クライム(とろ)さんより小説「アナザーミッション」



『ポケットアイリス』

 今日は12月25日、クリスマス。ハンターベース内でも一部の フリースペースではクリスマスの飾り付けがちらほらと見えた。 (クリスマスか・・・。ヴァジュリーラのことを思い出しちまうぜ・・・)  イレギュラーハントの仕事を終えて個室に戻った ゼロは先ほどアイリスからもらったクリスマスプレゼントの箱を紐を 解いて開けた。  ファサ・・・。 「ん?これは・・・」 『アイリス16thアニバーサリー。ポケットシリーズ01、対象年齢8歳以上。 あのロックマンXシリーズのヒロイン、アイリスがゲームになった! 最強のアイリスを育て上げろ!150種類以上のコスチュームを集めよう! 通信クエスト、バトル機能搭載、データコピー機能付き。ガ◎ゴン』  中に入っていたのは最近発売されたらしいアイリスの電子ゲームだった。 さらにアイリスが書いたと思われる手紙も中に入っていた。 『プレゼント気に入ってもらえましたか?実は私もこの間ポケットアイリスを 買ったんです。だからゼロにもやってほしくてプレゼントしました』 「ふむふむ。このポケットアイリスはもう1個別の物と繋げると通信で 協力ミッションイベントが行えます、か・・・。よし・・・、 年末はアイリスと通信クエストで・・・!」  そしてしばらくゼロのポケットアイリス育成に励む日々が始まった。

『しゆたん、ウマそうにきな粉餅を食べる、の巻』

 普段は人に見えない謎の生命体、シュコレインとひょんなことで 知り合ってから共に同居している16歳の少女、水澤紫由は 日々シュコレインが現れては未知の敵と戦うための修行をさせられていた。  正月のある日。スマホであけおめメールを送り終えた紫由は 部屋で餅を焼いていた。 「正月といえば餅だよネエ」  焼けた餅は皿に乗せてきな粉を振りかけて食べる。 「もぐもぐ・・・」  なかなか噛み切れない餅を箸で伸ばして千切って頬張っていった。 ((いいなあ、しゆたん。美味しそうにきな粉餅なんか食べてて・・・。 午年なだけにウマそうだな、なんちて)) (・・・ん?今、何か声が聞こえたような。・・・気のせいかな。 そしてなんだか寒気が・・・)  カチッ。  紫由は部屋の電気ストーブの強さを強に切り替えた。 再び皿の前に戻ると、あるはずの残り1個の餅が皿から消えていた。 「あれ・・・おかしいな」  ふと横を向くとそこにシュコレインがいてどこかから取ってきたのか皿と 箸を使って餅を食べていた。 「うわっ、ちょ、ビックリしたあ。一体何をして・・・」 『しゆたん、あけおめことよろ。餅を1個もらうね』 「まあいいけど、って、聞きながら既に食べてるし・・・」 『もぐもぐ。まあ細かい事は・・・。ごくん』  餅を食べ終えたシュコレインは満足したのかそのまま部屋から出て行った。 「今年もよろしくね、シュコレイン・・・」  シュコレインは神出鬼没な現れ方をするので今年も油断ならないなと 思うものの気にかけるだけ疲れるので紫由は今年もあまり気にしないように することにした。

