、レノンが叫び声を上げる。

第二話

「ハァハハハ!どう?どう?喜んでくれたー??レノンちゃん!」 「てめぇ!ふざけんじゃねぇ!!」 「落ち着けレノン!あいつらの思惑に乗せられるな!」 「ど、どうなってるのさ!?」 「貴様・・ミラージュを復活させて・・・何が狙いだ。」 トラヴェルが高笑いをすると、レノンが逆上し、斬りかかろうとするが、       エックスがレノンを押さえ、ゼロがゼットセイバーを構え、言う。 「狙い?それは教えられねぇなー!秘密だからよ!それよりも・・・速く行った方が良いぜ?       俺の仲間が今頃町を破壊してる頃だもんなぁ!!」 「な、何だと!?何てことを!せっかく人間達の手で復興した町を!」 ダッ!! 「待ってレノン!今のレノンじゃ無理だよ!戻ってきて!!」 「許さねぇ!!てめぇ!よくもミラージュを!!!」 「お、来たー♪そらっと。」 ザシュッッ・・・・。 「レノン!!」 「あっ・・・。」 ドサッ・・。 まさに閃光が走った様に、レノンの体がトラヴェルによって切り裂かれる。 「さーて、お目当ての奴も手に入ったし・・・俺は退散しますか♪行くぞミラージュ。」 「・・・・・。」 「ミ・・・ラー・・・ジュ・・・・。」 「させるか!チャージショット!」 ドンッ! レノンを担いだトラヴェルにエックスがチャージショットを打つと、辺りが煙に包まれる。 「やったか・・・?」 「あーけむい、けむい・・・ハンターって野郎はハデ好きだなオイ。」 「!」 「そんな・・・馬鹿な・・エックスのチャージショットを受けて無傷・・・だなんて・・・。」 煙の中から、無傷のトラヴェルが出てくる。 「さーて、俺は帰るとするか・・・じゃあな!また会おうぜ!英雄さん達!!」 「待て!レノン!捕まれ!」 「・・・親・・・父・・・・。」 シュンッ!! トラヴェルが転送装置を起動し、何処かへ消えようとすると、          ゼロが手を伸ばし、レノンもその手を掴もうとするが、          その手は届く事は無く、レノン達が転送される。 「ど、どうなってるの・・・死んだはずのミラージュが生き返って・・・レノンも攫われちゃったし・・・。」 「俺にも分からない・・・けど、これだけは言える。」 「そうだね、あいつらは絶対に僕達が倒す・・。」 「トラヴェル・・。」 ガンッ!! ゼロが拳を壁に叩き付け、トラヴェルの名前を叫ぶ。 「イレギュラー発生、イレギュラー発生、          直ちにイレギュラーハンターは現場に急行してください。」 「もしかして・・・さっきのトラヴェルって奴が言ってた仲間かも!?」 「ちっ・・・行くぞ!アクセル!エックス!」 「分かった!」 「何か・・・嫌な予感がします・・・どうか・・・気を付けてください・・・エックス隊長達。」 アクセルとエックスとゼロの現場に向かう後ろ姿を英鴻とジルバが見守る。 「・・・・ねえラフェスタ・・・何時まで遊んでいるの・・・          もう・・目的の物は手に入ったんでしょ?」 「まあ待て、メヌエット・・・あいつらにも挨拶をしなくてはいけないからな・・。」 ラフェスタと言われた、体中に鎧を付けた赤い瞳のレプリロイドが          メヌエットと言われた無表情な白い瞳をした少女レプリロイドに話しかける。 「お前らか!トラヴェルの仲間は!?」 「・・・ああ、そうだ・・その慌てよう・・どうやらトラヴェルは目的を果たした様だな。」 「!・・・やはりな・・。」 「んで、あんた達は何が目的なのさ?」 「・・・それは言えない・・・でもいずれ・・・時が来れば分かるわ・・。」 「今日のは挨拶代わりだ・・・いずれ我々は、この世界を滅ぼす・・それまで・・・ご機嫌よう。」 シュンッ!! 「待て!」 ラフェスタが一礼をすると、何処かへ転送される。 「えらい事になったわね・・・レノンが為す術もなく攫われるし・・・。」 「そうだな。」 トラヴェルとメヌエットが去った後、ハンターベースに戻り、対策会議を開く。 「レノンは大丈夫かしら・・・。」 「すまないアイリス・・・俺が付いていながら・・。」 「ゼロの責任じゃ無いよ、僕たちにも責任はあるし・・・。」 「だが、何の目的で・・・レノンを・・。」 不安そうなアイリスをゼロが励まし、カーネルが敵の目的を考える。 「レノンは莫大なエネルギーを体内に蓄えているわ、今まで狙われなかった方が不思議なのよ。」 「レノン少年のエネルギーは凄まじい、そのエネルギーは地球を滅ぼす事も可能なんですヨ。」 「・・・たしかに、あいつはシグマにエネルギーを供給する為に作られたからな。」 「でも!今は違うわ!今は私の息子よ!」 ジルバがレノンの分析データを英鴻に渡すと英鴻が難しい顔でそれを受け取り、意見を言う。 「そうだったな・・ジルバ、敵の場所は分かるか?」 「ええ、いちおうあいつらの転送装置から場所を割り出す事に成功したわ。          あいつらが今居る場所は、月よ。」 「だがジルバ、あの厳重なプログラムをどうやって解除したんだ?          レイヤーやパレットとエイリア3人がかりでやってもできなかった物を。」 「甘いわねエックス、私はハンター総司令官ジルバよ、それくらい訳無いわ。」 ゼロがジルバに敵の基地の位置を聞くと、ジルバが答え、          それにエックスが疑問の声を上げるが、ジルバが自慢げに否定する。 「それじゃ今から向かおうよ!レノンを助けにさ!」 「それが無理なのですよ、アクセル君。」 「何か理由があるのか?」 アクセルがレノンを救出に行こうとするが、          英鴻がやんわりとそれを止め、エックスが理由を聞く。 「月に行くには、月に張ってあるバリアを解除しなくてはならないのです。」 「バリア?」 「たしかに・・・ミサイルなどを防ぐには最良の方法だ・・。」 「しかもそのバリアがすごく厳重なのよ、          それにアクセスした瞬間ハンターベースに大量のウイルスがお出ましよ。」 ジルバがハー、と溜息を付く。 「何とか出来ないのか?」 「もちろんよ、大体1時間ぐらいで解除できるわ、          でもバリアを消せる時間は大体10分ほど。」 「それだけあれば十分だ、アクセル、エックス、それで良いか?」 ジルバがコンピューターを操作していると、ゼロがアクセルとエックスに話しかける。 「俺は何時でもOKだよ、ゼロ。」 「僕もー!」 「止めても聞かないし・・・ゼロ、気を付けてね。」 「無理はしない様にお願いします、また始末書の数が増えてはたまりませんからネ。」 そうして、月に突入する為に、ハンター達の準備が始まった。

