晴嵐華さんよりロックマンX小説12「「It is The One in the god.〜神に選ばれし者。〜」
「レノン!イレギュラーが発生したわ!今すぐ現場に向かってくれる?」
「了解!今すぐ向かう!ポイントは?」
「X―1927ポイント!付いたら連絡して!」
「分かった、今から向かう!」
レノンのヘルメットに搭載された通信機が鳴り、いつもの様に現場に向かう。
これがレノンにとって忘れられない日になるとは知らずに・・・。
「・・・此処に本当にイレギュラーが居るのかよ・・・。」
レノンがそう呟き、空中から降り、羽根を仕舞い、地面に降り立つ。
「イレギュラー所か人1人居ないぜ・・・。」
「ようこそ・・・私の殺戮のショーへ!」
「やっとお出ましか!イレギュラーさんよぉ!」
「ククク・・・私がイレギュラーだと・・・笑わせてくれる・・・。」
「フンッ!どうでも良いが・・・・さっさと終わらせて可愛い妹の面倒を見なくちゃいけないんでね。」
「名前はソニア・・・・そして・・・・またの名を・・・・ミラージュ・・・・だろ?」
「!てめぇ・・・何でその事を知ってやがる!」
「ハハハ!この続きはこいつらを倒した後にしておくれ!」
謎のレプリロイドの声が響き、その瞬間、多くのメカニロイドがレノンに襲い掛かり、自爆する。
ドッカーーーーーーーン!!!!
「やはり・・・あいつはこいつを買い被って居たようだな!
ただのガキでは無いか!ハハハハ!」
「そいつはどうかな?」
「!貴様・・・どうして生きている!」
「あんなんで俺が死ぬかよ、バーカ。」
謎のレプリロイドの背後に無傷のレノンが立っていて、
その光景を見て、謎のレプリロイドが慌てる。
「それよりも教えろ、何でお前がミラージュを知っている・・・・。」
「何故知っているかだって?裏組織でミラージュの名を知らない方が不思議さ!」
「ちっ・・・やっぱりな・・・。」
「そうさ!そしてお前の事も裏組織では相当名が通っている!」
「何だと・・・。」
レノンが冷酷な目で片方のセイバーを突きつけると、謎のレプリロイドは高笑いをする。
「世界を破滅させられる兵器を作るにはお前が必要なんだ・・・
それはお前でも分かっている筈だ。」
「ちっ・・・シグマの計画がばれて居たようだな・・・。」
「ああそうさ・・・だけど私はお前の存在をユーラシア事件よりも前から知っている!」
「俺はお前みたいなサディストは知らねぇけどな。」
「そしてミラージュの事もな。」
「!」
レノンを憎しみがこもった目で見つめる。
「私の名はサタン、かつてはお前の代わりに・・・・世界を滅ぼす筈だった者だ。」
「へー・・・それはお気の毒で・・・。」
「だが・・・・シグマは成功作の私では無く・・・失敗作のお前を選んだ!!」
「失敗作・・・・?」
「そう、初期のお前は赤ん坊の知能しか無く、力も無かった・・・・だがな。」
サタンが忌々しそうに、腕を握りしめる。
「ミラージュがお前を選んだのだ。」
「ミラージュが・・・。」
「そうだ!ミラージュがお前を選び!お前に様々な知識やプログラムを与えた!
それでもお前は私より劣っていた・・・・だがな・・・
あのプログラムをお前が手にしてしまったのだ。」
「は!?プログラムなんざ知るか!」
「そのプログラムは私が付けるはずだったのだ!だがな・・・
エネルギー許容量が足りなかった!」
「そんでミラージュがエネルギー許容量が莫大な俺を選んだと・・。」
「そうだ!ミラージュは私では無くお前にプログラムを渡した!そして私は捨てられた・・・。」
サタンが話ながら、何かを操作する。
ガシャンッッ!!
「なっ何だこれ・・・!おいクソッ!此処から出しやがれ!」
「その時から私は誓ったのだ!必ず・・・お前に復讐をしてやるとな!レノン!