『ロックマンX・ザ・パワーハンターズ』

 ・・・寒さが募る冬。一時は減少を見せたイレギュラーが再び増加し、 世界各地で反乱を起こし始めた。それも以前倒したはずの イレギュラー達だった。また彼らと戦わなければならないのか。  シグマが過去に倒したはずのイレギュラーを何体か復活させ、 イレギュラーハンターに勝負を挑んできたのだ。 ハンターベース巨大モニターにシグマの映像が映る。 「フハハハ。愚かなイレギュラーハンターたちよ、 私からのバレンタインプレゼントを受け取った気分はどうかね。 過去に倒されたイレギュラーが貴様らを祟って復活を遂げたぞ。 しかもパワーアップは以前の比ではない。 果たして私の元に辿り着けるかな。ハハハハ・・・」 「またお前か!お前からのプレゼントなんてヘドが出るぜ!!」 「ふざけたマネを・・・!!」  ゼロ、エックスがモニターに向かって叫ぶ。 そしてイレギュラーハンター総監、シグナスからの指令が下る。 「イレギュラーハンター諸君、緊急指令だ。シグマが 再び反乱を起こした。あろうことかベースを襲撃してきたイレギュラーから 開発中の新アーマーのデータが奪われ、またその付近にいたアイリスが さらわれた。シグマの行方を追う者、アイリスを 救い出す者、新アーマーのデータを奪還する者、の3隊に分かれて出動して もらいたい。健闘を祈る!!」  ゼロは迷わず『アイリスを救出せよ』のミッションを選択、出撃した。  アイリスが捕らわれていると思われる場所で待ち構える6体のイレギュラー。 マッコイーン、ビストレオ、クワンガー、ネクロバッド、ストンコング、 ナマズロス。 「またお前らと戦うことになろうとは・・・」  ゼロは戸惑いつつもZセイバーを手に取る。そこでシグナスからの 通信が入る。 「ゼロ。今入った情報によると復活したイレギュラーはシグマが作り出した 単なる模造品(イミテーション)だ。もはや姿や武器を似せて作られただけの 心なきただのイレギュラー兵器。話し合いは通用しないようだ」 「ただのイレギュラー兵器・・・。なら迷いはない」  襲い掛かるイレギュラーに向かってZセイバーを振りかざす。 「似せた姿でオレを戸惑わせられると思ったか、シグマがッ!」  ズドォォッォオオオン!!  過去に得た技を駆使しマッコイーン、ビストレオ、クワンガー、ネクロバッド、 ストンコングを撃破。 そしてナマズロスを撃破した先にはアイリスがメカニロイド型イレギュラー に捕らわれていた。 逃げようと抵抗するアイリスをイレギュラーが背後から必死に押さえ込もうと している。  ふにっ。  動いて抵抗するアイリスを押さえつける際にメカニロイドがアイリスの あらぬ所に触れた。そしてそれが何かを確認している。 「なんだ、このふみゅんとしたものは・・・」 「きゃーー!」  それを目にしたゼロの怒りが頂点に達する。 「イレギュラァァァァアアアアーー!!!!」  ズサッ!!!!!!ドコォオオーーン!!  メカニロイドを破壊しアイリスを救出することに成功。 「大丈夫か、アイリス」 「ゼロ・・・。ありがとう・・・助かったわ」 「全く、とんでもないイレギュラーがいたもんだ」  そしてアイリスはバッグの中からアイテムを取り出し、 ゼロに差し出した。 「シグマのアジトで新アーマーのデータを取り返してきたわ。 そ、それとこれ・・・。え、え、っと、ホントはこんな形で渡す予定 じゃなかったんだけど・・・。今日はバレンタインだから、そ、そのぉ・・・。 ゼロにチョコ、作りましたっ!」  頬を染めながら手渡してきたチョコをゼロは受け取った。 「あ、ああ・・・。ありがとう、アイリス。有り難く受け取るぜ・・・」  照れくささを隠しつつもゼロは内心嬉しさで一杯だった。 「でもこれはただのチョコじゃなくてライフアップアイテムを レプリロイドが食べられるチョコでコーティングしたもので、 食べるとライフ上限が数メモリアップする・・・、ライフアップチョコよ! ゼロのイレギュラーハントの役に立てたらいいなあって思って考えて作った んだけど・・・」  見た目はハート型チョコだが食べるとライフ上限が数メモリアップするという 効果がついているお得なチョコだ。 口にすると体力上限が増えると同時に甘い味付けがゼロの味覚センサーを 刺激した。 実際に上限が上がったライフメモリは数メモリだが、ゼロには体力が 数倍ほど跳ね上がったかのようなエネルギーを得た気がした。 「あのハゲ頭野郎にケリをつけるパワーが湧いてきたぜ。恩に着るぜ」 「この先のシグマのアジトにはシグマのところに行くまでに 過去にいた巨大メカニロイド『シャドーデビル』が待ち構えているわ。 気をつけてね・・・」 「ああ。待ってろ、あの野郎をすぐにぶっ潰しに行ってくるぜ・・・!」 「ゼロが無事に戻ってくるのを信じて待ってるわ・・・」 「ああ、じゃ、いってくるぜ!!」  果たしてシグマの所に辿り着いた先でゼロが迎える真のエンディングとは・・・。