第三話

「うっ・・・此処は・・・?」 「気が付いたか。」 「!・・てめえ・・何者だ・・・。」 レノンが暗い空間で目を覚ますと、全身を鎧で纏っているレプリロイド、ラフェスタが現れる。 「俺の名はラフェスタ、お前と同じく、シグマに生み出された者だ。」 「シグマに!?」 「ああ、俺はミラージュの兄と言う存在になるだろう。」 「ミラージュの兄だぁ!?ミラージュの兄がそんな事すっかボケ!!」 ラフェスタがレノンに近づき、言う。 「だが、俺には重大な欠陥があってな、強大なエネルギーを常に補給していなくては原型を維持できないのだ。」 「それで・・・俺のエネルギーを貰うってか?」 「その通りだ、おとなしく・・・俺に食われろ。」 ラフェスタがレノンの顔を上に向け、言う。 「へっ!断る!俺はお前に食われて死ぬのなんかヤダ!」 「そうか、だがな・・・もう遅い。」 「・・・ザシュッ・・・あっ・・・。」 バタンッ! 「ケケケ!!ラフェスタちゃんは卑怯だな〜何も背後からやんなくてもよ〜!」 「・・・・でも、そうでもしなきゃ・・・この人は捕まらないと思うわ・・・。」 レノンの事を背後からトラヴェルが大鎌で斬り、レノンが倒れる。 「・・・だが、これで俺は永久に生きていられる。」 「・・・・私は・・・何で此処に居るんだろう・・・あの人は・・誰・・?」 ラフェスタがレノンの体を抱え、何処かに向かう姿をミラージュが悲しそうに見ていた。 こうして長い夜は明け、戦士達は戦いの朝を迎えた。 「ジルバ、バリアはどうだ?」 「OK!バッチリよ、場所も特定できたし、何時でも行けるわ!」 「ああ、分かった、行ってくる、アイリス。」 「うん、行ってらっしゃいゼロ。」 エックスがジルバにバリアの様子を聞くと、ジルバが笑顔で答える。 「さて、そろそろ時間よ・・・今からバリアを解除する。」 「ああ、頼む。」 「私は一緒には行けないが、アイリス達を全力で守る、お前達はお前達で戦ってこい。」 「カーネルもがんばってね!僕たちも頑張ってくるから!」 「それじゃあ・・・バリア解除!転送!」 シュンッ・・・! 「さて・・・やるわよ!ウイルス駆除!」 「ジルバさん!私も手伝います。」 「私もアイリスには及ばないが、手助けする。」 「私も手伝いますよ、ジルバさん。」 「私もですー!」 「非力ですが・・・お手伝いをさせて頂きます。」 「ありがとう、オペ娘達!さあ、やるわよー!」 エックス達が転送されるのを確認し、ジルバとアイリスとレイヤーやパレットやエイリアが          ウイルス防止のファイヤーウォールを張り始める。 「イレギュラーハンター達がバリアを解除したらしい、トラヴェル、メヌエット、          お前らは各自の部屋であいつらを倒せ。」 「ヘイヘイ、了解だぜ!お前はまだ動けねぇしなぁ!!!!」 「分かったわ、あの人達に・・・時の裁きを。」 シュンッ。 トラヴェルとメヌエットがエックス達の襲来に備え、各自の持ち場へ付く。 「・・・精々戦うが良い、私の為にな・・・。」 そう言うとラフェスタも何処かへ向かう。 シュンッ!! そしてラフェスタ達が会話を交わして数分後、エックス達が月に転送される。 「おかしい、警備のメカニロイドが1体も居ないなんて。」 「だってさーエックス、ココのメカニロイドとレプリロイドは          あいつらが全部倒しちゃったんでしょ?」 「よっぽど力に自信がある様だな。」 月に付いたのは良いものの、敵が一体もいない事に驚く。 「まあ体力を消費しないのは良い、それよりも内部に入ろう、作戦を立てるのはそれからだ。」 「ああ、あそこが入り口らしいな。」 「うん!レッツラゴ〜!」 三人で入り口らしき扉へ向かっていく。 シュンッガシュッ・・・。 「内部は普通らしいな・・・。」 「だけど・・・。」 「すごく不気味だ・・・まるで・・レプリロイドの怨念がそのまま建物に着いたような・・・。」 建物に入ると尋常では無い寒さを感じる。 「ヒャハハハハ!ようこそ!殺戮と破壊のパーティー会場にv」 「!お前は・・・トラヴェル!」 「ピンポーン♪正解したお礼によー!俺様達の部屋を教えてやる!」 そうしてまもなく、トラヴェルの声が放送で流れ、          エックスが真面目に答えるが、当のトラヴェルは真面目度0 「フーン、サービス良いじゃん!教えてよ!」 「アクセル!」 「聞いておいて損は無いだろう。」 「真ん中の部屋が!我らが司令塔のー!ラフェスタちゃんのお部屋♪ 右の部屋がー!時の定めとかほざいてる、メヌエットちゃんお部屋! 左の部屋は死にたい奴が来いよ!俺様の部屋だ!ヒャァハハハ!! まあてめえらが何処を選ぼうと此処で死ぬのは変わらねぇよ! 覚悟決めとけよぉ??ヒャァハハハ!ヒャァッハッハハハ!!」 プツンッ! そうして、騒がしい通信が切られる。 「だ、そうだけどどっち行く??」 「俺はトラヴェルの部屋に行く、あいつだけは俺倒す。」 「んじゃ、僕はメヌエットの部屋に行くよ、ゼロはラフェスタの部屋に行って!」 「分かった、皆・・・また会おう!」 ダッ!ガシュンッガシュンッガシュンッ! 3人がそれぞれの部屋に入っていく。

第四話

「ここが・・・トラヴェルの部屋か・・・何て不気味だ・・だけど、俺は負けない・・!」 ガシャンッ!! 一瞬怯むが、次の瞬間にはトラヴェルの部屋に入る。 「トラヴェル!」 「ケケケェ・・・来たか・・・ロックマンエックス!」 「トラヴェル!お前だけは許さない!俺が・・・倒す!」 トラヴェルの薄暗い部屋にたどり着くと、エックスがバスターを構え、トラヴェルも大鎌を構える。 「ハハハハハァ!俺様を倒すだぁ!?無理無理!そんな事よりも・・・行くぜ!」 ザッ!! 「問答無用か!?クッ!」 バンッ! トラヴェルがエックスの話など興味が無いように、斬りかかると、エックスがバスターで応戦する。 「通常弾じゃ俺様は倒せないぜぇ!?本気出せよ!オラオラ!!」 シュッシュッ!! 「クッ!!クリスタルウォール!!」 バシュッ!! 「効かねぇ!効かねぇ!!」 トラヴェルが大鎌を振り回すと、エックスの顔に一筋の線が刻まれる。 「シャドウランナー!!」 「おいおい、英雄さんよぉ・・・俺様を・・・馬鹿にしてんのかゴルァ!!!!」 「グアアアアアアア!!!」 エックスの攻撃を避け、逆上したトラヴェルがエックスを斬りつける。 「(通常アーマーじゃ勝てない・・・なら・・・。)イカロスアーマー!!」 「やっと来たかぁ・・それがルミネちゃんを倒したアーマーの1つ?ヒュッヒュー♪」 「ギガクラッシュ!!!」 ドッカーーーーーーン!!!!!!! 凄まじい爆音が響き、トラヴェルの部屋が崩壊しかける。 「やったか・・・?」 ガラッ・・・。 「!」 「ヘヘヘ・・・悪ぃな、言うの忘れてたぁ・・・          俺様ってさぁ、今製造されているレプリロイドでは1番装甲が厚いんだよねぇ。」 エックスがギガクラッシュを放ち、安心していた所に、トラヴェルが無傷で瓦礫の下から出てくる。 「ギガクラッシュを・・・受けて無傷だと・・・?」 「さぁて、今度は俺様の番だ・・・行くぜロックマン!!」 バキッ!・・・バチバチバチ・・・ゴトッ。 エックスがショックを受けていると、トラヴェルがいきなり自分の腕をもぎ取る。 「ヘヘヘェ・・俺様の本当の武器わねぇ・・大鎌じゃ無ぇんだよ・・このコードさ。」 「くっ・・・俺は・・・負けるわけにはいかない・・・友の為にも・・人間の為にも!」 「そうかい、なら・・・死ねや!デススタンプ!!」 ビュッ!! トラヴェルのコードがエックスに向かって伸びる。 「ヘルメスアーマー!・・・エクスドライブ!」 「ハハハ!やっと本気になりやがったか!だけど・・俺には勝てねぇよ!」 「黙れ!イカロスアーマー!・・・ギガクラッ・・ザシュッ・・・え・・・?」 「俺様のコードはなぁ、1つ1つが獲物を追って仕留めるようプログラムされてあんだよ、          お前のギガクラッシュは威力は高いが、 技を出す時の隙があるんだよー、お分かりザマスか?英雄様ぁ???」 ドンッ!! エックスがヘルメスアーマーに変形し、エクスドライブを発動し、          トラヴェルの攻撃をかわし、再びイカロスアーマーに変形して、ギガクラッシュを 発動しようとするが、トラヴェルのコードがエックスのアーマーを貫き、エックスを壁に投げつける。 「グアッ!!」 ズルッ・・・。 「おっと、寝るなよ?ロックマン、俺様を最後まで楽しませてよぅ?」 「(・・・勝てない・・・こいつ・・・強い。)」 「ハーア、とんだ見込み違いだよ・・・あっちのゼロって野郎の方が強かったかなぁ?」 エックスが意識を手放そうとすると、トラヴェルがコードを使い、エックスを持ち上げ、ガッカリした様な声を出す。 「ゼロに・・・手を出すな・・・。」 「まーだ喋れんのかよ、しぶとさだけは一人前だなぁ・・・お前は成長する力を持つって言うからメモリーチップ抜いて 一生俺様のオモチャにしようと思ったけどよー、やっぱやめたー此処でお前は殺す、俺の手でさーv」 チャキッ。 トラヴェルが大鎌を肩まで振り上げる。 「(俺は・・・死ぬ・・・のか?)」 「バイバーイ!ロックマン!安心しな、ゼロとアクセルって奴も後からあの世に送ってやるからさ!!」 「(こんな所で死ねない・・・ゼロ達の為にも・・・俺は勝つ!)」 「!まだ動けるのかよ・・・しつけぇな!離せよ!」 そうして考えている内に、無意識にトラヴェルの大鎌を掴む。 「俺は負けない!戦いが終わらない限りは!」 バキッ!! 「てめぇ!俺様の大鎌をよくも!」 「決着を付けるぞトラヴェル!」 シュンッ! エックスが意志のこもった目でトラヴェルを見つめ、          大鎌を握りつぶすと、アルティメットアーマーに変形する。 「ハハハハハ!てめぇは最っ高におもしろい獲物だな!行くぜぇ!          俺様の最強の攻撃だ!デスフレイア!!」 シュルルッシュンッ!! トラヴェルのコードが分裂し、凄まじい数になり、エックスを貫こうと、伸びる。 「俺は絶対に負けない!これが俺の最強の攻撃だ!ノヴァストライク!!」 エックスがエネルギーを解放し、辺りが光に包まれる。 「そんな物が俺に効く・・・・ウワアアアアアア!!!!!!!」 ドッカーーーーーン!!!!! そう良い、コードを伸ばすが、強大なエネルギーによって消滅させられ、          自分自身もエネルギーに包まれる。 「ハァ・・・ハァ・・・立たないでくれよ・・・もう・・・(反撃する力は残ってない・・・。)」 ガラッ。 「オラッ!」 「!」 エックスがその場に倒れ込むが、トラヴェルが重傷を負い、瓦礫の下から出てくる。 「(ダメか・・・ごめん・・・ゼロ・・。・)」 「あれ・・・俺様・・・何でこんな所に居るんだ・・・?」 「え・・?」 襲い掛かってくると思ったトラヴェルが急に大人しくなり、目を丸くする。 「俺様・・・たしか・・・ラフェスタに・・・・。」 カタンッ。 トラヴェルが不思議そうな顔をしていると、トラヴェルの体から何かが落ちる。 「これは・・!フォードチップ!」 「もしかして・・あんたロックマンエックス!?その傷どうしたんだよ!?」 「記憶は無いみたいだな・・・何か体に異常は?」 「無いけど・・・そうだ!エックス!急いだ方が良い!速くしないと!あんたの仲間が死ぬ!」 ちなみにフォードチップとは、現在は製造・販売ともに禁止されている          レプリロイドの強化チップである。 レプリロイドに装着すると、元々の人格が破壊され、          殺戮と破壊を行う様にプログラムされている恐ろしいチップ。 主に裏組織で巨大な戦闘能力を持ったレプリロイドを洗脳するのに使われる。 シグマのチップと同じような効力を発するが、フォードチップの方が手に入りやすい代物なのだ。 「何だって?・・・その話・・詳しく聞かせてくれ。」 「あ・・ああ・・・。」