お前が持っている・・・プログラム・・・ゼウス・・貰い受けてやる!」
「何!?グッ!グアアアアアアア!!!!!!」
「アハハハハ!もがいても無駄だ!此処には特殊な機械があってなぁ・・・。
今こうしてお前が死にかけていることはハンター達には知られていないのだよ。」
「てってめえ・・・・ふざけん・・・な・・・。」
バタッ・・・。
「さすがに貴様と言えど・・・・1000万ボルトの電流を流されれば無事では済まぬだろう。
だが安心しろ・・・・貴様のプログラムはあの方が有効に使ってくださる・・・
安心して眠れぇ。」
『ああ・・・俺死んじまうのかな・・・ソニアの事守れなかった・・・・。』
『大丈夫、レノンは死なないから、だって・・・私が付いてるもの。』
『誰・・・だ・・・?』
レノンが目を開けると、其処は見たことも無い空間で誰かがレノンに話しかける。
『レノンには誰にも負けない強いプログラムを組み込んであるから、絶対に大丈夫。』
『もしかして・・・。』
『私も一緒にこれからは戦うわ、だからレノン、死なないで。』
『お前は・・・。』
『さあ、現実世界に戻りましょう、そして・・・・
ゼロやアイリスやソニアの元に帰るの!』
『ミラージュ・・・。』
『そう、レノン・・・帰ろう、私達の住む世界を・・・あなたが守って?』
『当たり前だ!行くぞミラージュ!』
そしてレノンに向かって手を差し伸べ、レノンが手を掴むと、ミラージュの姿が映し出される。
「プログラムは貴様の体を打ち砕いても破壊されはしない・・・・レノン!覚悟!」
シュンッ・・・・ドッカーーーーン!!!!
「んなっ!まだ動けるのか!?そんな筈は無い・・・
もしや!プログラムを起動させたか!!」
「その通りさ、サタン・・・君にしては頭が良い推測だ。」
「!貴様・・・・その姿は・・・・!」
サタンがレノンの姿に目を見張る。
驚いているサタンに上空から話しかけるのはほかならぬレノンであるが、
その姿は普段のレノンとはかけ離れていて、
金色の短い髪は腰まで伸び、戦闘用のアーマーとは全く違うアーマーを身に纏い、
飛行用の羽根は過去のものより大きく、数も5つに増え、
何よりも違うのが青色と緑色のオッドアイが
レプリロイドとはかけ離れた美しさを放つ金色の瞳になっていた事。
「君は俺の全てを知っている・・・だから・・・君には生きていては困る・・・
だから君を排除させて貰うよ。」
「フン!お前に私が倒せるわけ無い・・・・
私は成功作!お前は・・・・失敗作だ!!」
「愚かな・・・一瞬で勝負をつけさせて貰う・・・この弓と海神の矛で。」
サタンが逆上し、レノンに斬りかかるが、当のレノンはまったく慌てず、
ミラージュの弓に海神の矛を引っかける。
「フンッ!無駄だ・・・そんな弓と矛なんぞ!!」
「たしかに普通の弓と矛だったらね、だけど・・・これは普通の武器では無い。」
「・・・何だと・・・・まさか!」
「そう、そのまさかさ、ミラージュの弓と海神の矛、
単体でも攻撃力が高い武器が2つ合わさったらどうかな?」
そう言うと最初は余裕を持っていた、サタンも、顔が青ざめてくる。
「君は俺のことを失敗作と言ったね・・・・
だけど、失敗作でも少しはもがくんだよ・・・。」
「むっ無理だ・・・私は・・・勝てない・・・。」
「君に裁きを下す・・・・裁きは・・・・死刑。」
「ひっ・・・・ラ、ラフェスタ様ァアアアアア!!!!!!」
ドッカーーーーーーン。
サタンが怯える表情を見せるが、レノンは表情をみじんも変えずに、
ミラージュの弓を使い、海神の矛を発射する。
ジュウウウ・・・。
サタンが居た場所だけ、何もかも跡形が無く消え去る。
「・・・・弱いな、本当の力の千分の一も出していないのに・・。」
そう言うと、ゼウスモードを解除し、通常モードに戻る。
「うえー!!何だよさっきの俺の言葉使いキモッ!!オエ〜・・・。」
通常モードに戻ると、先ほどの自分を思い出し、青い顔をする。
「でも・・・これで皆の手助けになれる・・・
ヨッシャア!!この力・・・絶対ぇ極めてやるからな!」
でも嬉しそうに微笑み、空を見上げる。
「それに・・・ミラージュとも話せた・・・・俺・・・・がんばるよ、ミラージュ・・・。」
シュンッ!!
そしてレノンが転送された後、少しだけ光が眩しくなった、
その光はまるで微笑んで居るようだったと言う。
厳しく、過酷な運命を背負った少年に・・・・天使の加護がありますように。
ELITE HUNTER ZERO