『まだかなぁ…』

 あれからどれくらいの月日が流れたのだろうか。数ヶ月、いや十数年以上 経った気もする。  真夜中になかなか寝付けずにいたロールは現在製作中のロケットの様子を 見にと、一人、雪がしんしんと降り続けている外へと出向いた。  サクサクサク・・・。  今頃何しているのかな・・・、ロック。一緒にヘブンへ向かった二人の 女の子たちと仲良くやってるのかな・・・。でもあのユーナって子は身体は お母さんのままだし・・・。もしかしてロックが迫って変なことをしたりとか・・・。 まさか〜。ロックに限ってそんな事したりはしないないよ・・・ね・・・。 ははは。私ったら何を考えてるんだろう・・・。最近寝不足で不安になってきて いるせいかな・・・。  ロケットが設置されている場所に辿り着いたロール。製作中であるはずの ロケットが既に完成されていた。  あれ、いつの間に・・・。完成まだだったはずなのに・・・。  そしてその付近に立っている3人の人影が見えた。そのうちの一人は 私がずっと待ち続けていた人だ・・・。 「・・・ただいま。ロールちゃん。」 「ロック・・・」  最初は人違いかと思ったがその姿は間違いなく本人のものだった・・・。 「ロックだよね・・・。ロック・・・、ロック・・・、ロ・・・、 うああああああぁぁぁぁぁぁ・・・」  思わず駆け出して彼の胸元に抱きついた。そして今まで押さえ込んでいた 想いが言葉となってあふれ出る。ぽかぽかぽか。胸元を両手で交互に 何度も叩く。心配で不安で掻き消えそうな想い。笑顔で迎えるつもりだった のに・・・。 「ボクの方こそずっと待たせてゴメン・・・」 「ホントよ・・・。ロック、私を待たせすぎなんだから・・・」 「うん・・・。あとロールちゃんにコレ・・・」  ロックからロールの手にホワイトデーのチョコを添えられた。そして改めて。 「おかえりなさい」  受け取り、チョコを手に取るがなぜか手からチョコがすり抜け、そして 宙に消えた。・・・え、なんで、ああ・・・、なんだ、夢か・・・。またいつもの・・・。 ぐすっ。  どうやら今まで見ていたものはロールの夢だったようだ・・・。 (はあ・・・。いつ帰ってくるのかなあ・・・)  ベッドの上でロックからもらったお気に入りのクッションをぎゅっと 抱きしめた。

『イレギュラーのいない世界』

 もし私達が争いのない、イレギュラーとの戦いに巻き込まれることのない、 平和な世界に人間として生まれてきていたら…。これはそんな世界の物語…。 「ふふっ。だ〜れだっ?」 「おわっ!この手と声は・・・アイリスだな」  ゼロが目を開けると目の前には春用に新調した制服に身を包み、屈んだ体勢で こちらを覗き込むアイリスの満面の笑みがあった。そして背後では桜の花びらが舞っていた。 「あったり〜。って、またこんなところで寝て〜!」 「オレの家、オヤジの研究でうるさくてさあ」 「そんなことより早くしないとまた遅刻しちゃうよ?!」 「また朝から学校かよ、かったりぃーな」  ゼロが公園の芝生からのっそりと立ち上がるとアイリスと並んで学校へと歩いていく。 「そんなことだとまたカーネル先生に怒られちゃうわよ?」 「ああ、あの堅物か。『この場は罰を免除するとしよう。だが次は容赦しない』だもんなぁ」 「それに、今日は新学期のクラス発表もあるでしょ?」 「そうか、そんなのがあったな」 「私、気になって夜もあんまり寝れなくて。ゼロと違うクラスになっちゃったら どうしようって・・・」 「バカだな〜。クラスが違っても毎日会えるだろ?」 「そ、それは、そうだけどぉ・・・。でもやっぱり1秒でも側にいたいから・・・」  アイリスがゼロの手をぎゅっと握り締め、寄り添ってきた。 「お、おいおい」  握られた手からアイリスの繊細な優しさ、暖かなぬくもりが伝わってくる。そして 軽く指を絡めてきたり、撫でてくすぐってきたり、握って暖めてきたり…。鼓動が高なる。 「校門の近くまでは・・・いいでしょ?」 「あ、ああ・・・」  ゼロは照れ隠しにぽりぽりと頭を掻いた。チョコレートの中にいるような甘いひと時。 ふわふわした気持ちになる。アイリスから漂う蜜のような甘い香りに圧倒されて クラクラしてしまう。やべえ。アイリスの仕草の1つ1つが可憐で気になって仕方がない。 身体中が熱い。オレがロボットだったらオーバーヒートを起こしていることだろう。  ・・・そして数分後。 「ゴホン!またお前らは、新学期早々、朝っぱらから公衆の面前でベタベタとしておって からに・・・!それになんだ、その短いスカートは…!くどくどくどくど・・・」  カーネル先生が校門の前で仁王立ちしていた。 ((なぁんでえ〜!?)) 「わあ〜。またゼロと同じクラスだ」  教室で配られた新しいクラス表のプリントを見てはしゃぐアイリス。 そしてまたいつもと変わらぬ二人の日常の日々が始まるのであった。 (あれ、なんで涙が出てくるんだろう・・・)  そう、これはかつての私達が望んでいた世界、その時私達の願っていた想いがこの世界の この瞬間、二人の心に伝わってきたのかもしれない…。