第五話

その頃ジルバ達はと言うと・・・。 「あー忙しい!しつこいわねウイルス達も!」 「ジルバさん!こっちのファイヤーウォールが破られました!」 「こっちもですぅー!」 「私の方も破られました!」 「・・・私のファイヤーウォールもです・・。」 「このままじゃ持たないわ・・・そうだ!私とカーネルがウイルスを実際に倒せば良いんだわ!」 「アイリス!その方法は実行可能か?」 「ええ、兄さん大丈夫、でも・・・気を付けてね。」 ジルバとカーネルが装置のある部屋に走って行くと、オペレーター娘達も、ファイヤーウォールを修復する。 「よーし!これねー、久しぶりの戦闘に腕がなるわー!」 「ジルバ、お前の戦闘能力は高いが・・・気を付けろ。」 「分かってるわよ、油断はしない、カーネルも気を付けて。」 シュウウウウウン・・・・。 最後に挨拶を交わすと、装置を起動させ、自分たちの意識をサイバーワールドに飛ばす。 「っと、無事に付いたようね、カーネル、体の方は異常ない?」 「ああ、大丈夫だ・・・さて、早速敵が出てきた、ジルバお前は・・・。」 シュッ・・・・ザシュッザシュッザシュッ!! 「何か言った?カーネル。」 カーネルがジルバに「下がっていろ」と言うつもりが、          時すでに遅しで、素早い動きでウイルスを蹴散らす。 「お前は・・昔から人の話を聞かないな。」 ズバッ。 「そんな事言ったってねー、敵が来てたんだもの、しょうがないでしょ。」 ドスッ。 カーネルとジルバがウイルスを斬り、突き進む。 「まあとりあえず、久しぶりの戦闘だもの、腕が鳴るわ。」 「・・・あまり被害を出すな、英鴻がうるさいからな。」 「ワタシが何ですか??」 「あら、英鴻、来てたの?」 そこら辺の敵を一掃し、話していると、急に此処には居ないはずの英鴻が現れる。 「どうやって来たんだ・・・お前は。」 「フフフ、ワタシは何処にでも出現する不思議な英鴻さんデスよ。」 「まあ英鴻は役に立つから良いとして、作戦は何か無い、英鴻?」 「ワタシの予想ですが、このウイルスには親玉が居ると思います、          幾らジルバさん達が強くても、親玉が居てはウイルスは無限に生み出されます。 此処でコンピューターを守る方と直接親玉を叩く方に分かれた方が良いと思います。」 ジルバが冷静に英鴻に作戦を尋ねると、適切な意見を述べる、若仙人・英鴻 「それもそうね、じゃあカーネル、此処はヨロシク。」 「ジルバ、お前・・分かった、お前は昔から言い出すと聞かないからな、英鴻、ジルバを頼む。」 「了解デス、では戦闘はヨロシクお願いします、ジルバさん。」 「分かってるわ、カーネルも気を付けて!」 タタタタタタタッ・・・。 カーネルと挨拶を交わすと、素早い動きでウイルスの親玉の元へ向かう。 「ちょっと、英鴻―本当に此処らへんで良いの?」 「ワタシの推測では此処の筈なのですが・・・。」 「ったくもう・・・ガラッ・・・・ガラ?ってキャアアアア!!!」 ジルバが壁に寄りかかると、そこの壁の部分が落ち、ジルバも落下する。 ズルズルズルズルッ・・・・! 「・・此処は・・・どうやらビンゴの様ね。」 ジルバが壁にサイディフェンスダガーを刺し、落下を防止し、          辺りを見渡すと、ウイルスが集まった様な残骸が辺りに浮遊している。 トスッ。 「このウイルス・・手こずる訳だわ、レプリフォースで処分された筈のフラネルじゃない。」 「・・・・ダ・・・レ・・?」 「このウイルスの特徴、それは・・・自分の意志が有ること。」 「アナタハ・・・ダレ?」 戦闘に備え、ダガーを構える。 「私の名前はジルバ、悪いけど・・・あなたを壊しに来たわ。」 「ボクヲ・・・コワシニ・・・イヤダ・・・イヤダ・・・イヤダァァァァァァ!!!」 「やっぱりね、思った通りの反応・・・          だけどね、私も守る人が居るの、立ち止まる訳にはいかないわ。」 シュッ・・・。 フラネルと言うウイルスに向かって、素早い動きで近づいていく。 「コワイ・・・コワイ・・・コワイヨ・・・コワイモノハケサナキャ・・・ケサナキャ!!」 スゥオオオオオオオ・・・・。 「何か来る・・・ウイルス!」 シュンッ! ジュウウウウウウ・・・・。 「さすがに・・・一筋縄ではいかないみたい・・・。」 フラネルがウイルスをはき出すと、それをジルバが避け、          サイバーワールドの壁が解け、それを見て冷や汗を掻く。 「キエテ!キエテ!コワイモノハミナキエテ!」 「たしかに、私は怖い人ね、自分の父親を見捨てて、敵に寝返って、          私を慕ってくれた兵士達を見殺しにしたもの・・。」 ギュッ・・・。 「キエテェェェェェェェェ!!!!!」 「だからこそ・・・罪を償わなきゃいけない、あの子達を守る事で。」 「スローファ!!!!!」 「交声曲=カンタータ・・・。」 シュウウウウン!バシュッ!!・・・シュッ! ジルバが意志のこもった目でフラネルを見つめて、その直後にウイルスの爆発が起きるが、          ジルバがアーマーの機能を向上させ、フラネルの攻撃を避け、          壁に何故か大量のサイディフェンスダガーを突き刺す。 「ヤッタカナ・・・コワイヒト・・・キエタカナ?」 「残念だけど、私はそう簡単に死ねないの。」 「マダイキテル!ナンデ!ナンデナノ!?」 「まだ私は生きなきゃいけない・・・だから、ごめんなさい。」 「コロサナキャ!コワイモノハミンナ!!!!!!!」 攻撃の後、フラネルの背後に現れ、サイディフェンスダガーを構える。 「歌曲=リード!」 シュンッ! 「キエタ!?」 ジルバが、そう言い、姿を消し、沈黙がこの場を支配する。 「ドコダ・・・ドコダ・・ドコニイル!!!」 「此処よ。」 「!」 シュッシュッシュッ・・・! 「グ・・アッ・・・ナ・・・ナニヲシタ!」 ジルバが急にフラネルの前に現れ、ダガーを数回振り回すと、フラネルが異常を訴える。 「あなたの内部を直接斬ったの、外部をすり抜けてね。」 「ガハッ・・・・バッバカナ・・・。」 「外面は鍛える事は出来ても、内面はどんな強者でも鍛える事は出来ない・・・          私が戦闘の中で知った術よ。 返り血を浴びないお陰で、白神って言われるけどね。」 ジルバがダガーを構え、言う。 「だから、あなたじゃ私は殺せないわ・・・。」 「グガガガ・・・・ガ・・・。」 「聖譚曲=オラトリオ・・・。」 シュッ・・・バァンッッ!!!!!!! 「ア・・・アア・・・。」 ジルバが目にも止まらぬ動きで、ダガーをフラネルに向かって、          振り下ろすと、フラネルの体の内部で爆発が起きる。 「私の技はまだあるけど、これで最後にするわ・・・歌劇=オペラ。」 シュッ・・・・ドスッ! 「!ナンダ・・・コンナダガーデナニヲスルツモリダ!?」 「もう遅いわ、集結しなさい、冥界の死者達よ。」 「エ・・・?」 ドスドスドスッッ!!!! ジルバがフラネルに向かって1つのダガーを刺し、指を鳴らすと、          壁に刺さった大量のダガーがフラネルの体に刺さっているダガー向かって集結し、 フラネルの体を大量のサイディフェンスダガーが貫く。 「私は、ラットグやマリノの様に速くも無い、それにゼロやマッシモの様に力も無い、          シナモンみたいに回復能力を持っている訳でも無い。 私の真の武器は、この分析力よ、敵の弱点を瞬時に割り出し、          的確に弱点だけを破壊する、それが私の戦法。」 「・・・ワタシハ・・アナタニハカテナイ・・イマソノスウジガテキカクニデマシタ。」 「あなた・・・正気に戻ったの?」 「・・・ハイ、ジルバサマ・・。」 フラネルがまだ生きている事を確認すると、フラネルの目線に合わせ、屈む。 「アナタニワタシタイモノガアッタ・・・・コレ・・・ウケトッテ・・・。」 キィンッ・・・。 「これは・・・ペンダント?」 「ソウ・・・タイセツナヒトカラタノマレタモノ・・・アナタニワタスヨウニ。」 フラネルから銀の素材の十字架のペンダントを渡され、不思議そうな顔をする。 「もしかして・・・これって。」 「ソウ・・・アナタノオトウサンカラタノマレタ・・・アイスルムスメニワタシテホシイッテ。」 「パパが・・・フラネル・・・ありがとう・・。」 ギュッ・・・。 そのペンダントが自らの父ジェネラル将軍から渡された事を知り、フラネルを抱きしめる。 「オレイヲイウノハ・・・ボクノホウ・・・ラフェスタノジュバクカラトキハナッテクレテ・・・アリガトウ。」 「ラフェスタ・・・たしか・・・今回の事件の犯人の1人・・。」 「アイツガ・・・ボクヲヒロッテ、メイレイヲキクヨウニ・・・          フォードチップヲインストールシタンダ、          ボクガラフェスタニキョウリョクスルコトヲコバンダカラ。」 「分かったわ、あなたが廃棄された理由が・・。」 フラネルと話していると、ジルバがポツリ、と呟く。 「ワタシノハイキサレタリユウ・・・?」 「そう・・・あなたはその優しい心を持っていたから・・捨てられたの・・・          人を傷つけたくないって思う心を持っていたから。」 「ソウダッタンダ・・・アナタニハホントウニナニヲイッテモ、ミタサレナイヨ・・。」 ジルバがフラネルに真実を話すと、フラネルが笑顔を見せる。 「モウウイルスノセイサンハストップシタ・・アナタモハヤクモドッタホウガイイ・・。」 「そうね、また会いましょう、フラネル、ここのサイバーワールドはあなたが自由に使って良いわ。」 「エ・・・ボク・・イキテイラレルノ・・?」 「当たり前でしょ、じゃあ私は戻るわ、じゃあねフラネル。」 タッタッタッタッタ・・・。 「ホントウニ・・・アナタタチオヤコニハオレイヲイイキレイナイデスヨ・・・          ジルバサマ・・・ジェネラルショウグン・・。」 フラネルがジルバの後ろ姿を見送り、ポツリと呟く。 「よいしょっ・・・っと、結構壁を登るのも疲れるわね・・・。」 「オヤ、お疲れ様ですジルバさん。」 「英鴻、あんたもしかして彼処が崩れるの知ってたでしょ・・・。」 「おや、バレてしまいましたか、さすがはジルバさんですネ。」 壁を這い上がると、のんびりと座っている英鴻が目に入る。 「まあ良いけど・・それよりも、カーネルの所に行った方が良いわね、 「賛成デス、では行きましょうか。」 簡単に会話を交わすと、カーネルの方へ向かって歩き出す。 「ウイルスが消えた・・・ジルバが親玉を倒したみたいだな。」 カーネルがウイルスと戦っていると、急にウイルスが消えた為、安堵の溜息を付く。 「カーネルー、生きてるー?」 「死んでませんかー??」 「・・・お前らはよっぽど私を殺したい様だな。」 ゴトッ。 「おや?何かが落ちた音が・・・。」 ジルバと英鴻の言葉に苦笑しながらも、笑顔で答えると、何かが落ちる音が聞こえる。 「あー、ゴメン、その音は私の腕が落ちた音だわ、そろそろこのアーマーも修理が必要ねぇ。」 「おいジルバ!お前はどうしてそんなに冷静なんだ!腕が取れてるぞ!」 「アラマー、これは見事に取れてますねー。」 「腕一本でそんなに騒がないでよ、たかが腕でしょ?」 腕が取れたと言うのにアッサリしているジルバ 「たかが腕されど腕だ!速く治療しに行くぞ!」 「ちょっカーネル!腕なんか何時でも直せるって!」 「それはジルバさんの命令でも聞けません、一時の恥は一生の恥と言いますヨv」 「ウッ。」 英鴻に的確な事を言われて、黙り込むジルバ。 「それもそうね、じゃあカーネルお願い、腕片方しか無いから機械の操作が難しいの。」 「分かった、今やる。」 「ワタシもカーネルさんの手伝いをしてきます。」 タッタッタッタッタ・・・。 「ったく、皆心配性なんだから。」 英鴻とカーネルが去った後、ジルバが困惑気味に苦笑する。 「でも・・・それがあの子達の良いところなのよね。」 トンッ。 片方の手でうまく立ち上がる。 「だから、心配掛けないで返ってきなさいよ、ゼロ・・・レノン。」 サイバー空間を見上げて、ジルバが言う。 「それにしてもやっぱりレノンが居なくなったら、お茶とケーキの減り具合は遅くなるのねー。」 レノンが毎日の様にジルバの部屋にケーキを食べに行っていたので、          ジルバもそれを予想し、ケーキを大量に購入していたが、レノンが攫われてからは ケーキの減りが究極に遅く、冷蔵庫からはみ出している状況。 「甘い物が好きなのレノンぐらいだし、速く帰ってきてケーキを食べて貰わないとね、          後の男共は甘い物嫌いだし。」 真剣な雰囲気から一気に日常の事を考えるジルバであった。