『ヒューマロイド』

 人間とレプリロイドの共存、真の平和を目指して開発されたレプリロイドの人間形態、 名はヒューマン+レプリロイドからヒューマロイドと名付けられた。もう一般の レプリロイドが人間形態に姿を変えられるほどにまで急速な普及を遂げていた。  ここ、人間たちが賑わうことで有名な海辺でも今では数多くのヒューマロイドたちが 人間たちと混じって賑わっている。 「どお?ゼロ、新しい水着なんだけど」  ふるん、と一回りしたアイリスの胸やおしりが大きく弾んで揺れる。肌の白さ、 細い腰つきや弓なりに反った背がそれをより強調させる。  新調してきたアイリスの水着は、覆う生地が少ないながらもフリルがついている ことにより、かわいらしさが前面に出ていた。 「いいんじゃないか?その水着、アイリスによく似合ってるぜ」 「ほんと?よかった〜。ちょっと露出多めだったから不安だったの」  そんなアイリスを眺めながらもゼロはゆったりと浜辺で座ってくつろいでいた。 相変わらずアイリスのスタイルの良さ、かわいらしさは周りの女の子たちと見比べても 極上である。 (う〜ん、俺って罪な男…なんてな)  海で泳ぐ準備か、アイリスは腰を屈めてゼロの前に置いてある手提げバッグの 中の何かを探している。そして探し物を見つけたアイリスが海の方を向いて立つ体勢に なった時、アイリスのおしりがよりグンとゼロの目の前に迫ってきた。たまらずゼロは そこに目を奪われ、何気なく動いた手をそのまま意識が向いた方、アイリスの 丸いおしりのふくらみに手を当てて、押し回してしまう。  もにゅんもにゅんもにゅもにゅ・・・  薄くつるつるとした水着の滑らかさ越しにたゆんとした質感が波となって ゼロの手に押し寄せてくる。 (これはッッ!!!!!)  今まで触れたことのない豊満さの極まった凄まじい柔らかさと生温かさが ゼロの手から感覚全体へと伝わり、優しく包まれる。 (なんだ、このオレのデータベース内に存在しない質感はあああ!!)  そのとろけるような甘い感触にゼロの指を酔わせ困惑させてしまう。 「ひゃぁんっ!・・・もうゼロったら〜。そこは私のおしりちゃんだよ。その…女の子の 気軽に触っちゃダメな所なんだから。それに…そういうことは…ここは公共の場だし…」  初めての感覚に戸惑い恥ずかしがるゼロとアイリス。 「わ、わりぃわりぃ、つい・・・」  さきほど感じた誘惑の酔いに嬉しさを感じつつも気軽に触れてしまいアイリスに 非難されてしまった事に少し後悔した。とは言いつつもさらなる展開に進みたくなる 遺伝子からの欲求に抵抗するのに今は精いっぱいだった。 (もっとアイリスのおしりのぬくもりを吸収したい…!うああ〜、なんなんだ、 このぐいぐい引き寄せられる衝動はぁ〜!…これじゃまるでオレがイレギュラー じゃねえか。今は抑えよう…。鎮まれっ!俺のもうひとつのセイバーよ!!)  …い、今は海水浴に来ているんだ、抑えよう。くっ、特A級ハンターである このオレが…、こんな精神攻撃に揺らいでしまうとは…!!オレもつくづく人間らしく なっちまったってことか。今は人間であるこの時を、海水浴で目一杯楽しもう。 「ゼロ、いこうっ」 「ああ」  海の方に向かったゼロとアイリスは童心に返って水かけっこなどを目一杯楽しむの だった。海水浴に来てよかったぜ…。  そして夕方近くに帰り際、ゼロはアイリスに腕を引き寄せられ、ゼロの腕にアイリスの たゆんとした胸が当たった。  ふにっ 「ブゥーーーーッ!!!(鼻血)」 「っきゃー!ゼ、ゼロ、大丈夫…??」 「あ、ああ。なんとか…」  全く、最後になってまた油断しちまったぜ…。