第六話

「へーえ、僕のお相手は君なんだー、君とは闘いたく無かったけど・・・しょうがないね。」 その頃アクセルは小惑星の模型が漂う部屋にたどり着く。 「・・・だけど、それが時の定めよ、時とは残酷な物だから・・・。」 「フーン、なら僕がその時の定めって物を壊してあげるよ。」 「愚かな・・・さあお遊びは終わり・・・本気で行くわよ・・。」 シュンッ。 「しょうがない、僕も本気で行くよ!」 メヌエットが杖を構え、消えると、アクセルも銃を構える。 「さあーて・・・かくれんぼの始まりだね!」 カチャッ。 「だけど・・・すぐ見つけてあげるよ!」 バンッバンッバンッ!! そう言うと、全方向に向けて、通常弾を放ちまくる。 「さぁーてどうかな?」 「派手な事をしてくれるわね・・私の部屋が穴だらけ・・。」 「さあ、今度は僕が隠れるばんだよ!」 しばらく経つと、メヌエットが小惑星の模型の影から出てきて、          アクセルがホバーで宙に浮き上がり、消える。 哀れね、あの子・・・死んだも同然・・・クスッ。」 アクセルが隠れたのを見て、怪しい笑みを浮かべる。 「さーて・・・僕を見つけられるかな?」 カツッカツッカツッ。 アクセルが小惑星の影に隠れていると、メヌエットの足音が聞こえる。 「来た・・(あの子が通り過ぎたら・・・コピー能力で・・。)」 「・・・・。」 カツッカツッカツッ。 「通り過ぎた・・。」 しばらく隠れていると、メヌエットの足音が遠くなっていく。 「・・・・見つけた。」 「馬鹿だなー其処は違う・・ドシュッ!!・・・よ?」 メヌエットがアクセルとは違う場所に何かを放つと、アクセルの肩を何かが貫通する。 「うっ・・・。」 ドサッ。 「言い忘れてたけど、私の武器はレーザービーム、すなわち・・私に死角は存在しないわ。」 アクセルが小惑星の影から落ちると、メヌエットがゆっくりと近づいて行く。 「こんな事じゃ僕は死なないよ・・・・・・。」 「しぶといのね、普通のレプリロイドはレーザービーム一発で死んじゃうのに。」 「僕はこれでもS級ハンターだからね。」 メヌエットがつまらなそうな顔をすると、アクセルが口の血を拭き、笑顔で言う。 「もうあまり時間が無いの・・・決めさせてもらうわ・・。」 シュンシュンシュン・・・・。 「この世界に時の制裁を!破滅の序曲・・・第一章メテオ!!」 杖に光を集めて、放つと、複数の球体がアクセルに向かって飛んでくる。 ドッカーーーン!! 「ヘェ・・・こんな技も使えるんだ・・・君ってすごいじゃん。」 「・・・相当しぶといわね・・・あなたもあのイレギュラーハンター達も・・。」 「僕はこんなんじゃ死なないよ!本気出したら?」 「・・・・こんな侮辱を受けたのは初めてよ・・良いわ、             私の技・・・思う存分喰らわせてあげる。」 アクセルがメテオが落ちた後から生還すると、メヌエットが顔を歪める。 「ヘヘッ・・・僕を殺せるかな?」 「破滅の序曲!第二章・・・フレイア!」 怒りに震え、第二の技を繰り出すと、             空気上に星の形をしたレーザーがいくつもできて、アクセルに向かって飛ぶ。 ドッカーーーーン!! 「次行くわよ!破滅の序曲!第三章・・・フォレスト!」 攻撃の手を休める事は無く、小惑星を操り、爆発させる。 ドッカーーーン! 「・・・これで分かった?あなたに私は倒せない・・これも時の定めよ。」 「ハハ・・・それでおしまい?僕はまだ生きてるのに。」 「!・・・あなた!なんでまだ生きてるのよ!?」 メヌエットがアクセルを倒したと思いこんで安心していると、             瓦礫の下から、傷を負いながらもアクセルが生還する。 「ヘヘ・・・エックス直伝、忍法・・我慢の術・・・ちょっと無理があったけどね。」 「無茶な・・・あの攻撃の中・・・可笑しい・・・なら・・             私の最強の技でとどめを刺してあげる!」 「僕は死なない!僕は時の定めで生きてるんじゃない!             自分の意志で生きてるんだ!」 アクセルがよろよろと立ち上がり、メヌエットが杖を振りかざす。 「破滅の葬送曲!ブラッティーウェンディーヌ!」 「僕の最強の技で決着を付ける!変身・・・ナインテイルズ!!」 シュウウウウウ・・・・ドッカーーーーーーン!!!! メヌエットが技を放つと、ビームが反映され、薔薇の花びらが散る様に見え、             アクセルも自身の最強の技で応戦する。 「はぁ・・・はぁ・・・あなた・・何でこの技、最初っから出さなかったの?」 「んー?なんとなくだよ♪これも君の言う時の定めって奴かな?」 「・・・あなたは時には縛られてないのね・・・             羨ましいわ、私は時にすがっていないと生きられないもの・・・。」 「そんな事無いよ!」 爆音の後、立っていたのは・・・アクセルだった。             メヌエットは元々装甲が薄かったので、アーマーの大部分が破壊されている。 「君は生きられるよ!こうして話しているのは自分の意志でしょ?             時の定めだけじゃ生きてないよ!ネッ!」 「え・・・そう・・・なの・・・?」 「そうだよ!一緒にハンターベースに行こう!ちょっと怖い人も居るけど、皆いい人だから!」 「あ・・・ありがとう・・・そんな事・・・言われたの・・・初めて・・。」 先ほど戦っていた相手にアクセルが笑顔で手を伸ばすと、             メヌエットもその手を取ろうとする・・・だが・・。 「!アクセル!危ない!!」 ザシュッ・・・・。 「あ・・・メ、メヌエットーーーーーー!!!!!!!」 「裏切り者が、私自ら・・・お前に死の制裁を与えてやろう。」 メヌエットが何かを感じ取り、アクセルを突き飛ばすと、             メヌエットの体が上半身と下半身に別れ、背後からラフェスタが現れる。 「ラフェスタ・・・貴方は・・・レノンの所から動けない筈・・・。」 「フン、それは過去の事だ・・・もうほぼ奴のエネルギーは吸い尽くした、             もう昔の俺では無い。」 「何だって!レノンをどうしたんだ!!!」 「それは教えるわけにはいかない・・・貴様達は此処で死ぬのだ・・。」 シュンシュンシュンッ・・・。 メヌエットがラフェスタを睨み付けると、             ラフェスタが淡々とした表情で言葉を発し、剣に光を集める。 「逃げてアクセル!」 ドンッ!! 「光に裁かれよ、リヒトプロッツェス。」 シュッ。 「メヌエット!!!!!」 ドッカーーーーーーン!!!!!!!!! メヌエットがアクセルを再び突き飛ばすと、ラフェスタが技を放ち、辺りが爆音に包まれる。 「メヌエット!」 ダッ! アクセルがメヌエットの元に走る。 「アクセル・・・生きてたのね・・・よかった・・。」 「だけど・・・メヌエット・・君の体が・・・。」 メヌエットのアーマーはほぼ全部分が破損しており、見ていて痛々しいほど。 「良いのよ・・私は・・それより・・速く・・レノンを助けてあげて・・             あの人・・何か悲しそうだったから・・。」 「でも・・・メヌエットが・・。」 「私の事は放っておいて!消え去る命と助けられる命!             ・・・どっちが大切なんて・・分かってるでしょ?」 「分かってる!分かってるけど・・・。」 メヌエットとアクセルの声が無情に響く。 「これ・・・あなたにあげる・・だから・・・お願い・・助けてあげて、レノンの事。」 「もしかして・・・メヌエットのDNAデータ・・・?」 「そう・・・ラフェスタが私を真っ先に殺しに来たのは私のレーザービームが弱点だから・・・             それで・・ラフェスタを・・倒して・。」 メヌエットが自らの体からDNAデータを手渡すと、アクセルがそれを受け取る。 「メヌエット・・・分かった・・・ラフェスタを・・・倒す。」 そう言うとDNAデータを自らのボディに取り込む。 「・・・うん、ありがとう・・アクセル・・・。」 「良いんだよ!だって僕達・・友達でしょ?」 「友達・・嬉しい・・・私にも・・・友達が・・。」 「そうだよ、友達!」 「・・・アクセル・・・ありがとう。」 トンッ・・・。 メヌエットがアクセルに向かって感謝の意を述べると、笑顔で機能を停止させる。 「メヌエット!・・・まだ・・・何もしてないのに・・死んじゃうなんて酷いよ・・。」 アクセルがメヌエットの顔をのぞき込み言う。 「でも・・・君に会えて良かった、せめて・・・安らかに眠って。」 「・・・・。」 そう言うと、アクセルがメヌエットの体を優しく横たえる。 「ラフェスタ・・・許さない!絶対に・・倒さなきゃ!」 ダッ!! アクセルが覚悟を決め、ラフェスタの部屋に続く道を駆け上がって行く。

第七話

『ウオオオオ!』 『クッ!・・・』 ヒュンッ!! あるレプリロイドの訓練施設で1人の少年がナイフを振り下ろすと、もう1人の少年がそれを避ける。 『トラヴェル!何をやっている!さっさと仕留めろ!』 『・・・チクショウ!やるしかねぇのかよ!!!』 ザシュッ! 『グワアアアアアア!!!!!!』 トラヴェルと言われた少年が1人の少年に向かってナイフを振り下ろすと、胴体が2つに別れる。 『試合終了・・・勝者・・・トラヴェル。』 『・・・・。』 『よくやったトラヴェル、もうお前の実力はシンジゲート・コスモの幹部クラスに近いぞ!』 研究員がトラヴェルに近寄って言う。 『・・ありがとうございます、じゃあ・・俺はこれで・・。』 『ああ。』 シュンッガシャン・・・! トラヴェルが研究員に頭を下げ、部屋を出る。 『・・・何で・・・レプリロイドを殺さなきゃいけないんだろう・・・。』 『生き残る為よ。』 『・・・・メヌエット、気配を消して近づくのやめろよ。』 『戦闘訓練の続きと考えて。』 独り言を言っていると、背後から白い髪と白い瞳の少女、メヌエットが現れる。 『もう、うんざりだ・・毎日、罪もないレプリロイドを殺すなんて・・・。』 『・・・でも、殺さないと私達が死ぬわ。』 『いっそ・・死ねたらどんなに楽だろう。』 『あなたを死なせる訳が無いじゃない、あの研究員達が。』 『そうだよな・・・。』 『でも、あなたが言ってるロックマンエックスなら・・・             私達を助けてくれるかも知れないわね・・。』 『そうだよ!ロックマンエックスなら・・・絶対に助けてくれる!絶対に!』 『・・・そうね。』 メヌエットの読みは的中である、シンジゲート・コスモは戦闘能力の高いレプリロイドを求めている。 研究員達はそれを知り、メヌエットやトラヴェルと言った戦闘能力の高いレプリロイドを造り、             シンジゲート・コスモ相手に商売をしようと言う魂胆である。 そして実際に後3日でトラヴェルとメヌエットはシンジゲート・コスモに引き渡される。 『それよりも、何か騒がしく無いかしら・・・?』 『・・・たしかに、何があったんだろう。』 メヌエットとトラヴェルが夜空を見つめていると・・・後ろに誰かが忍び寄る。 ドスッ・・・。 『え・・・?』 バタッ・・・。 『メヌエット!てめぇ!何者だ!』 『・・・・眠れ。』 ドスッ! 『あ・・・・。』 クラッ・・・バタンッ!! 長刀を背負った、謎の男がメヌエットの首を叩き、気絶させ、             トラヴェルが襲い掛かるが、その男の長刀によって沈められる。 『お前らは私が有効に使ってやる・・・このラフェスタ様がな。』 ラフェスタと言う全身を鎧で包み、長刀を持ったレプリロイドが何かを取り出す。 『・・・・うっ・・・。』 『まだ意識があるか・・・たいした物だな。』 『!それは・・・フォードチップ!!』 『そうだ、今から貴様に此を埋め込む、お前は殺戮マシーンになるんだ・・。』 『いやだ・・・俺は・・・イレギュラーハンターになるんだ!殺戮マシーン何かならない!』 『お前の意志など関係無い、さあ私の手下となり働くが良い!』 『いやだあああ!!!!助けて!!ロックマンエックス!!!』 カチッッ。 『あ・・・・。』 バタンッ! 『・・・これで良い、後は・・・アーマーを交換すれば・・・。』 『ラフェスタ様、そろそろ参りましょう、シンジゲート・コスモに見られたら厄介です。』 『・・・そうだな、サタン・・行くぞ。』 スタスタ・・・。 トラヴェルの悲鳴が響くが、それを気にせず、ラフェスタがフォードチップを埋め込むと、             トラヴェルが倒れ、ラフェスタが満足そうな顔をしていると。 背後からサタンが話しかけ、ラフェスタがそれに応じ、建物の中に入る。 『目覚めよ、トラヴェルそしてメヌエット。』 『ん・・・何だてめぇわよぉ???』 『・・・何・・・あなた。』 『私の名前はラフェスタ、この世を破滅に導く者だ。』 フォードチップを埋め込み、少年のアーマーから大人のアーマーに取り替えられた、             トラヴェルとメヌエットが目覚める。 『破滅ぅ!?ヒャハハハハ!!なら俺も手伝ってやるよぉ!!』 『・・・それが時の定めと有れば・・・従いましょう。』 『ならば、最初の仕事だ、月を襲撃する、お前らも一緒に来い。』 フォースチップを埋め込まれ、純粋な性格のトラヴェルも破壊と殺戮を好む性格になる。 こうして、トラヴェルやメヌエットは・・             ラフェスタによって、殺戮と破壊を初めてしまったのです。

第八話

「随分騒がしいな・・・エックス達は無事か・・・?」 「それよりも、自分の身を案じたらどうだ?」 「!お前は・・・ラフェスタ!」 その頃ゼロは巨大な扉の前に辿りつき、聞こえてきた爆音に仲間の身を案じると、       突然巨大な扉が空き、ラフェスタの姿が見える。 「おっと、最初に言っておくが・・いままでの私とは違う・・。」 「何・・・?」 「戦う前におもしろい物を見せてやろう。」 パチンッ! ラフェスタが嫌な笑みを浮かべ指をならすと、何かが入った巨大なカプセルが現れる。 「レノンッ!!!」 「こいつには本当に感謝している、こいつのお陰で私は復活できたのだからな。」 「レノンをどうした・・・!」 「こいつのエネルギーを全て貰ったのさ、そのお陰で今はこいつが死にかけだがな。」 巨大なカプセルの中に入ったレノンを見て、ゼロが叫び声を上げるが、       まったく反応せず、ラフェスタの話し声だけが響く。 「貴様!レノンを返せ!」 「そうはいかないな!こいつにはまだまだ働いてもらわなければいかない!          何せその為にミラージュのボディを作ったんだからな!ソウルとの融合には失敗したが!」 「やはり・・・抜け殻か。」 「抜け殻と言ったところで、こいつのボディを修復するには時間が掛かったがな。」 ゼロがカプセルに近づこうとするが、ラフェスタが立ちふさがる。 「何せシグマが作ったレプリロイドだ・・・完全に復活する事は不可能だ。」 「貴様の科学力ではソウルを呼び戻すのには失敗したか。」 「そうだ、普通のレプリロイドならばすぐにソウルは融合する、              だがなミラージュのソウルは見つからなかった。」 ラフェスタが忌々しそうに話す。 「それはお気の毒だ・・・。」 「こいつを手に入れるキッカケにはなったがな。」 「だがその力!返して貰うぞ!」 ダッ!! ゼロがラフェスタに斬りかかるが、当のラフェスタを余裕顔。 ザシュッ!! 「死んだか・・・?」 「あいにくだが死んでいない・・・。」 「!」 バッ!! ゼロがラフェスタに斬りかかるが、その姿は幻影で次の瞬間にはゼロの背後に回り、ゼロに何かを放つ。 「これが・・・俺の力だ。」 「その姿は・・・!」 ゼロが眉をひそめてラフェスタを見ると、          ラフェスタの姿がレノンの姿に変わっていた事に目を見張る。 「ああ、この姿はこいつのエネルギーを取り込んでいるうちにこうなったらしい・・。」 「チッ・・・(やすやすは傷つけられない・・・。)」 「だがな・・・貴様を倒すには絶好の姿だ!」 ドカッ!! 「グハッ・・・。」 バンッ・・。 ラフェスタが嫌な笑みを浮かべ、ゼロをいたぶっていく。 「ハハハハハ!すばらしいっ!すばらしいぞ!力が漲ってくる・・・ハハハハハ!!」 「くっ・・・。」 シュンシュンシュン・・・。 「チャージショット!!」 「何!?」 ドッカーーーーン!!! ラフェスタが高笑いをしていると、チャージショットがラフェスタに直撃する。 「エックス!無事だったのか!?」 「うん、それに・・・トラヴェルが回復エネルギーをくれたんだ。」 「大丈夫かよ?ほら、回復エネルギーだぜぇ、ケェケケケ!!」 「・・・エックス、どう言う事だ?」 「実は・・トラヴェルの体にフォードチップが入っていたんだ、それで操られてたんだよ。」 「・・・・そう言う事か。」 「お喋りをしている暇は無いぞ!!」 「!」 トラヴェルが回復エネルギーを渡し、それにとまどったゼロがエックスに理由を聞くと、          納得した様子だが、ラフェスタが襲い掛かってくる。 「ヒャアハハハ!お前は少し黙ってな!ラフェスタ!」 「・・・洗脳が解けたか、トラヴェル。」 「そうだぜ!よくも俺様にフォードチップを埋め込んで好き勝手に操ってくれたな!」 「裏切り者は始末する!」 「やれるもんならやってみなぁ!!!!」 ドッカーーーーン!! 「ゼロ、トラヴェルから話は聞いたよ、ラフェスタはレノンのエネルギーを取り込んで          ・・・あの姿になった・・・でしょ?」 「ああ、そうだ・・・あいつを倒して、速くレノンにエネルギーを戻さなくてはいけない。」 チョイッチョイ。 「・・・・・ゼ・・・ロ。」 「・・・ミラージュ?あれは・・・お前の弓・・・。」 「!分かった!どうしてミラージュがソウルとの融合に失敗したか!」 ミラージュがラフェスタが持っている自らの弓を指さし、エックスが大声を出す。 「何だと!?」 「ヒャハハハ!余所みすんなよ!エックスの邪魔すんじゃねぇ!」 「くっ!トラヴェル・・・貴様・・!」 「俺様は元々平和な世界を守るように作られたんだ!          だから俺はこの世界を守るんだよ!ケケケケケェ!!」 ラフェスタがエックスの言った言葉に驚くが、トラヴェルがそれを許さず、コードで縛り付ける。 「ミラージュはソウルを別な物に移していたんだ!それが・・・あのミラージュの弓!」 「成る程!だからミラージュはレノンにあの弓を託したんだ!」 「トラヴェル!その弓をこっちに投げてくれ!!」 「ケェケケケ!了解だぁエックス!!おらよっ!!」 シュンッ!! 「貴様!ゆるさん!!」 バシュッッ! 「グワァ!!・・・さっさせるかよ・・・。」 「さっさと離せ!死に損ないが!」 「トラヴェル!!アルティメットアーマー!ゼロ!ミラージュを任せた!」 パシッ!! 「分かった!」 ラフェスタが怒り、トラヴェルに向かってビームを放つが、          根性で持ちこたえラフェスタをよりきつく捕まえるトラヴェル それを見たエックスが、アルティメットアーマーに変形し、ゼロに向かってミラージュの弓を投げる。 「ミラージュ!お前のソウルだ!生き返ってくれ!」 「・・・・・。」 ゼロがミラージュの元に弓を持っていき、ミラージュに手渡すと、          ミラージュの瞳に光が宿り始める。 「そうは・・・させるかぁ!!リヒトプロッツェス!!」 ドシュッ!!!!! 「しまった!ゼロ!!!」 「させないよ!ラフェスタ!」 ラフェスタがリヒトプロッツェスを放ち、          強大なエネルギー波がゼロに向かっていくが、そこにアクセルが現れる。 「貴様!生きていたのか!なら・・・もう1回死にさらせぇ!!!」 「君の力・・・借りるよ!メヌエット!!」 シュウウウウウン・・・。 「破滅の葬送曲・・・ブラッディーウェンディーヌ!」 アクセルがラフェスタの前に立ちふさがり、メヌエットに変身し、応戦する。 「ぐあっ・・・貴様・・・コピー能力を持っていたのか・・・。」 「今度は俺様が行くぜぇ!デススタンプ!」 「グッ・・・アッ・・・。」 ラフェスタがよろめくと、トラヴェルがコードをのばし、ラフェスタの体を貫く。 「貴様らぁ!!!許さない・・・許さないぞ!!!」 「それはこっちの方よ!」 「!お前は!」 「喰らいなさい!」 シュンッドッカーーーーン!!! ラフェスタが激怒するが上から女性の声が聞こえ、ラフェスタに何かが放たれる。