『花火』

 ハンター業務以外ではすっかり人間形態でいることが多くなったゼロとアイリス。 8月の上旬に開かれる街の夏祭りでも人間たちとなんら変わることのない浴衣姿で 出店などを見回って夕方の祭りを満喫していた。  焼きそば、わたあめ、水風船ヨーヨー、光るリングなど夏祭りの屋台では お馴染みの物に触れることが二人にとっては珍しかったようだ。 「ゼロとの夏祭り、楽しかったわ。来てよかった」 「ああ、楽しかったな。まあ、いつの間にかゼニーをけっこう使っちまったがな」  花咲くようなアイリスの可憐な笑みが印象的だった。  夕方の夏祭りの後はアパート3階にあるアイリスの部屋にゼロは誘われた。 ここではゼロとアイリスの二人きりである。夜の打ち上げ花火はここのベランダから だとよく見れるのだという。  ヒュ〜〜〜〜ドン! パラパラパラパラ・・・ 「始まったな」 「綺麗…」  3階のベラダンから見上げる打ち上げ花火。そして宝石箱をひっくり返した かのような街の夜景の光。二人きりのムードとしては十分なほどである。  アイリスがゼロの方に近づいてくる。フローラルの香水だろうか、甘ぁい、 いい香りがする。ゼロはレプリ形態の時からアイリスに想いを寄せていたが、 人間形態になってからなおアイリスにさらなる愛おしさを感じていた。アイリスの 動作の一つ一つからやわらかさ、優しさが伝わってくる。求める瞳。 アイリスを抱き寄せる。身体全体がびっくりするほど小さくやわらかである。 たゆんとアイリスの胸がゼロに押し付けられ、何かをねだってきているようだ。 背伸びをしてきたアイリスの顔が近づく。視界がアイリスの顔でいっぱいになる、 そして唇が拡大される。  ちゅっ。  小さくふるっとした柔らかな感触が唇に伝わる。そしてゆっくりと離れていく。 それを何度か繰り返した。その後も二人きりの夜は長く続くのであった…。

『しゅーねーちゃん、ごめんなさいっぴゅ』

 コピーロイド。通常は電脳世界にいる人間のパートナ−、ネットナビをコピーロイドに 転送することによって現実世界にネットナビを呼び出すことができる。すでに一般の ナビがコピーロイドによって現実空間で生活出来るほどにまで急速な普及を遂げていた。  しゅーねーちゃんこと、城戸舟子の家でもナビのアクアマンを実体化させて現実世界で ナビと共に生活をしていた。 「アクアマン、私買い物に出かけるけどいい子でお留守番してるのよ」 「わかったっぴゅ」  家の留守番をアクアマンに任せて舟子は夕飯の食材を買いに近所のスーパーへ 出掛けた。数時間後。帰ってきた舟子が家のドアを開ける。  ガチャ。 「ただいま〜」 「わ〜んわ〜ん」  玄関からアクアマンの鳴き声が響き渡ってきて、さらに家の中全体が水浸しに なっていた。 「きゃー、なんなのよ、家が水浸し…。アクアマンね…!」  アクアマンが何か問題を起こしたに違いないと思った舟子は居間にいるだろう アクアマンの元へ向かった。 「しゅーねーちゃん、どうしようっぴゅーー!」  案の定この騒動はアクアマンが原因のようだ。アクアマンいわく、昼寝していたら 頭から水が漏れていてそれに気づいてどうしようか慌てていたらこうなってしまって いたという。 「しゅーねーちゃんに怒られるっぴゅ〜」って家じゅうで騒いでいるうちに家の中の 全ての物が水まみれになっていたのだ。 「もうアクアマン!!横になって寝る時は頭の栓をつけるようにって言ったでしょ!」  アクアマンと奮闘後、二人で一緒に半日掛かりでようやく後始末をし終えた。 そして数分後。 「ぴゅ〜・・・Zzzz」  いろいろな事があって疲れたのかアクアマンがまた居間で昼寝をしていた。 「も〜、アクアマンったらしょうがないんだから・・・。あわわあ〜〜…。なんだか私も 疲れちゃった。昼寝しよ…」 「ぴゅ〜・・・Zzzz」  掃除で疲れた舟子は寝ているアクアマンを抱えて一休み。またアクアマンが横になって 水が漏れないように縦に寝かせた状態で抱きかかえて。  いつも何かと問題を起こしては手がかかるアクアマン。舟子自身も運の悪さで何かと 周囲に迷惑をかけてしまうことがしばしば。そんな意味では舟子とアクアマンは 似ているのかもしれない、と舟子は寝ている中で思ったりしたのだった。