第九話

「クッ・・・まさか・・・あの弓にソウルを移していたとはな・・・。」 「あなた如きに見破れる程・・私は甘くないわ。」 「強い・・・あの子、ラフェスタの装甲半分壊しちゃってる。」 「あれがミラージュの本当の力・・。」 「エックス、お前はラフェスタを頼む、俺はレノンをあそこから出すから。」 ミラージュがラフェスタに矢を向けている中、ゼロがレノンの入ったカプセルに近づく。 「そうは・・・させるかぁ!!!」 ガッシャーーーーーーーーーン!!!!! 「くっ・・・・・・レノン!」 「ケケ・・・やばいぜ・・レノンが・・ラフェスタに取り込まれた・・・最悪の状況だぜ・・・。」 ゼロがレノンのカプセルに近づくのを見て、ラフェスタが触手を伸ばし、       カプセルを割り、レノンを自らの体に吸収する。 「ハハハハハ!これで私は最強だ!私は・・・この世の覇者となったのだ!!」 「くっエックス!しょうがない・・ラフェスタを倒すぞ!」 「分かった!トラヴェル!行くぞ!」 「ヒャハッ!了解だ!」 「僕も行くよ!」 「ふん、馬鹿共が!今までの私とは違うと言っている!」 シュンッ! エックスとトラヴェルとアクセルがラフェスタに飛びかかると、ラフェスタがエネルギー波を放つ。 「「「グアアアアアア!!!!」」」 「エックス!トラヴェル!アクセル!」 「ハハハ!馬鹿共が!さっさとくたばれ!」 「ゼロ!私がラフェスタを引き留めるから!レノンをお願い!今ならまだ助けられるから!」 「分かった!」 ミラージュが再びラフェスタに矢を放ち、ゼロに話しかける。 「まだあきらめないか!」 「あきらめる訳無いでしょ!まだ私は復活したてなんだから!」 バシュッ!ドッカーーン! 「レノン!目を覚ませ!ミラージュにも限度がある!」 「・・・・・。」 ミラージュとラフェスタが戦っていると、ラフェスタの体に、ゼロがへばりつき、レノンに話しかける。 「そいつはもう死んだも同然だ!返事など帰ってくる物か!」 「レノンはこんな所じゃ死なないわ!あいつの事を待ってる人はいっぱい居るんだから!」 「レノン!お前が目を覚まさなきゃ、アイリスとソニアが悲しむ!」 「・・・・・。」 ピクッ。 ミラージュとゼロが必死にレノン呼び続けると、レノンの指が一瞬動く。 「そうだ!その調子だレノン!」 「何だと!?あいつにもうそんなエネルギーは無い筈なのに!」 「レノンはあんたよりずっと強いんだから!あんたになんか負けないのよ!」 「こざかしいわぁ!!!」 シュンッ・・・バシュウゥ・・・・ドッカーーーーン!!                                        ラフェスタがエネルギー波を放ち、時が止まる。 「キャアアアアア!!!」 「うわあああああ!」 そして次の瞬間にはゼロとミラージュが吹き飛ばされる。 「貴様らにはもう用は無い!跡形も無く消え去れぇ!!」 「・・・レノン!駄目!あなたはやっと光の下に出たんでしょ!          もう同じ事を繰り返しちゃダメ!レノン!」 シュウウウウ・・・ドーーーーン!! 「ミラージュ!」 シュンッ! ミラージュに光線が当たる前、誰かがミラージュの名前を呼ぶ。 「ハハハハ!愚か者め!私にさからうのがいけないのだ!」 「誰が愚か物かな?ラフェスタ君??」 バシュッ!! 「!グワッ!!」 ラフェスタが高笑いをしていると、背後から誰かの声が聞こえ、          反応する間も無く、攻撃を受ける。 「貴様・・・何時の間に・・・!」 「フフ、君なんかに分かる筈が無いだろう?さあ・・・今までの借りを返してあげるよ。」 「レノン!」 「レノン・・・無事だったのか・・・その姿の事は後で聞く、今は・・・ラフェスタを倒すぞ!」 「ええ、分かっています、けど・・・俺1人で十分です、手は出さないでください。」 レノンがゼロに向かって親指を立てる。 「貴様・・・その姿は・・・!」 「まだ生きていたんだねラフェスタ、俺からささやかな花丸を差し上げよう。」 「・・・・性格が変わるみたいだな、あの姿になると。」 「え、ええ・・・そうみたい・・。」 レノンとラフェスタがにらみ合うなか、          レノン普段の姿を見ているゼロが今のレノンの姿に冷や汗を流す。 「ゼウスアーマー・・・サタンが目覚めさせてしまった禁断の力か。」 「サタンには感謝している、俺はまだまだ強くなれるって証明できたからね。」 「だが・・・今の私には勝てない!!!」 「君もサタンも・・・このアーマーには勝てない・・このアーマーは・・          ミラージュが俺に託してくれた物だから。」 シュウウウウウウン・・・・。 「俺は戦う、この世界を守るためにね、俺は・・・この世界が大好きだから。」 レノンが手に小さな光を集める。 「そんな小さな光で私を倒せると思うな!レノン!」 「そうかな?この光は人々が希望を持ち続ける限り・・光り続ける光なんだ、          君如きに消せる品物じゃないよ?」 シュンッ・・・・パシュッ! 「グッ!!」 ラフェスタに向かってその小さな光を放つと、ラフェスタの体の中に光が入っていく。 「な、何とも無い・・・貴様・・・はったりか!」 「はったりとは酷い、君に懺悔の時間を与えてあげようと思ったが・・・          君はやはり外道だ、今此処で俺が倒してあげよう・・・ Angels who rule light ‥ Please give the judgment of light          to this satan's・・          My ・・・ the dark angel of light ・・・・・Crossing Lightning!」 (光を司る天使達よ、この悪魔の化身に光の裁きを与えよ・・          我は堕天使・・・聖なる十字架・・クロスライトニング!) 「・・・レノンは何をしようとしている・・・あの小さな光をラフェスタに吸収させて・・。」 「・・・・分からない、でも・・・もの凄いエネルギーが渦巻いてる・・・もの凄いエネルギーが・・。」 「ぐっあ・・・グウウウウ・・・きっ貴様・・・何をした・・・。」 ゼロとミラージュがラフェスタを見ていると、ラフェスタが急に苦しみ始める。 「だから言ったはずだ、はったりでは無いって、さあこれでとどめだ。」 「グアアアアアアア!!!!!!」 「滅びよ、永遠の闇に包まれて、Ruin, and cross that          ..dark.. becomes it」 ドッカーーーーーン!!!!! レノンが何かの呪文を唱えるとラフェスタが苦しみだし、          強大なエネルギーがラフェスタの体からあふれ出し、レノンの元に戻る。 「・・・・Checkmate。」 そして最後にチェックメイトと呟き、通常アーマーに戻る。