『完成!ハイパーロックマン』

ロックマン「ありがとうデューオ…」  8度目のDr.ワイリーによる世界征服計画はロックマンたちの活躍によって 阻止され、再び世界に平和が訪れた。 ロックマン「ただいまー」 ロール「おかえりなさい」 ラッシュ「ワン!」 ライト博士「おかえり、ロック。デューオくんには会えたかね?」 ロックマン「それが…、既にこの星を立った後でした。本当に今回の戦いで  デューオがいなかったら今頃ボクは…」 ライト博士「ふむ。ジャイアントゴリスリーの電撃攻撃、そしてワイリーカプセルから  放たれた悪のエネルギーを受けた時にデューオくんから助けられたと聞いたが」 ロックマン「はい。あの時はボクもラッシュもダメージを受けて動けない状態でした  から」 ライト博士「そこでロックに以前から計画していた新しいパワーアップがあるの  じゃが…」  博士から設計図を渡されたロックマン。 ロックマン「『巨大ロボット…ハイパーロックマン』?!」 ライトット「とあるロボットアニメからヒントを得て、オイラが発案したダス」 ライト博士「ロックマンが巨大ロボットに変身し、仲間たちと合体した攻撃を  繰り出すことが可能じゃ!これで巨大なロボットとも互角に戦い合える」 ロックマン「ありがとうございます。これから襲い掛かってくるかもしれない  巨大な敵に立ち向かうためにも…、パワーアップをお願いします」 ライト博士「よし、わかった」 ライトット「オイラも手伝うダス〜」  そして約1か月後…。街にオンスロートと名乗るワイリーの巨大メカが現れた。 ロックマン「さっそく、出番ですね」 ライト博士「気をつけるのじゃぞ」 ロックマン「はい!いくぞ、ラッシュ!」 ラッシュ「ワォン!!」  リュウやチュンリーなど立ちふさがるライバルたちを相手にしながら、夜の街に 現れたオンスロートの前に辿り着いた。 ロックマン「平和をみだすヤツはボクが許さないぞッ!!いくぞぉーみんなッ!!」  音声入力によりラッシュ、エディ、ビートが瞬時にワープ、ロックマンとひとつ になる。 通りすがりの少年「すげえっ!」 ロックマン「がぁぁっっったいッッ!!!、ハイパァーーロォッックマンッッ!!」  果たして勝負の行方は如何に…?!

『サンタアイリスからのお届け物』

 しんしんと雪が降り積もる真夜中。アイリスは街の子供たちにプレゼントを配り 渡るため、サンタクロースの格好をして家々の屋根の上を渡り歩いていた。 最近の家は煙突がなくセキュリティが厳重なため、プレゼントは郵便受けに入れて いっている。 アイリス「っしょっと。まさか私がサンタクロースになって屋根の上を移動する なんてね」  数日前。ハンターベースでハンター業務を終えたハンターたちの間でこんな会話が なされていた。 エックス「イレギュラーハンターたるもの、ただイレギュラーを退治していくだけで いいのだろうか」 ゼロ「子供たちを救う以外に子供たちが喜ぶこともしてあげないとな」 アクセル「戦ってばかりだとただの恐いレプリって思われちゃうかもね」  そこで始まったのが、イレギュラーハンターから子供たちへクリスマスに プレゼントをあげる、という企画だった。サンタ役には赤いボディを持つゼロが いいのではという提案が上がったが本人が拒否したため、赤い服とスカートの似合う アイリスが選ばれたのだった。 アクセル「で、プレゼントは何にするのさ?」 パレット「子供たちが喜ぶものといえば今話題のゲーム機とか?」 アクセル「WiiUとか3DSとかVITAとか?妖○ウォッ○とか?」 レイヤー「出費がかさみますね」 エイリア「去年発売されたポケットアイリスとかもいいんじゃない?」 パレット「女の子が喜びそうなクマさんのぬいぐるみも必要ね」 エックス「ま、こんなところだろう」  サンタの格好をしたアイリスが家々のプレゼント配りからハンターベースに 帰ってきた。 ゼロ「ごくろうさん」 アイリス「ハンターベースのみんなにもプレゼントがあるわよ〜」 一同「「おおーっ!」」  サンタアイリスが担ぐ大きな袋からハンターたちへのプレゼントが飛び放たれる。 アイリス「メリークリスマスッ!!」

『おやすみ、アルエット』

 とある冬の日のレジスタンスベースの真夜中。 「シエルおねえちゃ〜ん…」  眠れずにいたアルエットはまだ明かりのついているシエルの部屋を訪ねて入ってきた。 「アルエット…、どうしたの、こんな時間に…?」 「なんだか目が冴えちゃって」  ちょうど研究が一段落したシエルは道具を片づけた後、就寝に入るところだった。 「じゃあ、久しぶりに一緒に寝ましょうか?」 「やった〜、シエルおねえちゃんと一緒におやすみだぁ〜」  眠れずに一人寂しがっていたアルエットはシエルと寝ることになった途端、 はしゃぎ始めた。  シエルのベッド。彼女らしい淡いピンク色の毛布から、シャンプーのいい香りがする。 「おじゃましま〜す」  先にシエルのベッドの中に身体を入れるアルエット。 (ふふふ、シエルおねえちゃんのベッドだ〜)  毛布の中で身体を丸めて寒い身体を温める。  やがて仕度を終えてパジャマに着替えたシエルがベッドにやってきた。ピンクの フリルのついたパジャマである。 「シエルおねえちゃんのパジャマかわいい〜」 「ふふ。ありがと」  笑みを見せながらアルエットが入っているベッドの中にシエルが潜り込んでくる。 もともと一人用のベッドなのでベッドの中は狭く、シエルの身体のあちこちが アルエットに当たってしまう。嬉しくなったアルエットははしゃいでシエルの身体に 抱きついた。 「きゃー。シエルおねえちゃん、やわらか〜い」 「やん、もう、アルエットったら、くすぐったいわ」  シエルの身体の柔らかさから暖かな温もりを感じてアルエットはシエルの胸元に 顔をうずめた。パン生地のような柔らかさが顔全体に包まれる。 「うにゅ〜、あったか〜い。もふもふ」 「くすぐったい〜。そうだ、おしくらまんじゅうでもして温まりましょうか?」 「うん!」  シエルの提案で二人はベッドの中でおしくらまんじゅうを始めた。 「アルエットのおしりちゃん、ふにゃふにゃなマシュマロ〜」 「シエルおねえちゃんだって突きたてのお餅みた〜い」  その後は二人でお互いにじゃれ合ったりしながら楽しい時間が過ぎていった。 「そろそろ寝る時間よ、アルエット」 「えー、やだー。もっとくすぐり合いっこするー」 「しょうがないなあ、じゃあ私が子守唄歌ってあげるから」 「うーん。分かったわ。シエルおねえちゃんの子守唄聴きながら寝るー」 「ふふ、いい子ね」  お互いの近距離にある顔を見つめ合うような格好でシエルは優しく呟くような声で 歌い始めた。 「いつーも〜胸に溢れてる、あーなーたへーのおーもいー♪」 「『ロックマンゼロ4』のエンディングの歌だ〜」 「ふふふっ、当たりよ」  やがてアルエットは小さな寝息を立て始めた。 「おやすみ、アルエット」  シエルは眠りついたアルエットの小さな唇にそっと口付けをした。
  ELITE HUNTER ZERO