番外編

         「今の戦況はどうだ?」 「はい、今の所は安定しています。」 「そうか・・・下がって良い。」 「了解しました。」 シュンッガシャンッ・・。 「さて・・・俺は訓練でもするとしようか・・・。」 そう言うと、男は長刀を背負い、部屋を出る。 「此処で良いか・・・ん?誰か居るみたいだな・・・。」 ガサッ! 「そこかっ!」 「キャッ!」 ザッ! 長刀の男、准将が小太刀を投げると、悲鳴が聞こえ、刃物が返ってきて、准将の顔をかすめる。 「ちょっと!何すんのよ、いきなり!」 「これは失礼、お嬢さん・・敵と間違えた物で。」 「失礼にも程があるわよ、准将さん。」 草むらの中から水色の美しい髪をしたレプリロイドが出てきて、准将が謝る。 「俺の事を知っているって事は・・・お偉いさんの娘さんって所か?」 「まあ外れては居ないわ、あながちね。」 「そのお偉いさんの娘さんがどうしてこんなへんぴな所へ?」 「私ここの場所が好きなの、唯一仕事の事を忘れていられるから。」 景色を見渡し、言う。 「そうなのか・・・。」 准将も水色の髪のレプリロイドに言われ、辺りを見渡すと、生命が満ちあふれていた。 「ええ、でも・・・もう行かなきゃいけないわ、パパが心配するもの。」 「ああ、じゃあな。」 「じゃあさようなら、准将さん。」 「そう言えば!あんたの名前は?」 「ジルバ!ジルバよ!」 准将が名前を聞くと、水色の髪のレプリロイド、ジルバが笑顔で答える。 「ジルバ・・・聞いたことはあるんだが・・・思い出せない。」 水色の髪のレプリロイドの名前を聞き、頭を抱える。 「准将、今回の任務、お疲れ様でした。」 「ああ、お前もな、カーネル。」 ジルバと会ってから2週間後、任務を終え、レプリフォースに帰還すると、             カーネルが准将を出迎える。 「それと、ジェネラル将軍がお呼びです、今から向かってください。」 「ジェネラル将軍も随分急だな、解った、今向かう、お前は下がっていいぞ。」 「解りました、では失礼します。」 カーネルが用件を伝えると、准将がカーネルに向かって手を振り、             ジェネラル将軍の部屋に向かう。 「失礼します、ジェネラル将軍。」 「准将か、任務から帰って早々悪いが、これは大がかりな計画だ、今伝えておこう。」 「はい、了解しました。」 准将がジェネラル将軍の部屋に入ると、早速話が始まり、長い時間が過ぎていく。 「では准将、返事を期待している、下がって良い。」 「はい、では失礼致します。」 ガチャッ・・・・! 「・・・・ヤバイ事になったな。」 ポツッポツッ・・・ザアアアアアアア・・・・! 准将がジェネラル将軍に一礼し、部屋の外に出ると、苦々しそうに呟く、             そしてそんな准将の言葉をかき消すように大粒の雨が降り始める。 「人間に反乱・・・か、何か巨大な物が渦巻いてる様な感じだな。」 バシャッバシャッバシャッ!! 「んっ?・・・あれは・・・。」 考え事をしていると、何かの足音が聞こえ、視線を巡らすと、何かに目を見開く。 「思い出した、あのレプリロイドの事。」 ダッ!・・・バシャバシャバシャッ!! 雨の中走っているのは、ジルバだと気づき、何かを思い出したらしく、雨の中ジルバを追う。 「ハァッ・・・ハァッ・・・!」 「待てよ、何処に行くんだ?ジェネラル将軍の娘さん。」 「准将・・・気付いたのね。」 「ああ、思い出した。」 ジルバが何処かに向かって走っていると、准将がジルバの目の前に立ちふさがる。 「悪いけど・・どいてくれない?私には時間が無いの、レプリフォースを止めなきゃ。」 「・・・・話を・・・聞いたのか?」 「ええ、だから・・・私はレプリフォースを裏切ってイレギュラーハンターに行く、             容姿も地位も全て捨てるつもりよ・・。」 「・・・何故そこまでやる?」 「当然でしょ・・・だって・・・。」 ジルバが顔を伏せて決意を語ると、准将が冷静に理由を聞く。 「私はジェネラル将軍の娘だもの、親を止めるのは子供の役目だから。」 「お前1人で全てを背負うのか、あまりにも重すぎる宿命だ。」 パシャッパシャッ・・・。 「でも、背負わなきゃいけない、それが・・・私の・・・ジルバの生き様だから。」 「・・・・。」 ピタッ! 准将が1歩、1歩と近づいて行き、やがて手をのばすが、             ジルバが微笑を浮かべながら言うと、手を止める。 「だから・・・私は・・・あなたが邪魔をするなら・・・             容赦なく・・・このダガーであなたを殺すわ。」 「・・・俺の負けだ、行け。」 「ありがとう、あなたとは戦いたくなかった、だから・・・本当にありがとう、そして、さようなら。」 パシャッパシャッ・・・。 「・・・待て。」 ジルバがダガーを抜くと、准将が降参、と言うように両手をあげる。 「何?准将。」 「・・・また会えるか?」 「あなたがそう望むなら、私は構わないわ。」 「そうか、呼び止めて悪かったな、もう行け。」 「変な准将、でも、私もあなたと同じ気持ちよ。」 バシャバシャバシャッ! 「!・・・今は言えない。」 准将に呼び止められ、再会できないか?と聞かれ、             笑顔で答えて再び走り出すジルバに何かを言おうとするが、言葉を自分の胸にしまう。 「それが自分の生き様・・か、俺も行くとするか・・・。」 バシャッバシャッ。 ジルバの姿を見送ると、また自分もレプリフォース基地に向かって歩き出す。 そして月日が流れた・・・。 「ジルバ隊長―!」 「・・・何?セバン。」 「はい、報告でありますが、ジルバ隊長に             是非お会いしたいと言う人が居ますが、いかがなさいますか?」 銀色の腰まである長髪に印象的な金色の瞳で白いアーマーを着用している、            「白神」時代のジルバに部下が話しかける。 「誰?どんな人だった・・・?」 「准将と言えば分かると・・・。」 「・・・そう、分かったわ、謁見室に通して。」 聞き慣れた名前を聞き、少し目を見開くが冷静な対応を取り、謁見室に向かう。 「隊長の謁見室って言うのは、結構豪華な物なんだな。」 「まあ、私は結構戦闘で戦績を上げているから・・・特別なのよ。」 「生きてたか、ジルバ、いや・・「白神」。」 「その名前はよして、あんまり好きじゃないの。」 「そりゃ悪かったな。」 准将が謁見室に見とれていると、ジルバが静かに扉を開け、謁見室に入る。 「でも、あなたもなんとか無事の様ね。」 トスッ。 ジルバがソファーに座る。 「ああ、俺は気楽に過ごしてる。」 「そう、それは良かった、私も第16部隊の隊長になれたし。」 「第18部隊に引けを取らないほどの超優秀部隊、別名「死神部隊」・・か。」 ジルバが自分の状況を話すと、准将が自分の知っている知識を話す。 「私がこの部隊の隊長に就任してからそう言われるようになったわね。」 「ああ、そうらしいな、死神部隊に手を出した裏組織は全部壊滅、             ハンターのお偉いさん達が喜びそうな話だな。」 「まったくもってその通りよ、そのお陰で隊員が2倍以上増えたし。」 「良い事じゃ無いのか?」 「ゾロゾロして邪魔なのよ。」 「ハハハ!お前は変わってないな。」 ジルバがあきれかえって現状を話すと、准将が耐えきれなくなり、笑い始める。 「あなたもね、そうとう、裏組織に恨まれてるみたいよ。」 「そうなのか?気付かなかったな・・・このごろ敵が多かったが・・・。」 「鈍感なのも変わってない・・・悪いけど、そろそろ行った方が良いわ、             午後からハンターのお偉いさんが来るから。」 「そうか、邪魔したな。」 スッ。 楽しそうに話していると、ジルバが思い出したように予定を伝えると、准将が立ち上がる。 「それと、もしもの話だが、俺がお前に想いを寄せていると言ったらどうする?」 「は?」 准将が楽しそうな顔で言う。 「たく、そう言う事は他の女性に言いなさいよ、             あんた結構格好いいんだから他の女性なんかメロメロよ。」 「ハハハ、本当に変わって無いな、お前は。」 「ハイハイ、さっさと行ってくれない?お偉いさんがもう到着したんですって。」 「分かった、じゃあまた会った時に返事を聞かせてくれ。」 「ハイハイ、冗談は良いから。」 「じゃあな。」 シュンッ! ジルバが本気にしてない様子で言うと、准将も本気で言ったのでは無いらしく、笑顔で返す。 トントンッ! 「どうぞ。」 「えー、ご機嫌はいかがですかな?ジルバ隊長。」 「はい、この度はこのような辺境の地に出向いて頂き感謝の意で御座います。」 「単刀直入に言わせてもらいますぞ・・・             実はあなたの戦績を見込んで、あなたにお願いがあるのです。」 「何でしょう?」 「実は・・・。」 小太りのレプリロイドが准将が去った後に部屋に入ってきて、             ジルバに深刻な表情で何かを伝えようとする。 「現在イレギュラーハンター総司令官がレプリフォースに打たれ、             代わりの者が居ないのです・・・。」 「・・・それで、私にハンター総司令官になれと?」 「そうなんです!あなた程優秀なレプリロイドは居ません!                 ですからどうかお願いします!」 「・・・分かりました、その件お受け致しましょう、             微力ながらも、貢献させて貰います。」 「あ!ありがとうございます!」 小太りのレプリロイドの要求に応え、窓の景色を寂しそうに見つめる。 「(・・・パパ・・私達・・・もう敵なんだね・・・。)」 こうして・・・ジルバと准将の運命のネジはゆっくりと周り始めたのでした・・・。
  ELITE HUNTER ZERO